孤島②
「お腹すいたな。」
浜辺で横になるわたし。厳密には倒れていた。
悪の秘密結社を壊滅したものの日本に帰る手段を失ったことを後から気付いた。とりあえず食糧を求めアジトの中を一通り探したけど、ほとんどのドアはロックされていた。あれだけの怪人が居たのだから相当な食糧があるはずだけどドアが開かないのでは食糧にありつけない。
仕方なくアジトを出て海に行って魚でも獲ろうと考えたが、魚っててどうやって獲るのか分からず途方に暮れる。幸い浜辺に打ち上げられたコンブみたいな海藻を見つけそれをかじる。
それから3日が過ぎ、海藻も無くなった。海の中にはあるのだろうけど……わたしは泳げない。そして飲む水も見つからず意識が朦朧としてきた。もうダメかもと諦めていた。
「お姉ちゃん、どうしたの?」
「まだ死なないでください、鈴木さん。」
幻聴ってヤツかな?居もしない人の声が聞こえた。一つの声は先日できた弟のイオ、もう一つの声は同級生の兄輪ことハニワ。
いや、居た。霞む視界に覗き込むイオの顔が映る。
「イオ?」
「帰ってこないから探しに来たよ。眠いの?」
横たわっているわたしが眠いように見えたのだろう。このままでは永遠に眠りそうなんだけど。
「助けに来てくれなんだね。ありがとう。水が飲みたい。」
イオはわたしに水を飲ませてくれた。
「うげぇ!おええええぇーっ!!ゲホゲホ!!!」
欲した水が喉に流れるが海水であった。吐き出し咽るわたしはのたうち回る!
「どうしたの?お姉ちゃん。」
「イ……オ、海の水……は飲めない。ハァ……ハァ。」
イオの表情は多分分かっていない気がする。
「そう……日本に……帰ろう。」
「どうやって帰るの?お姉ちゃん。」
何を言っているんだ、コイツはぁ~!!イオの言葉に意識が遠のく。
「それ以上は危険です。」
そこでハニワの声が聞こえた。乾く喉にまとわりつく塩分の苦痛に悶えながら薄れる意識のまま視線を上げると、海鳥がわたしを見ていた。その海鳥からハニワの声が聞こえた。
「あと5分で着くので死なないでください、鈴木さん。それが弟ですか。鈴木さんには何もしないでください、鈴木ゐを氏。」
海鳥がどうとかどうでも良かった。ハニワの声にようやく安心するわたし。今度こそ助かると思った。
わたしとイオは到着したハニワに救助され日本に帰国することができた。正規の入国ではなかったが……。
お読みいただきまして誠にありがとうございます!
無人島で一人になったら生き残れるかと考えると多分無理でしょうね。遠い太平洋の孤島まで来てくれる人達がいて鈴木はしあわせ者ですねー。
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