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悪魔に転生した俺は復讐を誓う  作者: 向笠 蒼維
第1章 地獄の道
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暴力執事とドン引き悪魔


悪魔だと思っていたら人間と言われ、母親は神様でその御子って……

結局俺は何者なんですか!?



『ムフフフフ、良い具合の混乱ぶりですね』



良い具合の混乱ぶりって何!? こいつ、俺が混乱するようにわざと疑問を持たせるような説明してるんじゃない!?

いい笑顔で笑っているサトリを殴りたい。だが、まだ説明の途中だ。終わってからにしよう。



『ムフフ、暴力反対です』



……それ、悪魔がいう? 悪魔は皆暴力の化身でしょうが。ここに来るまでに何度襲われたことか。



『確かに、私にも襲ってくる悪魔や魔獣もいますからね。特に魔獣は見境がありません』



そういえば、ミツメも魔獣って言っていたね。魔獣って悪魔と何が違うの?



『魔獣とは、魔に変異した自我のない生物の総称です。第一下層から第三下層までは魔獣の巣窟ですね』



第一下層で出会ったのはアメーバで、第二下層は化け物と犬、蛇、蜘蛛、豚か。

自我はなさそうだったけど、第二下層の魔獣は人に近づいていたね。第三階層にはもっと人に近い魔獣がいるのかな。



『第一下層にいる魔獣、貴方がアメーバと呼んでいるのはソーラムと言います。ソーラムは人の魂が変異した最初の姿ですね。その後、複数のソーラムが合わさり、進化を遂げて一つの個体となります。自我を確立すれば悪魔となりますが、ほとんどが魔獣のままですね』



ソーラムが合わさった状態、第二下層であった化け物はソーラムの集合体で進化途中だったのか。



『ソーラムの集合体のことをソウラグランと言います。取り込んだソーラムの数が多いほど、強力な個体へと進化します』



……俺が出会ったソーラムの規模はかなり大きかったね。第一下層でもソウラグランらしきものを見たけど、第二下層のソウラグランは段違いの大きさだった。

協力な個体に進化する前に俺が倒したからスライムが生まれたのかな。

グロテスクな魔獣の発生を阻止して可愛いスライムを生み出した俺、グッジョブ。



……あ、またスライムのこと忘れてた。



後ろを振り返ると、スライムは壁に張り付いていた。よかった、今度は遠くまで逃げ出していなかったね。

視線を再び戻すと、サトリも興味深そうにスライムを見つめていた。地獄にある唯一の癒しアイテムで可愛いから見つめるのはわかるけど、俺のスライムだから渡さないよ。


『ムフフ、手は出しませんから、安心してください』







さて、大分話が逸れてしまったけど、エデナという神様のことを教えてほしい。



『エデナ様は闇を司る神です。この世には七柱の神がいるとされており、そのうちの一柱ですね。悪魔が崇め奉る神であり、魔神と呼ぶ者もおります』



……悪魔の神様か。その神様が俺の母親って、どんな関係があるの?



『貴方が人間として死を迎えた後、その魂をアトネフォシナーに持ち込まれたのが、エデナ様です。エデナ様は人間である貴方の魂にプロテクトをかけて悪魔に変異することを阻止し、人間のまま転生を行ったのです』



……それは何のために? それと、俺はどうして死んだの?



『それは、私の口からは申し上げられません。ただ、知る機会はございますから、ご安心ください』



えぇ、そう勿体ぶられると余計に知りたくなるんだけど。

……まぁいいか。第二の悪魔生を迎えることができた恩神ってことで覚えておこう。



『まだ疑問はあるでしょうが、それは最下層でご説明いたしましょう』



そう言ってサトリは立ち上がった。

そのまま歩き出し、ミツメのところに向かうと、徐にミツメの腹を蹴り上げた。



『ぐっ!』

『ミツメ、いつまで寝ているつもりですか? 早く起きなさい』



言葉遣いとは裏腹に起こし方が荒い。その様子を唖然と見ていたら、ミツメと目があった。

俺を見た瞬間、ミツメの目に敵意が宿ったのが見える。動こうとして拘束に気づいたのか、ミツメは体から刃を出して一気に拘束を解いた。……硬化したロープじゃ一瞬しか足止めできなかったね。


ミツメが立ち上がり、俺に向かって腕を振るおうとする。だが、振り切る前にサトリが腕を掴み、後ろへと放り投げた。背中から壁に衝突したミツメはうめき声をあげてその場に倒れた。


格上とは思っていたけど、あれほど強かったミツメを軽くあしらっている姿を見ると驚愕する。というか、暴力反対と言っていた人ですよね? 思いっきり暴力行使しているんだけど。



『これは暴力ではありません。教育的指導です』



柔和な表情でこちらを見てそう言ってきたが、傍から見れば教育の要素はない。

やっぱり教育的指導でも暴力はダメだね。……俺もやり過ぎないように気を付けよう。



『……な、なんでアンタがここに……』

『ムフフ、御子へのご挨拶に参りました。ついでに、暴走していた貴方の回収ですかね』



ミツメは起き上がりサトリを見ると驚愕を露わにした。

怯える様子を見ているとまた心の中で保護欲が駆り立てられたが、行動は起こさない。どうせ近づいたら攻撃されるし。




『さて、では我々は先に最下層に向かいます』



え? 一緒に行くんじゃないの?



『これから歓待の準備をしなければなりませんので。それに、貴方にも覚悟を決めていただき、ここにいる悪魔たちが従うだけの力を身につけていただかなければなりません』



……一体何の覚悟を決めろと?



『ああ、失礼。そういえばまだお伝えしておりませんでした。神の御子には、神に変わり信仰者を導くという使命がございます。つまり、貴方には悪魔たちを束ねる王になっていただきます』

『はぁ!? こいつが王!?』



俺とミツメは驚愕して声を上げた。実際に上げたのはミツメだけだが。

そしてミツメは五月蠅いと言われてまた壁に叩き付けられた。


俺が出会った悪魔はまだミツメとサトリだけだが、個性が強すぎる。悪人の魂が変異した結果が悪魔ならば、他の悪魔たちも手に負えない奴らばかりだと思う。

そんな奴らを束ねるなんて無理でしょ。全力で辞退します。



『ああ、これはエデル様の御意思ですので、貴方に拒否権はございません。そして、貴方が御子としての役割を果たせないようなら処分するようにも言われておりますので、悪しからず』



……おふ。



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