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悪魔に転生した俺は復讐を誓う  作者: 向笠 蒼維
第1章 地獄の道
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暗闇を進む悪魔


意気揚々と第六下層に足を踏み入れようとしたんだけど、出口の奥が真っ暗闇で進めそうにない……


上の層では発光する石があったから視界に問題なかったんだけど、第六下層では発光する石がなく、魔鉱石が敷き詰められているせいだ。



サトリもミツメも、この暗闇をどうやって進んだんだろう?


ここはミツメのような強い悪魔が出てくる。それを考えると、見えないままこの暗闇を進むのは怖い。

発光する石を採掘してくるかな……。でも、この暗闇を照らすのは無理だろうね。




けど大丈夫! 俺の体は超万能だからね。たかが暗闇程度、見通せるでしょ。


ググっと目に力を入れて、暗闇を見通そうと睨めつける。


……


……


……うん、若干見えるようになった。




俺の期待を返せ! 全然見えないじゃん!


まったく見えない状態から、前に翳した手が見える程度にはなった。だが、周りは依然として暗闇に包まれている。

そもそも壁も床も黒い魔鉱石が敷き詰められているせいで、少し視界が良くなっても変わらない。



……はぁ、仕方ない、このまま進むか。


俺はスライムを抱えて暗闇の中を歩き始めた。





壁に手を当てながらゆっくりと歩みを進めた。上の層のようにガタガタした地形ではなく、整然とした道で石一つ転がっていない。まぁ、魔鉱石がそう簡単に欠けるとは思えないけどね。



……そういえば、サトリはこの硬い魔鉱石を簡単に動かしていた。あれは、十中八九魔力によるものだろう。


簡単そうにやっていたけど、俺にもできるかな?



触れていた魔鉱石に魔力を流してみようと試みたが、反発が強くて弾かれているのが分かる。

それでも構わずに魔力を込めていると、反発を押しのけて魔力が魔鉱石に流れ込んだ。


その瞬間、魔鉱石が白く発光した。

驚きつつもその光を見つめていると、壁と床に光の波紋が広がった。広がるにつれて光は弱まり、また暗闇が包み込んだ。


……魔鉱石って魔力を与えると光るんだ。サトリたちもこうやって道を照らしながら進んだのかな?

とりあえず、これで光源を得ることはできた。


少し強めに魔力を流せば簡単に魔力を流すことはできた。だが、魔鉱石を動かすことはできない。魔力を流し込めば柔らかくなるのかと思ったけど、硬さは変わらないね。

魔力があるなら、魔法とか使えるのかな? ……使ってみたいな。最下層についたら教えてもらおう。





魔力を流しつつ、道を照らして歩いていく。

周りの悪魔に気づかれる危険性はあるが、暗闇の中を進むよりはマシだ。十メートル程度の視界は確保できているから、悪魔が急に襲ってきても頭を守るくらいはできると思う。


それにしても、ここはどれだけ広い空間なのだろう。光を照らしても反対側の壁は見えないし、天井も見えない。

思いっきり魔力を流せば、もう少し光を広げられるかな?



俺は魔力を勢いよく流し込んでみた。魔力が魔鉱石に流れ込み、壁と床に光の波紋を広げる。そのまま魔力を流し込ませると、光は広がり続け、ついにこの空間の全容を照らしだした。


天井も向かいの壁までの距離も、かなり離れている。目算だけど、五十メートルは超えていると思う。それが道となってずっと先まで続いている。どんだけデカい洞窟なんだよ。



そして、俺は道を照らしたことを後悔した。




道の先に、夥しい数の魔獣がいる。


一目で悪魔ではないとわかるほど奇形な魔獣たち。上の層で見た魔獣もいるが、ほどんど初めて見る魔獣だ。

……ここにいるのは全部虫系の魔獣みたいだ。蜂や蟷螂、蠍などに人間を足して二で割った見た目だね。


そして一番危険そうなのが、百足の魔獣だ。

ここから結構距離が離れているはずなのに、他の魔獣と比べ物にならないほど大きい。遠視してみると、百足の額?には老婆のような顔がついていた、虚ろな目に不気味な笑い顔、そして夥しい数の足が蠢いている。化け物、もといソウラグランと同じくらい気持ち悪い。


第一下層から第三下層までが魔獣の巣窟って言っていたけど、ここにも魔獣はいるのか。……よし、引き返そう。




俺は魔獣たちを見て引き返そうと足を引いたが、老婆と目があって足を止めた。

光が消える瞬間、老婆の笑みが深まったように見えた。



ギチギチギチギチギチギチギチギチギチギチ

カサカサカサカサカサカサカサカサカサカサ



再び暗闇が訪れたとき、不穏な音が遠くから聞こえてきた。


……大体想像はできる。けど、もしかしたら違うかもしれない。……違っていると嬉しいな。


そんな願望を抱きつつ、俺は魔力を魔鉱石に流して再び洞窟全体を照らした。

道の奥から百足が猛スピードでこちらに向かってきている。少し遅れて、他の魔獣たちも追従している。



……やっぱりね!!



俺は回れ右して全力で地面を蹴った。





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