魔法少女②
魔法少女は圧倒的に強かった。サソリの毒を受けて顔色は悪そうだったが普通に戦い、いままさにとどめを刺そうとしていた。
「これで終わりだよ!『ティンクルスターロッド』!!」
魔法少女が手を天にかざすと、星々の輝きが集約して杖が現れた。
「へー、本当に魔法っぽいね。いや、幼児向けアニメっぽいかな。」
ここでハニワから通信が入る。
「鈴木せん、もう少し化け物のデータが欲しいんだけど、魔法少女に殺させるの遅延させられます?」
「え?カメラマンだけじゃないの?」
魔法少女が化け物倒してお役目御免だと思ったのに〜!
「報酬として10ビットコイン(BTC)あげるからやって。」
「あのさぁ、その何とかコインて何なの?ガチャ10連とか回せるの?」
「んと……ガチャいっぱい回せますよ。ほら、無駄口叩いてると化け物殺されるので、早く!」
まぁ、弱みを握られている手前、拒否ると何されるか分からないから了承する。
「あの〜、魔法少女さん。ちょっと待ってもらってもいいですか?」
魔法少女と化け物の視線がわたしに注がれる。
「どうしたの?怪我でもした?」
「いやぁ、その虫を殺すの少し待ってもらえないかなと。」
その場の全員が凍りつく。
「え、何で?」
「もっと録画したいから……だそうです。」
明らかに怪訝そうな顔になる魔法少女。虫の化け物はもう虫の息で何も言わない。
「誰が?」
「ハニワがです。」
あ、この魔法少女、わたしのことを可哀想な目で見てやがる!
「悪い奴を倒さないともっと被害が出るから。埴輪君も分かってくれるよ!」
キラキラした顔で諭すように話す魔法少女。キモチワルイ……。どーでもいいけど、ハニワは女だし。
「あ、じゃあ待ってくれたら……ちょっと待って。」
思い出せないわたしは慌ててスマホを確認する。
「そう、待ってくれたら100ビットコインあげるからさ〜。」
「ビットコイン?何それ?それより倒しちゃった、ごめんね!埴輪君に宜しく言っておいてね。じゃあねー。」
魔法少女はスゴイ勢いで去っていった。
ハニワからの通信。
「何で力を使わなかったの?」
「あれ?魔法少女を殺して良かったの?」
少しの沈黙の後……
「いや、妨害するとかできないのって話ですよ。というか勝てるの?」
「どうだろうねー。力使って相手が生きてたこと無いからさ。じゃあ帰るね。」
気付くと警察や消防で埋め尽くされていた凄惨な現場を離れ、わたしは夕飯を買いにコンビニへと向かった。
「ガチャ楽しみだなぁ〜!」
お読みいただきまして誠にありがとうございます!
鈴木と魔法少女ステラ、この人たちビットコイン知らないんですねー。情弱だなぁ。(;´∀`)
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