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4/10

4速


(よいしょ、前輪は無事に装着完了。クイックリリースってのは便利だな、ママチャリもナットじゃなくてこっちに変えれないのかね)


 フレームにホイールを装着すると、一気に整備中っぽい感じが消えるな。ところで後輪はいっぱいギアがあるけど、コレどうやってつけるんだ?


(確か後ろのギアを一番小さい、重いギアの位置に変速しておくんだよな)


 ギア(正確にはスプロケット)自体はリアホイールについているから、この状態でシフトレバーを動かしてもディレイラーだけがカタカタと動くだけだ。しかしメカは気持ちよく動くし、シフトレバーの操作感もカチカチと小気味良くて楽しい。ちょっとフロントギアの変速もしてみようっと。


 ガチン! ガッチン!


(うお、こっちのほうはなんかギクシャクするのな。フロントは2枚しかギアは無いけど、大きさがだいぶ違うから軽い方から上げるときはガッシリ押し込まないと上がんないな)


 ちょっとビックリしたが、ちゃんとディレイラーは動くようなので壊れてるわけではなさそうだ。まあフロント変速はこういうモノなんだろう。それよりも後輪をはめなければ。


(えっと、後輪をある程度はめたらリアディレイラーとチェーンを持ち上げて、チェーンとギアを上手く噛み合わせながらシャフトをエンドにはめる……)


 文章にすると難しいだろ? 実際は適当にやってもはまるぜ。ロードバイクってかなり整備性がいいな、これなら気軽にホイール外してスプロケットを洗う、とかできそうだ。


(おお、まだ細かい調整は済んでないがとうとうロードバイクとしての形に仕上がったぞ!)


 ちゃんと組み立てが出来て(フレームにホイールつけただけだが)嬉しくなってくる。俺はおまけでついてきたメンテナンススタンドを後輪のクイックリリースのとこに挟み込み、CAAD10をひっくり返した。うーむ、惚れ惚れするな。キシメンスポークも期待通り迫力があって素晴らしい。


 おっと、うっとりしてる場合じゃない。タイヤをはめたらキャリパーブレーキの方のクイックリリースを締めてっと。んで六角でブレーキワイヤーの調節だ。ブレーキレバーを引いたりしながら、良い感じの引きシロに調節。そして予め新品に変えておいたブレーキシューの位置も六角で調整する。

 これでブレーキの調整は終わり。ちょっとブレーキシューの位置調整がシビアだったが、新しいブレーキシューはカートリッジ式だから次からは位置調整の必要はないから楽だ。


ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー


 サドルの位置もネットを参考にし、ギリギリ足がつくくらいに上げまくった。ロードバイクにスタンドは不要という声もあるが、俺はそんなにストイックではないのでスタンドもつけた。チェーンにちまちまとオイルをさし終えて、いよいよ初サイクリングの時がやってきた!


(おっおっおっ、めっちゃサドルたけえし、なんか勝手に姿勢が低くなるぞ……というか、ペダルおっも!)


 あ、よく考えたら後輪はめたときにギア一番重くしてたんだった。頑張って漕ぎながら3段ほどギアを落とした瞬間……


「うわぁ……きっもちいい! なんだこりゃ!」


 まるで地面を滑走するかのように、サァーっと走っていく! 漕いでも漕いでも加速していくし、ギアをさらに3段落として漕いでもシャカシャカ回る感じではない。なるほど平地では6速あたりからでもスタートできる感じなんだな。


(よし! 六角さえありゃほぼ全ての調整ができるし、走りながらちょっとずつ仕上げよう。たんのすぃー!!)


 悲しいことにサイコンはついてなかったので、今の速度とかケイデンス……ペダルを1分間に何回くらい回しているかの数値とかはわからない。しかし体感だと普通に流してるだけでママチャリの全力疾走並みにスピード出てる。同じ自転車という種類の乗り物に乗っているとは思えないくらいだ。


「とっとと、ブレーキがちょっとスカスカだな」


 遊びを持たせたブレーキシューの位置取りをしたのが裏目に出たのか、それともブレーキのキャリパー本体の左右バランスが狂っているのか。どちらも六角でササっと調整できるので早速道端でいじってみる。


(キャリパーは念のためもう一回中央に寄せとこ。六角ゆるめてグラついてきたらブレーキレバー握ってと)


 こうするとホイールを掴んだキャリパーの左右のバランスが均等になる。ブレーキを握ったままキャリパーの六角をキチキチに締めれば、キレイな位置で固定できる。


(問題はシューだな。限界まで近づけよう)


 クイックリリースの裏にも六角の穴があり、それをゆるめればシューをホイールで挟み込む動きを担当するワイヤーを調整できる。このワイヤーをさっきよりも引っ張り出して六角を仮留めしブレーキレバーを引いてみる。


(わ、ブレーキレバー動かねえほどカツカツだ。ちょっとワイヤー張りすぎたな。あとチビっとだけゆるめよう)


 わずかにゆるめたがこれでもまだ遊びがまったくないように感じる。でもさっきの調整だとゆるゆるだったもんなぁ。まあ効かないよりはガックンブレーキの方がマシだしコレで試運転再開だ。


(ある程度スピードに乗ったな、ブレーキを……お。なんだ意外と良い感じにじわじわ効くじゃねえか!)


 遊びはないのだが、ブレーキシューがリムに当たった後からがじわじわと効いていき、さっきよりかなり性能を発揮できている。安全を確認してからガッとリアブレーキを引いてみると……


(おっととととと!! ひゃ~!!)


 リアのタイヤがロック(強すぎる力でブレーキを引いて、走行中にタイヤの回転が0になってしまう状態)されて、ザァーと引きずられる音が。コントロールを完全に失う前にリアブレーキをゆるめ、フロントブレーキも使い安全に停車する。

 うーむ、ママチャリでもこの遊びはたまにしていたが、タイヤの性能のおかげかかなりスピード出た状態でも中々ロックしにくいな。ロックの直前までちゃんとブレーキの力を地面に伝えてる感触もあるし、さすがミシュランの最高クラスのタイヤだ。一皮剥けたらいったいどんなバケモノグリップになっちまうんだ!?


ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー


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