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冬童話2021

盲目文学少女と盲導犬ワンコ犬ぞりレースに出る

作者: つみき

『天使が二人の冥福を祈りながら天へ連れて行きました』


 ベッドの上で1人の少女が本をなぞっています。その横には彼女の相棒。犬のコロが見守っていました。


「クウン?」


 コロがベッドに足をかけ少女を心配そうに様子を伺います。少女の名は明奈。明奈は病気のため目が見えません。読んでいた本は点字の本なのです。


「なんか悲しいお話でしたね。コロは私と一緒に逝く必要ないからね」


 コロは何だか悲しそう。明奈はコロの頭を軽く撫で話かけます。


「私も本を読んでいるだけじゃダメだよね?もっと体を動かすこと探さないと」


 明奈がコロと戯れていると、ノックもせず明奈の幼馴染みの祐輔が部屋に入ってきました。


「明奈!コロ貸して。犬ぞりレースに出たいからさ」


「コロは盲導犬だからそういうのはダメだよ」


「コロも明奈の相手ばっかりじゃつまんないないよな」


「そ、そんなことないもん!」


 明奈は怒りました。コロは明奈も祐輔も大好きだったので困ってしまいました。


「コロなら優勝出来ると思ったんだけどなぁ。ちょっと試しにソリ引かせてよ」


「ぶー」


 祐輔はコロと明奈を外に連れだすことに成功しました。祐輔はコロにソリをセットします。


「じゃ行って来る。コロ。GO」


 コロは祐輔の指示に従いゆっくり様子を見ながら歩きだしました。


「コロ。GOだよ」


 コロはゆっくり歩きます。


「コロお疲れ様。どうだった?」


 コロはゆっくりとコースを一周して明奈の所へ戻って来ました。


「アテが外れた。コロはレースには向かないや。他当たるよ」


 祐輔に送られコロと明奈は家に戻りました。


「犬ぞりか。今度は南極物語を読みましょう」


 明奈は再びベッドに戻り本をなぞります。本を読みながら明奈にある思いが出来ました。


(私、コロと犬ぞりレース出れないかしら?入賞は無理でも完走は出来るのでは?)


 目が見えない明奈は外に出て遊ぶことはありませんでした。ここに来てスポーツらしいことが出来るのに気づいたのです。


 夕食時、明奈は父母に犬ぞりレースについて相談。『無理しないなら良いよ』と許可をもらいました。


 昨日、祐輔が回ったコースをコロと明奈で回ってみます。転ぶことなく無事に完走出来ました。


(これならいける!)


明奈とコロは喜びました。


 犬ぞり大会当日。天候は快晴。気温は氷点下と寒くなりました。

『エントリーナンバー8番。北野明奈さんコロ号スタートしてくだい』


「行くよコロ」


 コロと明奈は勢い良く飛び出して行きました。

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― 新着の感想 ―
[一言] 短い中上手くまとまっていたなと思います。 1人と一匹、これからもいろんなチャレンジをして欲しいです。
2023/04/25 14:16 退会済み
管理
[一言] 祐輔くんがコロにソリを引かせたのは自分の楽しみのためでしたが、結果として明奈ちゃんのためにもなりましたね。 一度走ったコースならコロも走り方がわかっているでしょうし、明奈ちゃんは、安全に、普…
[一言] 祐輔くんがいい仕事をしましたね。 盲導犬はどうしてもパートナーのことを気遣ってスピードを出さないでしょうが、ゴールだけを目指すなら誰よりも安全に走ることができそう。 夢のあるお話でした。
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