鈴木君②
放課後、彼の学校の校門で偶然出会えた。明らかに奇跡!わたしは彼の前で頭を下げる。
「今朝は助けてくれてありがとう。」
「キミは朝の……待っててくれたの?冗談だと思ってたよ。わざわざ来てくれて、ありがとう。」
顔を上げた先に彼の優しい笑顔が見えた。ショタ弟のイオの可愛さと、イケメン妹のヴェヴェの美麗さを足して二で割ったような爽やかさがわたしの心を温かくする。
「その、お礼にお茶でもどう……かな?」
わたし自身驚いた!いままで男子と付き合ったことはおろかデートもしたことがないのに、今は自然と想いを言葉にできた。
「俺もキミと話がしたかったから……良ければ行こうか。」
「うん!」
まさか彼もわたしを気にしていてくれたなんて。胸の鼓動が速くなる。
「待ちなさい。」
「え?」
女教師が話に割って入ってきた。
「さっきも聞いたんだけど、他校の生徒が鈴木君に何の用なのよ?」
「あ、彼に会えたんで良かったです。これからお茶しに行きます。お邪魔しました~。」
わたしは女教師にお礼を言って彼と並んでその場を去る。
◇◇◇
わたしたちは夕焼けに染まった川沿いの土手を歩いていた。
「へぇ~、苗字『鈴木』なんだ。俺も『鈴木』だから偶然だね。ま、どこにでもある苗字だけどね。」
鈴木君は々苗字にはそんなに驚いていないようだった。そうだよね『鈴木』だもんね……。
「それでも嬉しいかな。『鈴木』仲間だね。」
付け足した鈴木君の言葉に不意打たれて胸がキュンとした。
「わたし、も嬉しい。ずっと気になっていた相手が同じ苗字だなんて。あ……」
嬉しさのあまり本心が口に出てしまった!!顔が熱くなったわたしは俯く。鈴木君が口を開く。
「俺もさ……前から鈴木さんのこと気になってたんだ。」
わたしはその言葉に彼の顔を見上げる。さっきよりも赤い顏だっただろうけどそれどころではなかったから。そして彼が言葉を続ける。
「俺と付き合ってくれない……かな。」
「え。」
わたしは頭が真っ白になる……人生初めての衝撃的な台詞に!
その瞬間、わたしのスマホに電話がかかってきた。
「いいよ、電話出て。」
鈴木君はこんなバッドタイミングでも優しくフォローしてくれた。
「ごめんね。もしもし……」
電話はハニワからだった。わたしは急に怒りを感じた。こんな人生最大のチャンスに何で電話をしてくるかな!本当にむかつく!!と思いつつ、鈴木君の前で怒鳴る訳にもいかず何とか冷静を装う。
「兄輪ちゃん、ごめんね。あとで掛け直すから切るね。え?」
ハニワは急いでメールだけ見てと言って電話が切れた。とりあえずメールを開く。
「急用?忙しいならまたでも……」
鈴木君はわたしに気を遣ってくれたのだろう。
「うん。今日は帰るね。じゃあ……」
わたしは駆け出してその場を離れた。
ハニワのメールには鈴木君のことが書いてあり……わたしは通学路を変えた。
お読みいただきまして誠にありがとうございます!
あの鈴木が青春するだなんて。お互いに気になっていた二人の心が繋がる瞬間。甘酸っぱいね~。そこに邪魔が入るなんて、悪魔のハニワここにあり。
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