無表情①
戦闘が終わり、わたしはハニワに酷く抗議をした!
「何でわたしの身体を使って幼馴染みを殺したのよ!」
「あぁ、鈴木さんの身体でなければ殺してもいいという話ですか?」
ラュォゾは死に際、とても憎しみに満ちた目をしていたのを思い出す。
「そうよ、わたしは幼馴染なの!わたしが殺したような憎悪の眼差しをラュォゾに向けられた。死ぬ時に……呪われたらどうするのよっ!!」
「霊媒師を呼んでもいいですよ。除霊料はアタシが出しましょうか?」
ダメだコイツは。人の気持ちなんて全く分かっていない。ましてや自分が他人に迷惑をかけていることすら分かっていない。
「チッ!機械人間に言っても無駄だわ。」
常々思っていた本音をぶつけると、ハニワはわたしに背を向ける。いつもなら即答で反論するのに。ちょっと言い過ぎたかな?
「プフッ!」
え?ハニワ、吹いた!?普段笑うところなんて見せたことがないハニワから笑い吹き出すなんて!いや、ソコじゃない。
「アンタ、今笑った?笑う場面じゃねーだろ!AIのくせに笑うなっ、クソが!!」
マジで切れたわたしを見ていつもの無表情に戻るハニワ。
「違います、鈴木さん。アタシはAIでも機械でもないです。100%生身の人間です。」
なら尚のことタチが悪い。もはやサイコパスの域に達しているとしか思えない。
「そーですか、そーですか。もういいよ、アンタに当たり前のことを言ったわたしが間違っていたよ。自分がわたしに殺されないからって調子に乗らないでよね!」
ハニワは無言を決め込む。もはや深い不快な溜息しか出ない。
「それでわたしの身体はどうしてくれるのよ?アンタの操り人形はイヤなんだけど。」
「その程度のデメリットで人智を超えたメリットを手放すのですか?愚かですね、鈴木さんは。」
確かに。人間の身体では絶対に得られない無限の可能性を感じざるを得ないのは事実。
「次同じことやったら……アンタ殺すからね。それくらい怒っているから。」
「分かりました。覚えておきます。」
わたしはハニワと別れ、帰路に着く。
◇◇◇
「ラュォゾを殺したのはキミだね?」
夜に差し掛かった暗い空に浮かぶソレはラュォゾの名を告げた。
「アナタは?」
全身が金属のようなシルバーだが人間の容姿ではなかった。四肢は無く頭部が身体に埋まっているようで気持ち悪いダルマのようだった。
「まさかこの星にラュォゾを倒す力があるとは思わなかった。」
「宇宙人的なモノですか?ラュォゾをあんな姿にしたのもアンタ?」
無表情だが否定はしなかった。無表情なヤツは大概ムカツク。ハニワへの怒りをコレにぶつけてやろう。
お読みいただきまして誠にありがとうございます~!
無表情なのって正直不気味です。でもミステリアスなキャラ付けには必要ですね。人外は論外ですが。(・∀・)アヒャ!!
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