表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
悪魔に転生した俺は復讐を誓う  作者: 向笠 蒼維
第1章 地獄の道
73/141

悪魔に天使が舞い降りた


漆黒の世界が全てを包み込む。



意識は戻っているけど、五感が全く働いていない。

もしかして死後の世界かと不安を抱えたが、すぐにその考えはなくなった。


魔力の流れを感じることができたから。


でも、闇を取り込むことはできない。

この原因はすぐに思いついた。輪廻天昇だ。


元々、この場の闇は俺が隔離していた。ミツメが闇を取り込み過ぎないようにした処置だが、それのせいで闇が無い状態になっていた。


それでも気を失った瞬間に隔離していた闇が解放されているはず。

それなのに闇を感知できない。おそらく俺の闇の体を消し飛ばしたように、闇も消し飛ばしてしまったのだろう。


近くには闇がない。そうなると、体を形成することができない。

なので現在、な~んにもできません。これで魔力が感知できていなかったら発狂しているところだよ。


はぁ、強大な力には代償が付きまとうってことなのかな。

というか聖霊魔法って、悪魔が使う魔法じゃないよね? 魂の穢れを祓う魔法だから、穢れだらけの悪魔は一瞬で消滅するでしょ。

そんなのを悪魔が使えば、そりゃ体も消え去るよ。むしろ、生き残ったことが異常なんじゃない?




でも、これでスクイも輪廻の輪に戻れたのかな。


輪廻天昇は魂の穢れを祓い、膨大な光と共に魂を天に送る魔法。

輪廻の輪に戻る保証はないんだけど、何となく大丈夫だと思えた。どっからこの自信は湧いてくるんだろうね。



ミツメは、意識を取り戻したのかな? 暴走は止めたけど、危険な状態だったから心配だ。

スライムは、マコトがいるから大丈夫だとは思うけど、もし何かあったらマコトをぶん殴る。



あ、そういえば次はマコトと戦わなきゃいけないのか。

勝てるかな? 攻撃は当たらないし、影を操ることもできる。そして思考がぶっ飛んでいて何をしてくるか分からない。

魔法を全方向に放つとかしないと傷つけることすら難しいね。今のうちに戦略考えておかないと。



頭の中でマコトを倒すための戦略を練っていると、何かに触れる感覚がした。漸く闇が戻ってきたみたいだね。


体に触れた闇を取り込んでいく。意識を向けると闇から雑多な意思が流れ込んできた。

でも、今までのように痛みを伴うことはなかった。


負の感情に塗られた意思に共感し、受け入れていく。

恐怖も、後悔も、遺恨も、殺意も、希望も、そのすべてを。



闇が体を構成し、魔力が全身を巡る。

感覚が戻り、自分が横たわっていることに気付いた。


ゆっくりと目を開けると、遠くに天井が見える。

視覚がちゃんと戻っているし、暗視もできている。


腕を動かしてみる。地面と腕が擦れる音が聞こえた。五感は大丈夫そうだね。嗅覚と味覚は使わないから無視。


手を前に翳す。闇で出来た真っ黒な手。

今までは微かに靄が漏れ出ていたのに、それがなくなっている。人間の手が真っ黒に染まったみたいだね。


軽く動かしてみたけど、違和感はなかった。むしろ今までよりも思い通りに動かせている気がする。



無事に復活できたことに安堵の溜息を漏らす。

元々闇で形成した体だから闇を取り込めば元に戻るとは思っていたけど、実際に無事を確認するまでは不安を拭うことができなかった。

聖霊魔法を使えばマコトにも余裕で勝てるんじゃないかと淡い期待を寄せていたけど、この体だと自滅もいいところだから止めた方がいいね。強力だけど、もし防がれたらその時点で負けが決定するし。



それにしても、すごい威力だよね。

天井に空いた穴を見て、輪廻天昇の威力を思い知った。あの魔法って魂の穢れを祓うのが目的なのに、何で天井ぶち抜いているの?



疑問を抱きつつ、ゆっくりと体を起こす。次の瞬間、疑問は綺麗に消し飛んだ。



『起きた?』



横から可愛らしい声が聞こえてきた。


そこにいたのは小さな女の子。黒髪ショートで黒いワンピース。そこから伸びる手足は白くか細い。

大きな瞳はブルーサファイアのように輝く深い青。おっとりとした表情には愛くるしさが前面に押し出されている。

そして、少し頭を傾けて俺に問いかけている仕草は最早愛おしい。



『……悪魔に天使が舞い降りた』

『何寝ぼけているんすか』



こんな可愛い子が地獄にいるわけがない。

そうか! 俺が放った聖霊魔法が天使を降臨させたのか!



『まだ、眠い?』



首を反対側にコテンと倒して問いかけてくる。

愛おしさが止まらない!



『俺の天使、めっちゃ可愛えぇ!』

『ちょっと、御子さん! まだ狂化状態続いているんすか? 早く正気に戻ってくれないと、自分だけじゃ異常者達の相手できないんすよ!』





バンバンバンバンバンバンバンバン!



俺は萌え悶えしつつも理性を保つために地面を叩いていた。理性を保たないと、抱きしめたい欲求が止められない。

ただでさえ悪魔で人間で神の御子っていう設定過多なのに、ここにロリコンという不名誉な設定を追加してしまうことになる。


断じて、ロリコンではない。小さい生き物が好きなだけだ。



『……ふぅ』

『御子さん、落ち着いたっすか?』

『ん? あぁ、いたの』

『結構前からここにいて声をかけていたんすけどね、自分ってそんなに存在感ないんすかね』

『そんなことはどうでもいい。この天使は一体どこから降臨したの?』

『その子は天使じゃないっすよ。一応は悪魔っす』

『……悪魔、だとっ!?』



こんな可愛い子が悪魔? その愛くるしさで人の心を掴んで離さない小悪魔なのか?

くそう! 分かっていても欲望に逆らえない!



『ここにもロリコンがいたんすね』



バシュ



『ちょ!? 針が顔面掠ったっすよ!』

『突き刺さればよかったのに』



反射的に針を射出したけど、今までよりも形状変化がスムーズにできたね。何度か戦いを経験したから闇の扱いが上達したのかな。

っと、思考が逸れてしまった。今はそれどころじゃない。俺は小さな女の子の前でしゃがんで目線を合わせてから声をかけた。



『えっと、君の名前は?』

『名前、まだない』

『その子は生まれたばかりなんで、まだ名前を決めていないんすよ』

『生まれたばかり? なんでそんな子がこんなところに?』

『何言っているんすか。ずっと一緒にいたじゃないっすか』

『え?』



ずっと一緒にいた? こんな可愛い子を忘れるわけが……、あ。



『……もしかして、スライム?』

『そうっすよ』

『えぇ!?』



なんてことでしょう。あの可愛かったスライムが、より可愛さを爆上げして天使になるなんて。

あぁ、ここまで連れてきてよかった。……途中何回か存在を忘れていたけども。



『先に女の子の名前を考えた方がいいっすかね』

『名前、スライムでいい』

『それはあかん! ちゃんとした名前を付けなあかん!』



言葉遣いが関西寄りになったけど、大事な名前なんだからノリで決めたら駄目だ。

ノリで決めた名前がその子の人生に大きな悪影響を与えることだってあるんだから、ここは慎重に考えなければならない。



『名前、付けて』

『……よし、全身全霊をかけて最良の名前を考えるからね』

『今までの戦いよりも気迫が凄いんすけど』



意気込んでは見たものの、どういう名前がいいのかな?


見た目の特徴で言えば、ブルーサファイアのように輝く瞳と、真っ黒な髪とワンピース。

目が真ん丸だから青い月のようにも見えるね。



闇夜を照らす青い月。



ブルームーンは滅多に見られない神秘的な月だったはず。

神秘的か。神話で月の神っていたよね。ツクヨミだったか。というか、何で記憶ないのにこういう知識は出てくるんだろう? こんな雑学よりも覚えておかなきゃいけないことは沢山あるでしょうに。


おっと、脱線してしまった。


月の神はこの子にぴったりの二つ名だと思う。今は天使だけど、大きくなったら女神のように綺麗な女性になることは間違いないもの。

でも、ツクヨミって男神だったような……。まぁ、良いか。見た前は女の子でも悪魔だから性別は無いんだし。でもそのままだと呼びにくいから、短くした方がいいかな?



『……ヨミ、って名前はどう?』

『うん、分かった』

『え?』



少し躊躇いながらも考えた名前を伝えたら即答されて一瞬呆けてしまった。



『本当にいいの? 気に入ってないなら他の名前を考えるけど』

『ヨミ、気に入った。この名前、好き』

『っしゃあ!!』

『名前貰った方より名付けた方の喜びが凄いっすね』



女の子、ヨミが名前を気に入ってくれたことにガッツポーズをして歓喜の雄叫びを上げた。



『私は、なんて呼べばいい?』

『え? あー』



そういえば名前なかったね。御子は肩書みたいなもんだし。

御子って呼んでもらうでもいいけど、せっかくなら名前がいいな。



『俺も名前はないんだよ。よかったら付けてくれない?』

『じゃあクロスケとかどうっすか? 全身真っ黒でちょうどいいっすよ』



バシュ



『ちょおい!? ハリネズミみたいに背中から針出さないでくださいっす! 刺さっちゃう、というか刺さったっすよ!』

『ヨミ、どうかな?』

『うん、わかった』

『また無視っ!?』



ヨミはおっとりとした表情のまま考え込み、右にコテン、左にコテンと首を動かす。もうその仕草が心を鷲掴みにしています!

暫くその仕草を堪能していたら、不意に動きが止まり、ヨミの口が開いた。



『メア』

『……メア、か』



流れでクロスケになりそうだったけど、意外にちゃんとした名前を考え出してくれたみたいだ。



『どう?』

『うん。気に入ったよ』



正直名前にこだわりはないから、ヨミがクロスケって言っていたらクロスケでも構わなかったんだけどね。

折角なら格好いい名前がいいし、ヨミがつけてくれた名前だからこれからはメアを名乗っていこう。



『じゃあ、これからよろしくね。ヨミ』

『うん。メア』



悪魔になって初めて、俺に仲間ができた瞬間だった。



評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ