表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

3/10

3速


 1週間後。俺の家に巨大なお荷物が届いた。


「やべえ、マジで買っちまった……」


 段ボールを開けると、中にはホワイトのフレームが。すでにインストールされているコンポたちには"105"の文字。そう、意を決した俺は15万円という大金で中古のロードバイクを買ってしまったのだ!


「中古にしちゃ結構キレイじゃないか。よろしくな、カーボンキラー」


 2015年モデルのCAAD10。俺の新しい相棒だ。ママチャリくんにはしばらくお暇をくれて、これからはこいつに足となってもらう。おっと、もう一つ巨大な段ボールがあるんだった。うっかりイカすフレームやメカメカしいコンポに見とれてたぜ。


「うひょー、ほんとにスポーク少ねえな」


 こっちの段ボールにはホイールが。カンパニョーロのユーラスC15だ。そう、初めてアイドルを見たときに印象的だった、スカスカだったリアホイールと同じ組み方をしているやつだ。でもアイドルが履いてたのは真っ黒だったから、たぶんアルミ最上級モデルのシャマル・ミレだろうか。でもユーラスだって上から2、3番目なんだぜ?


(もっと安くでゾンダを履いたCAAD10を選ぶのもアリだったんだけどな。でもよく見るとキシメンスポークじゃないから覇気が無いもんなぁ)


 ゾンダもユーラスやシャマル・ミレと同じくカンパニョーロのホイールだ。ゾンダはズバ抜けたコスパの良さで大人気のホイールである。

 しかし一度シャマル・ミレのインパクトあるキシメンスポークを見ちまうと、ただの丸スポークは物足りなく感じるんだよな。

 なので俺はキシメンスポークかつギリギリ手頃な価格のユーラス付きCAAD10の購入に踏み切ったのだ。


ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー


(それじゃ早速、ホイールにタイヤをつけてみよう)


 中古のホイールには緩衝材がわりにすでに前所有者が使ってたタイヤがついている場合が多い。このユーラスにもミシュランのプロ4という、タイヤのサイドに派手なカラーが塗られたタイヤがはまっているが、恐らく傷んでいるだろうから外して捨てる。


(お、結構カンタンだな。ベロっとはがれて気持ちいい)


 整備道具はすでに通販で一通り揃えた。タイヤレバーをホイールとタイヤの間に上手く差し込み、クイッとするとすぐに外せた。中のチューブも取り出すと、リムにゴム質が少しへばりついてたので拭き取る。


(リムテープとやらはコレには要らないんだよな。しかしホイールって軽いんだな。ユーラスはかなり軽い部類ってのもあるのかもしれんが)


 新しいチューブをグルリと巻きつけてさあタイヤをセットという時に事件は起きた。


(む、意外とタイヤの内側にチューブ入れながらタイヤをはめるの難しいな?)


 最初らへんは何とかなるのだが、半分辺りでなんだかグダグダになって位置がおかしくなる。そうなると無理にタイヤをはめるとチューブを噛みこんでるっぽいので、また最初からリセットだ。

 イライラするし、なんか新品のタイヤを手のひらでずっとギュッギュしていると謎の塩みたいなベッタベタの粉がめっちゃ出てきた。


「うわなんじゃこりゃ! コレ触っても大丈夫なやつか?」


 無限に出てくるぞこの塩! なんなんだよいったい、ネットじゃこんな情報見かけなかったぞ。何度もタイヤをはめたり外したりして指はめっちゃヒリヒリしてくるし、手はベッタベタだし最悪だ……あ、なんか良い感じにできてきた!


「ふぃ~、やっとあと少しか……ふんぎ、ふんぎ……ンギィィィィィ!!!???」


 かってェェェェ! 最後の5cmくらいからぜんっぜんタイヤがはまんねえ! んだよこれほんとにゴムか? 柔らかめって評判のミシュランのパワーエンデュランスをチョイスしたのにこれだぞ。ああくそ、指取れるんじゃねえかマジで。


「あああああああ!!! わいどらゴラァァァ!!」

(※あああああああ!!! お前はコラァァァァ!!)


 タイヤレバーははめる時はいまいち使えねえ! ということは指で押し込むしかない。俺は指にタコを作りながら、なんとか1本目のタイヤ装着を終えたのであった。


「ふぅ……もう一本は休憩してからにしよう」


 いや、ほんと疲れるよタイヤの装着。ていうか1本できたけど、まったくコツがわかんねえ。これもう一回できるかな、俺。


ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー


 驚いた。二本目は拍子抜けするほどあっさりできた。自分でも意味がわからないが、体が無意識にコツを掴んでくれたのだろうか?


(まあいいや、次はかるーく空気をいれてみよう)


 フレームに取り付けてから空気を入れてもいいのだが、俺は初めてタイヤの装着をしたのでもしかしたらタイヤがチューブを噛みこんでるかもしれない。

 もし噛みこんでいても、タイヤをよーく揉みながら少しずつ空気をいれると、噛みこみがほぐれて破裂を防げるらしい。


(全体をグニグニ……こんなもんか、よs)


 ボパァァァァァァァァァァン!!!!!


「おわァァァァァァ!!」


 し、死ぬかと思った……空気入れを一押しした瞬間、轟音と空気の震えが間近で俺を襲った。いやこれ、もしも噛みこんだまま上手く空気満タンに入れちゃって、交番の前とか走ってる途中で破裂したら発砲容疑で捕まるレベルだわ。

 ていうか心臓のドキドキが止まらんけど大丈夫か俺……死なないよな?


(くそ、やっちまったもんは仕方ない。さっき外した古いチューブを再利用しよう)


 破裂した新品のチューブは、無惨にもパックリと裂けてしまっていた。俺の心臓も破裂しそうだよ、冗談抜きで。


(ていうか、こっちのタイヤもっかいはめ直しかよ! それが一番ダルいわ)


 が、3度目ともなると意外なほどスムーズにタイヤをホイールにはめれた。失敗もしてしまったが、なんとか無事にタイヤを装着し終えた。ちょっと休憩して次の作業に取りかかろう。


ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー


評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ