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悪魔に転生した俺は復讐を誓う  作者: 向笠 蒼維
第1章 地獄の道
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変態と悪魔の戦い

ゆっくりと俺に近づいてくる2体の変態。


現実逃避したいけど、逃げられないのも分かっている。

……気持ちを切り替えよう。


目の前の2体の悪魔は、敵。

あいつらは俺を殺す気でいる。嬲るのを楽しんでいる。

そんな奴らに為されるがまま、嬲られ殺されるのを待つのか?

ふざけるな、そんなの、認めない!


じゃあ、どうすればいいか。そんなもの、決まっている。

嬲り殺す側になればいい。相手が変態だろうと格上だろうと関係ない。

痛い目に合わせて、俺を認めさせてやる!



『闇よ! 俺に力を貸せ!!』



叫ぶと同時に闇が空間を埋め尽くし、そのまま俺の体に取り込まれていく。

さらに体内に巡らせる魔力量を増大させる。さっきまで流していた魔力量では全く足りない。



魔力をもっと多く早く巡らせろ! 取り込んだ闇と魔力を混ぜ合わせろ!



自分に言い聞かせるようにして意識を体に集中させた。そしてそのすべてを身体強化に充てる。


今までで感じたほどのない力を自身の体から感じる。

それでも、目の前の悪魔2体同時となると勝てる自身が湧かない。


2体同時はこちらが圧倒的に不利だ。なら、先に1体を確実に倒す。


狙うは赤髪の変態、マコ。

2体とも本気を出してはいないだろうけど、それでもマコの方が速度があるように感じる。

チコも俺より素早いと思うが、それでも1体ならまだ何とかなるだろうと判断した。まぁ、どっちも格上だからどっちが先でもいいんだけどね。



俺は腕に力を込め、マコに向けて無数の針を射出した。両手から百を超える数の針が伸びてマコに殺到する。

今までにないほどの速度で飛んで行った針は、マコを捕らえることができずに空を貫いた。



『あら、いい攻撃ね。でも、まだ速度が足りないわ』



横から声が聞こえてきて、俺は動くことなく肩から針を生成して横に射出した。それでも、マコは僅かな動きだけで避けきって見せた。



『威力は申し分ないわ。でも、闇雲に狙っても私には当たらないわよ? ちゃんと私を見なきゃ』



そう言ってウインクするマコの顔面に向けて針を射出した。……くそっ、当たらなかった!



『今の攻撃! すごくよかったわよ! 殺気がプンプンで興奮しちゃったわ!』

『サトリぃ! 今からでもいいから戦う相手チェンジしてくれ!』



あの暴力執事のことだからどこかで聞いていると思うが、返事は期待していない。ただ心が叫びたかっただけだ。



『こんな刺激的な戦い、誰が変わってやるもんですか』



マコは呟くと同時に、こちらに向かってきた。

今は目でマコの動きを捉えることができているが、先ほどまでの動きから、マコは一瞬で最高速度にまで加速することができるみたいだ。単調な攻撃を向けても当たらないだろう。


なら、面の攻撃で逃げ場を塞ぐしかない。マコトとの闘いでも面攻撃は必要と思って手を考えようとしていたが、まだ思いついてもいない。でも、手がないわけじゃない。


今できる攻撃で、やれることをやってやる!


俺は全身に意識を向けた。そして、全方向に向けて体中から針を射出する。ハリセンボンのように伸びた針が四方八方に向かっていく。



マコは一瞬で後ろに移動して針を躱した。

それでも針を伸ばし続け、マコを壁際まで押し出すことができた。それでもまだ手を止めない。針を壁に押し付けてマコの周りを囲っていく。

……よし、これで逃げ場はない!


マコに向けてさらに針を射出しようとしたとき、横から衝撃が体を襲った。



ドドドドドドド!



手の平サイズの石ころのような固まりが体に打ち付けられた。針を全身から出していたおかげで防げた分もあるが、いくつかは体に直撃した。衝撃は予想よりも強く、腕と足が折れた。

反対側に伸ばした針がストッパーとなって転倒は免れたが、狙いがズレてマコに攻撃が当たらず、針の包囲網を逃げられてしまった。



『ねぇ~、私のこと忘れてない~?』



横には青髪の変態、チコが片手をこちらに向け、なぜか逆手を真上に挙げて体をくねらせてポージングを取っていた。

思わず手から針が飛び出す。だが、何かに遮られたのか、チコの目の前で針が止められた。



『あら~、攻撃的な男は嫌いじゃないわ~』



あの見るに堪えない顔面に針をぶっ刺したい!

でも、見えない壁に遮られて俺の攻撃が届かない。透明度が高くて全容ははっきりと見えないが、針がぶつかった箇所に罅が入っている。



俺は足元に目を向けた。先ほど俺に飛んできた物体が足元に散らばっている。透明度が高く、まるでガラスや氷のようだ。

いや、よく見ると物体の下に少し水が溜まっている。間違いなく、これは氷だ。



『お前、氷を出せるのか?』

『あら~、分かっちゃった~? そうよ~、私は氷魔法の使い手なの~』



氷魔法か。ここが暗い洞窟の中ってことを考慮しても、あの氷は透明度が高すぎて見づらい。攻撃にも防御にも使えてかなり便利だね。それが敵だと厄介極まりない。



『チコちゃん、魔法見せたの? じゃあ、私の魔法も見せてあげなきゃ』



チコとは別方向から声が聞こえ、急いで防御の構えをとって攻撃に備えた。

目の前を覆うほど大きな赤色の玉が押し寄せてくる。



『私のは炎魔法。避けないと、跡形も残らないわよ?』



炎の向こうからそんな声が聞こえてきたが、もう眼前にまで迫っている炎を避ける術はない。



『くそがぁ!』



バァアン!



俺の体は炎の塊に潰された。




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