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悪魔に転生した俺は復讐を誓う  作者: 向笠 蒼維
第1章 地獄の道
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弄られる悪魔


頭を抱えていろいろと考えたけど、結局は残り4体の悪魔を倒すしかないという結論しかなかった。


だって、他の選択肢を選んで生きている自身ないもの。

残り4体の悪魔を倒せなかったら一番強い悪魔と戦わなきゃだし、逃げ出したらサトリに殺される。

つまりはサトリより強くならないと生存できないと。……勝てる気しないって。


問題は、残り4体がどんな悪魔かってことか。



『残り4体の中にサトリよりも強い奴っている?』

『サトリさんより強い奴はいないはずっすよ』

『はず? 誰と戦うのかマコトは知らないのか?』

『3体は知っているんすけど、残り1体は知らないっす。サトリさんが選抜したそうで、誰か教えてくれなかったっすから』


……うん、1体ヤバイ奴が入っているね。あの暴力紳士がまともな悪魔を選ぶ訳がない。いや、まともな悪魔なんていないけど。その中でもヤバイ悪魔を用意しているんだろうね。



『それで、残りの3体はどんな奴?』

『あー、内2体はとても個性的っすね。……できれば自分は近づきたくないっす』

『悪魔が近づきたくないっていう悪魔か。……会いたくないね。それで、もう1体は?』

『自分っすよ』



バシュ!



俺はマコトに向けて針を射出した。マコトを突き刺したと思ったけど、逃げられたみたいだ。動作もなく一瞬で横に移動して逃げられた。

今の動作とムカデを一瞬で消したのが同じ魔法だとすると、瞬間移動なのかな?



『……御子さん、敵と見るや一瞬で攻撃してくるとか、どんだけ獰猛なんすか』

『一番楽な方法で倒そうかと。だから逃げるなよ』

『本っ当に悪魔らしいっすね。悪魔の中の悪魔っす』

『褒めるなよ、全く嬉しくない』




俺は片手をマコトに向けて針を射出しつつ、もう片手で攻撃の準備をする。案の定、マコトに刺した針に手ごたえはなく、少し横に移動していた。そこを目掛けて最速で針を飛ばす。


だが、それでもマコトには当たらなかった。肩をポンッと叩かれて、俺はその場から飛び退いて距離をとった。



『御子さん、落ち着いてくださいって。自分は今すぐ戦うつもりはないんすから』

『……どういう意味だ?』



問いかけると、マコトは嬉しそうに口角を上げた。その表情に恐怖を感じ、思わず一歩引いてしまった。マコトにとって俺は敵ではなく、玩具に見えていることが分かった。



『今の御子さんと戦っても、面白くないっす。美味しい果実は、ちゃんと熟してから食さないと』



マコトから圧を感じる。圧倒的なまでの力の差。サトリに感じたものと同じくらいの差を感じる。

勝てない。素直にそう思ってしまった。


俺は腕を下げて攻撃を止めた。マコトに戦う意思があれば我武者羅に攻撃するけど、向こうに戦う意思は今のところない。それならば、今は手を引くしかない。

マコトは俺の様子を見て、肩の力を抜いてため息をついていた。



『はぁ、御子さんが手を引いてくれてよかったっす。ここで戦うのは本意じゃないんすよ』

『……最終的には戦うんでしょ?』

『いいえ、自分は一番身近に御子さんを見れるっすから、その力を見定めて推薦するか決めるっす。戦うとしても、一番最後っすよ』



……やっぱり最後には戦うんかい。

まぁでも、命拾いしたんだろうね。少なくとも、今戦えば勝てないと思ってしまっている。



『次に悪魔に会う前に、御子さんを強くするっす。できれば、自分が戦いたいと思う程度には強くなってもらうっすよ』

『戦闘訓練でもするの?』

『いいえ、それ以前の問題っすね。まずは魔力の使い方を覚えてもらわないと』



あぁ、それは自覚している。魔法っぽいものは出したけど、まったく理解していないし、同じことをやれと言われてもできないだろうね。



『御子さんは自覚ないと思うんすけど、悪魔の中でも御子さんの魔力は飛びぬけて高いっす。それこそ、サトリさんよりも多いくらいっすよ』

『おお、マジか』

『ただ、使い方が悪すぎて中位悪魔にも負けそうになるほどの残念さっすけど』



マコトがあきれ果てた表情で俺を見ている。その顔に針をぶっ刺したい。



バシュ!



『あっ、悪い』

『ちょっ!? 御子さん、手出すの早すぎっすよ!? さっき攻撃止めたばっかりじゃないっすか! なんすか? ちょっとした弄りじゃないっすか。これくらいの弄りにも我慢できないんじゃ真のマゾにはなれないっすよ?』

『マゾになるくらいなら、サドになる』


バシュ!


『うおぃ!?』



おっと、しまった。また針を向けてしまった。でも仕方ないよね、刺さるまでやってみよう。



バシュバシュバシュバシュバシュバシュバシュバシュバシュ!



『ちょっと!? マジで、話進まないんすよ! こんな茶番何回繰り返すんすか!?』



そんなこと言ったってしょうがないじゃないか。

俺は気が済むまで、マコトに向けて針を飛ばし続けた。




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