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悪魔に転生した俺は復讐を誓う  作者: 向笠 蒼維
第1章 地獄の道
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【side マコト】イカれている悪魔達

マコト視点

『"狂化"!』



御子さんが狂化を使ったようっす。

あんな魔法、よく平気で使えるっすね。


精神生命体の悪魔にとって、精神の異常は死に直結するっす。

何度か狂化を使った悪魔を見たことはあるんすけど、その中で1体だけ消滅した者がいたっすね。

散々暴れた挙句、最後は勝手に霧散して消滅したのには驚いたっす。


消滅するのは珍しいっすけど、少なくない確率で精神に影響が出るっすね。

まぁ、多少精神的に病んだとしても、それほど問題はないっす。悪魔の精神状態なんて元から重症っすから。



『ちょっと、マコトちゃん!? 御子ちゃんが狂化を使っちゃったわよ!? 止めなくていいの!?』

『そうよ~? このままじゃ~、御子ちゃん壊れちゃうわよ~?』



変態が騒ぎ始めたっすね。マコさんもチコさんも、スクイさんに敵意剥き出しで、御子さんとの戦いが始まってからは乱入しないように頑張って宥めていたんすけどね。

2体とも狂化の危険性を理解しているから、すぐにでも御子さんを止めようと乱入しそうっすね。そして、その乱入を許すと自分がサトリさんに殺されると。理不尽過ぎて泣けてくるっす。



『自分も止めた方がいいと思うんすけどね。まだ勝敗が決まっていないんで、手が出せないんすよ』

『もうスクイの反則負けでいいじゃない! 選抜された者以外の悪魔を召喚するなんて反則でしょ!』

『いや、反則ではないっすよ。さすがに召喚した悪魔に意思があったら反則っすけど、召喚した悪魔達に自我はなく、スクイさんが操っている状態っすからね』



召喚魔法は主従関係が成立していないと発動しないっすからね。召喚獣を飼いならすのもその者の力っす。まぁ、悪魔を召喚するのは想定外でしたっすけど。

召喚した悪魔の中には上位悪魔も混ざっている。見た感じ、スクイさんに上位悪魔を使役するほどの力は感じないんすけど。サトリさんが手を貸したんすかね?



『があああああぁあああああっ!!』

『あ、御子さんが動き出し、て……?』



御子さんが叫び出したと同時に、御子さんの内側から黒い魔力が溢れ出た。

その魔力は瞬く間に広がり、空間を真っ黒に染め上げていく。



『っ!』



魔力の出力制限を解除して高出力で魔力を放出し、それを身に纏うことで御子さんの魔力から身を防いだっす。

咄嗟の対応は、どうやら正解だったみたいっすね。



『え? マコトちゃんどうし……』



御子さんの魔力に触れた瞬間、マコさんとチコさんの動きが止まったっす。

いや、2体だけじゃなく、スクイさんが召喚した悪魔と魔獣も動きを止めているっす。自分以外で御子さんの魔力に干渉されなかったのはいなかったみたいっすね。



『ぐ!? 今のは、何だ!?』



おや? スクイさんだけ動きが止まっていないっすね。

他の悪魔と同様に御子さんの魔力に触れたはずなんすけど。



バァン!



音の方を向くと、黒牢が弾け飛んでいたっす。そこに捉えられていたフウガさんが出てきたっすね。

ただ、先ほどまでと状態が異なっているっすね。



『カハハ、カハハハハハハ!』



先ほどまでは自我の無い操り人形だったんすけど、今は狂人に見えるっす。

……どちらにしろ、正常ではないんすけど。


元々フウガさんは切り裂き魔でしたけど、さらに危険な存在になったっすね。



『フ、フフフフ』

『あはは~、あはははあぁあ!』



あっ、ヤバイ。変態二体が狂人化したようっす。

元々重度の狂人でも、これ以上に狂うことができることに吃驚っす。


一瞬でマコさんに抱きつかれ、鯖折りにされたっす。……ハグで背骨が折れたんすけど。

抱きつかれたのが自分の分身だったとしても、マコさんに抱きつかれている光景を見ると怖気が走るっすね。


今は幻術で隠れているんすけど、見つかったら大変っすね。自分の貞操が!



『サトリさん! 聞こえるっすか!?』

『おや? マコト、どうかしましたか?』



緊急事態で掛けた遠話はすぐに繋がったっす。でも、こちらの状況は理解できていないようっすね。覗き魔の癖に、何でこういう大事な時に見ていないんすか!



『御子さんが狂化を使ったっす! それで、その後に他の悪魔達も狂い始めたっす!』

『それは、御子が魔法を唱えたのを聞いて、他の悪魔も狂化を使ったということですか?』

『いいえ、違うっす! 悪魔達は魔法を唱えていないっす』

『では、何が起きたというのですか?』

『それが分からないから連絡したんすよ! マコさんもチコさんも暴れていて手が付けられなくなっているんすよ! なんで、助けてくださいっす!』



サトリさんに説明をしたんすけど、聞くだけ聞いて返事が来なくなったっす。

この緊急時に、何で悠長にしているんすか!



『サトリさん、聞いているっすか? 自分ピンチなんすよ!? もう死にそうなんすよ!! ヘルプミーっす!!』



自分の思いの丈をぶつけたんすけど、全然応答がないっす。

そんな不毛なやり取りをしていると、悪魔達が本格的に暴れ始めたっす。


マコさんとチコさんはフウガさんの元へ向かい、フウガさんは見境なく斬撃を周りにばら撒いているっす。

他の悪魔達も暴れ始めて、スクイさんにすら攻撃を仕掛ける始末。


隷属化している悪魔が言うことを聞かないなんて、あり得ない光景っすね。

スクイさんは驚愕しつつも、向かってくる悪魔と魔獣を屠っているようっす。

それにしても、スクイさんってあんなに強かったんすか? 中位悪魔を一撃で仕留めるほど強いとは、予想外っす。


御子さんは他の悪魔は眼中にないのか、スクイさんに向かって駆け出したっすね。

あそこは、まぁ放置でいいっすね。元々御子さんとスクイさんの戦いなんすから。

問題は、他の悪魔達っすかね。御子さんの戦いを邪魔させる訳にはいかないっすから。



『ちょうどいい、それだけ暴れている悪魔がいるなら、一体増えたところで変わらないでしょう』

『え? サトリさん?』



不意に聞こえてきたサトリさんの声に、思わず呆けた声で返事してしまったっす。

その後すぐに、目の前に魔法陣が形成され、そこから魔鉱石の塊が出てきたっす。その魔鉱石の中には子供が。



『……あれ、サトリさん? なんか送られてきたんすけど? 真っ黒に染まっているミツメ君っぽい子が魔鉱石の中から出てきたんすけど!?』

『狂暴化した悪魔を一体追加しました』

『何してんすか!? なんで助けを求めているのに負担を増やしてくるんすか!? どんだけ頭の中イカれているんすか!!』



やっぱりサトリさんは頭イカれているっす!

ただでさえヤバイ状態なのに、暴走化したミツメ君の相手なんてできないっすよ! というよりミツメ君、なんか強くなってないっすか!?



『私はここで優雅に観戦させて頂きますので、終わったら詳細を報告してください。あぁ、もし報告の義務を放棄して死んでしまった場合は、復活後に殺します』

『どんだけ鬼畜なんすか!?』

『悪魔はいいですよね。殺しても復活しますから。減るものはありません』

『自分の魂がすり減るっす!! ちょっと、サトリさん!? サトリさん!! ちょっとぉ!!』



……あ、遠話が切れているっす。

できるなら逃げ出したいんすけど。



『キヒ、キヒヒ』



ゾッとして、急いで後ろを振り返ると、そこには幻術にかけて眠らせていたムカデさんが。

戦闘に巻き込まれないよう、距離をとって壁際に安置していたんすけど、そこにまで御子さんの魔力が届いたようっすね。


さすがにこれだけ厄介な悪魔達と相対するなら、奥の手を使うことも視野に入れないといけないっすね。

サトリさんが見ているからできれば使いたくないんすけど。



……ハハハハ、こんな状況でも楽しんでいる自分がいるっす。

やっぱり、たまには刺激を感じないとダメっすね。



やり過ぎないよう、気を付けないと。




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