悪の組織②
「そこの娘さん。」
街角で声を掛けられた。ナンパかと思った(期待した)がそうではなかった。だいたい『娘さん』って明らかにかなり年上から年下にかけられる呼称ですよね。振り返ると……うん、確かにおじさんだった。パパって感じかな。お金持っているかは身なりからでは微妙なライン。
「何ですか?」
「怪人を撮影していたよね、この前。どうして?」
何だろう、その質問。
「カイジンって何ですか?」
「この前、街で人間を襲ったコウモリの怪人ですよ。撮影してたよね?どうして?」
分かったことは……ヤバイ人だということ。正直キモイ!
「はぁ、友達……いや、知人に頼まれて。もういいですか?」
わたしは背を向けて歩みを進める。
「誰に頼まれたの?どうして?」
気持ち悪いので無視して立ち去りました。
「とう!」
「あうっ!」
急な衝撃に視界がグラつきブラックアウトするわたし。
◇◇◇
「こ、ここは?」
薄暗く広い場所にいたわたしは……両手両足をロープで縛られて身動きができない。何だか酷く揺れる。
「目が覚めたかね?娘さん。」
「どういうことですか、コレ?解いてください。」
まさか捕まるとは思わなかった。ただの気持ち悪いおじさんだと油断していた。
「誘拐なんて警察が黙ってませんよ!早く解放して自首して下さい。悪いこと言わないので。」
「警察が助けてくれるの?どうして?」
そういえばこのおじさん、コウモリの化け物のことを聞いてたんだっけ?ってことは……
「おじさん、悪の組織の人なの?」
「うふふ。おじさんはね『秘密結社ダークブラック』の『マスター・アテミ』。我が当身を受けると必ず気絶する。」
「わたしは当身にやられたの!?不覚。『秘密結社ダークブラック』?黒一色なんですね。」
「ところで、コウモリ怪人ブラックバットを誰が殺したのか知っているかな?娘さん。」
なるほどなるほど。コウモリ怪人とやらを殺った犯人を探しているのか。
「わたしが殺しました。」
「嘘は良くないよ、娘さん。うふふ。」
あえて真実を伝えたんだけどやっぱり信じてもらえないか。ていうか笑い方も気持ち悪い。オカマか!
「あと8日もすればこの船は太平洋の孤島にあるアジトに着きます。そうしたら娘さん、アナタを怪人に改造してあげます。洗脳で情報も自分から吐露するでしょう。うふふ〜!」
船で日本から太平洋の孤島へ!!思った以上にヤバイ状況だあー!!!
お読みいただきまして誠にありがとうございます!
キモイおじさんこと『マスター・アテミ』参上!センスの無い名前に作者愕然!誰だ、こんな名前付けたの。それはわたしです。^ - ^
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