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悪魔に転生した俺は復讐を誓う  作者: 向笠 蒼維
第1章 地獄の道
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説明を受ける悪魔


人間って……。まぁ、心は人間だと思っているけど、見た目は完全に悪魔なんだよね。

この状況で人間ですって言われても、信じる気にはなれない。


胡乱な目を向けていると、サトリは笑みを浮かべて口を開いた。



『ムフフ、無理もありません。見た目は悪魔に見えますからね。順を追って説明いたしましょう』



そういうとサトリは爪先で床をトントンと叩いた。直後、床が盛り上がり始める。

どれだけ衝撃を与えても傷一つ付かなかった魔鉱石がまるで粘土のように柔らかくなっている。その様子に驚愕している間に、魔鉱石は形を変えてテーブルと椅子になっていた。



『お話が長くなりますから、どうぞお座りください』



サトリは流れるような動作で椅子を引き、俺を座らせた。いつの間にかサトリのペースに飲まれていて、腕の硬化も爪も消えていた。警戒心がいつの間にか解けてしまったようだ。情報過多でそれどころではないっていうのが原因だけど。



『さて、何からご説明いたしましょうか』



サトリは音を立てずに向かいの椅子に座り、何をどのように話すか考え込んでいた。

とりあえず何もわからない状態だから、知っていることをすべて教えてほしい。



『では、まずここがどこかをご説明しましょう』



そう言ってサトリは説明を始めた。

ここはアトネフォシナーという場所らしい。ルグドの魂に触れたときにここが地獄の監獄だとわかっていて、地獄は見たまんまなのだが、そういえば監獄については特に気にしていなかった。


聞いてみると、ここは地獄で間違いないそうだ。

地獄は現実世界とは異なる空間にあるらしく、現実世界の特定の場所から行き来ができるらしい。ただし、精神生命体の状態でなければ地獄には来れない為、人間は立ち入りできず、入った瞬間に体が崩壊してしまうらしい。ルグド達が燃えたのはそのせいなのかな?


そして監獄と呼ばれる所以は、唯一の出入口が塞がっているかららしい。



ここの出入口ってどこにあるの?



『一番上の層にございます。貴方が目覚めたところですね』



アトネフォシナーは全部で七層あるそうで、目覚めたところが第一下層、そしてここは第六下層だったらしい。第二下層から穴で落ちてきて穴底までの距離が長いと感じていたが、第三から第五下層をすっ飛ばして落下してたんだね。……いや、三層分って考えても距離ありすぎだけど。


それにしても、第一下層では周りを見渡していたけど、出入口なんて見つからなかった。見つけていたらここから出てるし。



『地獄は下層ですから、現実世界には上っていくのです』



……上るって、階段なんてあったっけ?



『本来であれば、現実世界と第一下層の間には空間の揺らぎがございます。そこに入ることで行き来が可能となるのですが、今は聖火によって遮断されていますので、悪魔が外に出ることは不可能です』



驚くことに、天井で揺らめいていた白い靄が聖火だったそうだ。聖火は読んで字のごとく、聖なる力が宿った火であり、悪魔は触れた瞬間消滅してしまうらしい。


そんな危険な火だったんだ。……俺、触っちゃったんだけど。



『先ほども申し上げた通り、貴方の体は闇を纏ってできております。そのため、触れた箇所の闇が霧散したのみで、本体には影響がなかったのでしょう。……ただし、間接的に触れた場合でも聖火の影響により精神的ダメージを受けるはずですが』



そういえば、天井に触れた瞬間に手首が霧散して痛みが走ったね。

それ以外で痛みを感じたことはないが、触覚はあるし、視覚も聴覚もある。闇を纏っていると言われても信じられないんだけど。



『闇の中で生きる悪魔も、闇を纏って体を形成することはできません。私もできない芸当ですので詳細は存じ上げませんが、おそらく体を形成した際に念じた為でしょう。闇に命令を下して意のままに操るとは、さすがエデナ様の御子ですね』



……闇に命令するって何? エデナ様って誰? 疑問を解消する為の話し合いでさらに疑問が増えていくんだけど。


闇に命令云々は知らないけど、地獄で目覚めたときは目が見えなくて、体の感覚もなかったっけ。

体に意識を向けているうちに物が見えるようになり、体の感覚も取り戻したんだけと、あれが闇に念じた結果なのかな?


……闇をどう操れば五感を維持できるのかわからないけど、もう原理はいいや。闇を纏っていて好きな形に体を変形できる。これだけ覚えておこう。



もう一つの疑問、エデナとは誰か。サトリが様付けで呼ぶということは、サトリよりも上の存在なのだろう。

俺がそのエデナとやらの御子? 御子って、子供って意味だっけ。


……エデナは俺の親ですか?



『ムフフ、まぁ間違いではないですね。貴方にとってエデナ様は、母に当たる存在でしょう。悪魔としての、ですが』



あぁ、エデナは女性だったのか。エデナが母と言われても、そんな人知らない。

悪魔としての母ってことは、エデナは悪魔? あれ、でも俺一応人間なんだよね。転生した後の母親が人間のエデナ?

……いや、俺は魂の状態で地獄に転生してきたらしいし、そもそも母という存在自体がいないのでは?


疑問に首を傾げていると、サトリが笑いを漏らした。



『ムフフフフ。そう思われるのは無理もございませんね。ですが、エデナ様は悪魔でも、ましてや人間でもございません』



……え?



『エデナ様は神様です』




……悪魔だけど人間で、実は神の子? うわぁ、設定過多。




疑問が疑問を呼び、悪魔の頭の中は疑問でいっぱい。

説明回、まだ続きます。


(09/22:誤記修正、神様の名前、間違えてしまった……)

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