表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
悪魔に転生した俺は復讐を誓う  作者: 向笠 蒼維
第1章 地獄の道
4/141

検証する悪魔

さて、やる気になったのはいいんだが、この部屋、出口がないんだよね。


見渡しても扉はなく、出入りできる場所がどこにも見当たらない。壁に沿って歩きながら壁を調べてみたが、壁には穴も切れ目もなかった。

あるのは暴れたときにつけた罅だけ。


……横がダメだとすると、上か?


すっと天井を見上げる。目を2つにしたからか、先ほどまでと違って正確に距離感を掴むことができる。

天井までの高さは、今の俺の伸長の5倍くらいはあるかな。手を伸ばしても届きはしないし、ジャンプできていたとしても届かなかっただろう。


だが、悪魔の体ならばジャンプの必要はない。体の構造を変化できるから、腕を伸ばせば触れることができる。


俺は腕に意識を集中させて、ぐぐーんと伸びていくところをイメージした。イメージ通りに腕が伸び始め、天井へと向かっていく。

そして天井にピタッと触れた瞬間、手首より先が霧散した。


なっ!?


同時に鋭い痛みを感じて、すぐに腕の長さを元に戻した。

何かあるかもと予想はしていたが、悪魔の体にダメージはないだろうと高を括っていた。しかし実際には、鋭い痛みを感じる。

まるで神経を直接圧迫されているようだったが、痛みはすぐに治まった。


消えた手を見つめて形をイメージする。靄が密集して元の形に修復していくのを確認して安堵した。


……焦った


あの白い靄は、どうやら触れてはいけないものらしい。触れた部分から霧散して形を維持できなくなるし、触れた瞬間に痛みが走る。ただ、手が霧散した時、天井の触れた部分も少し抉れていたような気がする。触ったところをもう一度確認してみたが、触れる前と変化はない。見間違いなのか、俺と同じように修復するのか。


……検証する為にもう一度触る勇気はないから、どっちでもいいか。


治った手をさすりながら、視線を下に向けた。

上も横も出入りできる場所はない。そうなると、やはりこの床の魔法陣が転移する為のものだろうか。


魔法陣の使い方なんてわからないから、魔法陣でしか出入りできないって言われると摘むんだけど……


魔法陣に関する知識を思い出してみる。魔力が必要だったり、血が必要だったり、呪文を詠唱したりと、よく漫画で見たことのある知識だが、どれも使えない。


魔力は持っていると思っていたが、触れても変化なし。

悪魔に血が流れているとでも? 血も涙もないで有名な悪魔が?

呪文の詠唱、ここの言葉すらわからんのに何を詠唱しろと?


……やっぱり無理か。いや、触れたけど、魔力を流せてはいなかったとか?


この体が魔力の塊だと思っていたから、触れるだけで魔法陣に魔力が流れるのではと思っていたが、体を構成する為に内側に力が働いているなら、魔力が勝手に外側に流れることはないのでは……

そう考えて、もう一度魔法陣に触れてみる。体に血のように魔力が流れているところをイメージし、その流れが手の平に向かうようイメージする。

すると、触れていた箇所が薄っすらと光った。


おっ! もしかして、いける!?


俺は両手をつき、魔力の流れを早め、魔法陣にどんどんと流し込む。魔力を流すことができると理解した途端、魔力操作が自然にできるようになっていた。

光が広がって魔法陣全体が輝いた後、次第に床全体が輝き始めた。


これが転移する為の魔法陣なら、外に出られる!


期待を込めて、さらに魔力を注ぐ。床全体の光が強くなるにつれて、気持ちが高揚していく。

そして一際輝いた瞬間、魔法陣の中に変化が生じた。



目の前に、3つの物体が現れた。



……え?



3つの物体、それは人間だった。

跪いて首を下げた状態の3人には、拘束具が身につけられていた。彼らは罪人なのだろうか?


1人の男性がゆっくりと顔を上げた。膝をついて両手を床につけていた俺と、視線が合う。俺を見て男性は驚愕に目を見開いている。


向こうからすれば転移した先に悪魔がいたのだから、驚愕されても仕方ないが、こちらも同様に驚かされている。

魔法陣が起動したと思ったら、俺ではなく、他人を転移してしまったのだから。


外に転移できなかったことには落胆したが、それでも収穫はある。

彼らが罪人かどうかはこの際どうでもいい。俺が悪魔だから怖がられるだろうが、今は少しでも情報が欲しい。

俺は床から手を放し、立ちあがって距離をとる。自分でも、今の俺の顔は怖い。それを至近距離で見せながら会話なんてできない。少しでも距離を置くために、俺は魔法陣の外まで下がった。


すると、魔法陣の光が徐々に消え始める。

それと同時に、3人が苦しみ始めた。体を揺らし、必死に痛みを堪えているように見えるが、その原因はわからない。


何が起こっているのか理解できず呆然と眺めていると、魔法陣の光が消えたと同時に状況が悪化した。




目の前の3人が、燃えた。




評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ