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悪魔に転生した俺は復讐を誓う  作者: 向笠 蒼維
第1章 地獄の道
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【side マコト】悪魔の本領

マコト視点

御子さんとスクイさんは除くとして、自分が相手をしないといけないのはマコさんとチコさん、ミツメ君とムカデの婆さんの4体っすかね。

魔力的にはムカデの婆さんよりフウガさんの方が上っすけど、ムカデの婆さんも召喚魔法が使えるんすよね。


ただでさえスクイさんが100体以上も魔獣を召喚しているのに、虫の魔獣が追加されたらさらに場がカオスになってしまうっす。

スクイさんが召喚した悪魔と魔獣は数が多いだけでそれほど強くはないんで、脅威としてカウントできるのはフウガさんくらいっすかね。


そういう意味だと、一番最初に抑えないといけないのはムカデの婆さんっすかね。

って考えているうちに、ムカデの婆さんが魔法を発動しようとしているんすけど!?



『がぁあああぁ!!』



ムカデの婆さんに目掛けて駆け出そうとしたところで、ミツメ君の咆哮が。

反射的にそちらを向くと、黒い風がミツメ君を中心に噴き出していたっす。風は洞窟に流れ、触れた魔鉱石の表面を崩してサラサラとした砂煙を空に舞わせたっす。

……いや、あの風やばくないっすか!?


魔力で自身に膜を張っていたんすけど、風に触れただけで剥がれてしまったっす。

ミツメ君の風を警戒して後方に跳び、再び魔力を身に纏う。



『マコトちゃーん!!』

『見つけたわ~!!』

『ぬをぉ!?』



風で魔力を剥がされた時に幻術の効果も消えてしまったのか、変態2体に居場所がバレてしまったっす。

何か、通常時とあまり変わらないんすけど、本当に狂化状態なんすか? かかっているフリっすか?


って、そんな悠長にしている場合じゃないっす! このままじゃ、自分の貞操が!



『幻夢!』



変態に向けて魔法を発動させたっす。これで偽物の自分を見せて難を逃れようとしたんすけど、ミツメ君の風に邪魔されてしまったっす。

幻夢は放出した魔力を相手にぶつけることで幻術に嵌める魔法なんすけど、空間がミツメ君の風で薄く染められているせいか、魔力の通りが悪い。

その結果、魔法がかからずに変態2体は自分をロックオンしたままっす。


直接触れて魔力を流せば幻術にかけることはできるんすけど、変態に触りたくないんで却下っすね。

ミツメ君の風が厄介すぎるっす。幻覚で姿を眩ませることができないんで、隠れながら行動できないのが痛いっすね。

直接対峙しないといけないのは辛いんすけど。



『"魔蟲召喚"!』

『あっ!?』



ミツメ君と変態に気を取られてしまったせいで、ムカデの婆さんに魔法を唱える隙を与えてしまったっす。

後方からうじゃうじゃと虫の大群が。こっちも100体以上は確実にいるっすね。大百足がいないのがせめてもの救いっす。


後方から多様な虫が迫ってきていて、前方からは変態2体とスクイさんの召喚した悪魔や魔獣の群れ。

全方向からミツメ君の風、たまにフウガさんの斬撃。



自分一人じゃ手が回んないんすけど!? 本当にヘルプは無しっすか!?

……はぁ、肉体労働は好きじゃないんすけど、やるしかないっすね。



『"幻影剣"』



魔法によって剣を生成する。幻影剣は幻覚魔法との親和性が高い魔法剣っす。軌道の方向を錯覚させたり斬撃を見えなくしたりできる優れモノなんすけど、ミツメ君の風が邪魔をしている状態だと幻術は使えないっすからね。最早、ただのロングソードっす。

悪魔は厳しいっすけど、魔獣なら普通の剣で十分っす。



迫ってきた蠍と蜘蛛の魔獣の首を幻影剣で刎ねる。そのまま変態2体の足元を切りつけて牽制し、一気に後方へと駆け出したっす。

さすがに、これ以上召喚されるのは避けたいんで、ムカデの婆さんを狩らせてもらうっすよ。


すれ違う虫達の首を狩りつつ、ムカデの婆さんに急接近する。すると、ムカデの婆さんはこちらを睨みつけ、手をこちらに向けてきたっす。



『"魔毒"』

『ちょっ、その毒は駄目っすよ!』



正面から迫ってくる毒液の塊を、咄嗟に発動させた空歩で上に飛んで躱したっす。あの毒は魔力の循環を阻害するんで、触れると魔法が使えなくなるんすよね。


毒はいつの間にか自分の後ろに肉薄していたマコさんにぶつかったっす。

……上に飛んでいなかったら捕まっていたっすね。


でも、これでマコさんは魔法が使えなくなって弱体化するはず。

という、甘い考えは一瞬で消え去ったっす。



『"炎纏"』



マコさんが魔法を唱えた瞬間、全身に炎を纏ったっす。それにより一瞬で毒が蒸発。

そうなると、毒の成分が上に舞うわけで。



『なんでこっちに飛ばすんすか!?』



空歩で横に跳び、マコさんから急いで離れたっす。でも、そこにもう一体の変態が。



『"氷樹崩塵"』

『上級魔法を不意打ちで使わないでほしいんすけど!?』



氷の樹が地面の魔法陣から伸び、一気に自分の周りを囲う。

樹の枝に触れた魔獣は抵抗虚しく氷漬けにされているっす。自分っすか? 目下抵抗中っすよ!


魔力でコーティングした剣なら枝に触れても凍り付かずに両断できるっすけど、切り飛ばしてもすぐに成長して抜け出せないっす。

さすがに全方向から伸びる氷の枝を剣一つで防ぐのは無理っすよ!


纏わせていた魔力は次第に剥がれ落ち、剣は枝に張り付いてしまったっす。伸び続ける枝を躱すことができず、自分の体に枝がくっつき、そのまま体を氷の蔦が絡みついたっす。

……あぁもう、逃げれないっすね。



あっという間に幻想的な氷の樹海が洞窟に作られたっす。そこは、氷による死の世界。

一拍の静寂の後に、樹海は端から崩れ始めたっす。枝も樹も、凍り付いていた魔獣もすべて、氷の粒子となって空に舞う。


氷の枝で敵を捕まえ、凍ったものすべてを塵へと還す広範囲氷結魔法。捕まった瞬間、死を覚悟しないといけない凶悪な魔法っす。

崩壊は一瞬で終わり、残ったのはきらきらとした氷の粒子だけ。自分の体も、崩壊して塵になったっす。



2体の変態は満足したのか、次の標的をフウガさんに定めて歩き出したっす。

好みで倒す相手を決めているんすかね? この中だと自分が一番好みだと。全然嬉しくないっすね。



グサッグサッ



変態は足を止め、下を見る。そこには、腹部から剣が生えている光景が。



『はぁ、手品の種を晒すような真似はしたくなかったんすけどね』



変態が後ろを振り向くと、そこには塵になったはずの自分がいる。しかも2体も。

驚きっすよね。狂化状態じゃなければいいリアクションをとってくれたと思うんすけど、残念っす。



2体に刺した剣から魔力を流し込み、幻夢で幻術に嵌めたっす。

ビクンと体が跳ね、そのまま頭をガクンと落として自我を完全に失う変態。これで襲われることはなくなったっすね。



遠くを見ると、そこにはもう一体の自分がムカデの婆さんを剣で刺している光景が見えたっす。これで、危険人物を3体無力化できたっすね。


もう少しうまく立ち回れば、虚実分身をサトリさんに見られずに済んだと思うんすけど。

まぁ、見られたモンはしょうがないっすよね。開き直って、とっとと残りの悪魔を倒すっす。



残りはミツメ君とフウガさんっすね。

フウガさんはさっきまで周りの悪魔や魔獣を見境なく切り刻んでいたんすけど、いつの間にかミツメ君のみに攻撃しているっすね。


攻撃されているミツメ君はというと、全く動じていないっすね。というか、フウガさんの攻撃を全く気にしていないっす。

ミツメ君の風が鎌鼬を分解しているから、一発も届いていないっすね。ミツメ君は周りの悪魔や魔獣、魔鉱石すらも粉々に分解しながら御子さんの元へと歩み寄っているっす。

……さっきよりもミツメ君の魔力が上がっているのは気のせいっすかね。気のせいだと嬉しいっすね。


ただ、2体の風使いが暴れたおかげか、雑魚共の数がかなり減っているっすね。

御子さんとスクイさんの周りには中位悪魔が2体、魔獣も10体もいない程度なんで、あれくらいなら戦いに支障はないっすよね。



他に危険な悪魔はいないか、周りを見渡して確認したっす。


ムカデさんとマコさん、チコさんはさっき倒したんで問題ないっすね。一応、巻き込まないように壁際まで移動させたっす。触りたくないんで蹴り飛ばしたっすけど。


ムカデさんが召喚した虫達は御子さんの魔力に当てられていないからか、狂化状態じゃなかったっすからね。ムカデさんが倒れてからは逃げ出しているっす。

そして逃げ出す虫を捕食するスライム。蜘蛛の巣を作って退路を完全に断っているっす。悪魔すら蜘蛛の巣に引っかかっているっすね。

いるのは危険なスライムだけで、危険な悪魔はいないっすね。



じゃあ、後はミツメ君を止めれば、自分のお仕事は終了っすね。もうひと踏ん張り、頑張るぞい。



……あれ、スライム?



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