ライダー①
いまわたしは凄いスピードで国道を爆走していた。そしてわたし達の後ろには赤いランプを回転させ、けたたましいサイレンを鳴らした白バイが追ってきていた。
「前のバイク止まりなさい!」
わたしが抱きついているライダーは左手の親指を立てると……急激に荷重が増した。加速度的にスピードが上がり、後ろの白バイが遥か彼方に小さくなった。
しばらく走ったあと、わたし達はコンビニに立ち寄る。
「鈴木さん、ちょっとトイレ行ってくる。」
彼は急いでコンビニに入っていく。わたしは振り落とされないよう必死にしがみついていた腕が痛くてその場に座り込む。
「何だい座り込んで。腰が抜けたのかい?ほらよ!」
コンビニから出てきたライダーがわたしに何かを投げた。わたしはそれをキャッチする。
「熱っ!!」
わたしは腕が痛くて力加減ができなかったのもあり強く握ってしまい、それを手の中で握り潰してしまう……そう、あんまんを!溢れ出したアツアツのあんでわたしは手を少し火傷した。
「ちょっとー、何ふざけたことしてんのよ!火傷したじゃん!!危うく殺すところだったよ!!!」
わたしはダッシュでコンビニに入り手洗い場で手を冷やした。
◇◇◇
「お巡りさん、ソレ俺じゃないよ。」
コンビニから出るとライダーが警察官2人に囲まれていた。
「いや、明らかにキミだろう?そのカッコ、そのバイク……他にいないでしょ?」
「そんなこと……他にも似たのいますよ。」
さっきの白バイから警察車両に情報が流れたのだろう。
「免許証出して。」
「ありません。いや、免許証は持ってますよ。ただ忘れた手元に無いだけで。」
警察官たちは溜息をつく。
「それ免許不携帯ね。」
「いや無免許運転じゃないですよ?」
ライダーは必至に説明をする。
「うん、だから免許不携帯ね。免許証が手元に無いならバイクは運転しないでね。」
「困ります!何でバイク乗れないんですか!?免許証は持ってるんですよ、手元には無いけど。免許証を交付されているということは運転技術は国が認めているんですよね?免許証が手元に無くたってバイク乗るのに支障ないでしょ?免許証が手元に無いと運転が下手になる訳じゃないんだから。俺の運転はプロ級ですよ。マジ勘弁してくださいよー。」
何だかよく分からない屁理屈を言い出すライダー。
「そうだね。でも免許不携帯だから運転はしないでね。とりあえず一回パトカーに乗って。」
「この分からず屋め!時間が無いんだよ。喰らえ、ライダーキック!!」
ライダーはパトカーに飛び蹴りを見舞うとパトカーはボンネットがひしゃげて折れ曲がり、エンジンから煙が上がる。
「鈴木さん、乗って!」
ライダーは半ば強制的にわたしをバイクに乗せて走り出す。
また正義のヒーローとのツーリングが始まった。(ん、正義のヒーローはパトカー破壊しないよね?)
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良い子のみんな、道路交通法は守ろう!('◇')ゞ
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