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悪魔に転生した俺は復讐を誓う  作者: 向笠 蒼維
第1章 地獄の道
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犬モドキと悪魔

チョンっと指先でスライムに触れる。スライムの体がぷるるんと揺れた。


チョン

ぷるるん


チョン

ぷるるん


チョン

ぷるるん



……はぁ~、癒される~。



俺は今、床にスライムを置き、うつ伏せになって頬肘をついている。

スライムの反応が可愛い。


化け物の時と同じように俺の体を取り込もうとしてくるかと思っていたが、特に行動を起こすことなく、されるがままとっている。


暫くスライムとの楽しい時間を過ごした。ふぅ、やっぱりこの世には癒しがないと生きていけないね。


さて、そろそろ行動しますか。


俺は立ち上がり、部屋を見渡した。上から落ちてきたときは化け物のせいで見えていなかった部屋がはっきりと見える。

結構な広さのある部屋で、体育館よりも大きい。この広い空間を埋めていた化け物をよく倒せたと、自分でも不思議に思うね。


部屋の奥は壁がなく開けた空間となっている。上階の広さから考えて、この階も相当広いのではないか。

上階はアメーバ状の悪魔しかいなかったけど、この階はどうだろう?

……さっきの化け物しかいないとかはやめてほしい。同じ奴が出てきても躊躇なく倒せるとは思うが、まず視界に入れたくないし、触れたくない。


いや、待てよ? あの化け物を倒したらスライムが生まれるんなら、化け物を倒しまくればスライム大量ゲット!? よっし、やる気出てきた!


モチベーションが上がったため、俺はスライムゲット、もとい部屋の捜索をしに部屋の奥へと足を進めた。

すると、スライムもズズズッと体を引きずりながら動き始めた。どうやら俺についてくるみたいだ。なにこの子、めっちゃ可愛い。


部屋の外には悪魔がいるはずだから、スライムを連れていくと危険な目に合わせてしまうかもしれない。だが、ここが安全である保証もない。化け物は倒したが、他の悪魔が部屋に入ってくる可能性がある。それを考えると、スライム一匹だけ残すのはかなり不安だ。俺の癒しアイテムが、悪魔に食われるかもしれないと思いながら探索を続けるなんて無理。


というわけで、スライムを連れて行こう!


俺はスライムを手で抱え、ぷにぷにとした感触を堪能しながら再び歩き始めた。





部屋の外は洞窟になっていた。俺よりも大きい岩が転がっており、上階ほどではないが、壁、床、天井、そして転がっている岩までも白く光っている。

奥を見ると道が複数に分岐している。ここから見える範囲だけでも地形の複雑さが垣間見えた。


こういう迷宮攻略の鉄則は、左手で壁を伝っていくのがいいんだったな。あれ、右手だっけ? まぁ、どっちでもいいか。スライムを右手で持っているから、左に進もう。


左手で壁に触れながらゆっくりと歩を進めていくと、左側に穴が見えた。少し小さめで、俺が立ったままギリギリ入れる程度の大きさだ。

その中をそっと覗くと、そこには四つん這いになった悪魔がいた。

その体は真っ黒な体毛で覆われている。見た目は犬っぽく見えるのだが、可愛さは欠片もない。人間と犬が合わさったような見た目でものすごく不気味だし、顔には大きな赤黒い目。化け物ほどではないが、見た目の醜悪さはさすが悪魔だ。視界に入れたことを後悔した。


しかし、スライムも、この犬モドキも、質感が俺と違うんだよな……


俺を含め、上階であったアメーバ状の悪魔は靄を押し固めてできたような造形だが、スライムはプルプルボディで、あの犬モドキには体毛がある。



……見た目があのアメーバと一緒っていうのは凄く嫌だな。



そんなことを考えていると、犬モドキに動きがあった。こちらに気づいたようで、こちらに向かって走ってきた。

犬というよりは蜘蛛っぽい感じの走り方で、大きな目でこちらを凝視しながら口を大きく開けて近寄ってくる。きもい。


犬モドキが勢いよく近づいてくるせいで、スライムが怯えてプルプル震えている。可愛い。


可愛いスライムを脅かす存在は許さない。近づいてきた犬モドキの首根っこを掴み、床に押さえつけた。拘束から逃れようとジタバタ藻掻いているが、逃げられそうにない。俺は犬モドキを掴んでいる手の平から針を射出し、止めを刺す。


針を刺した瞬間により激しく暴れたが、すぐに動きを止めた。絶命した犬モドキから手を放すと、犬モドキの体から靄が漏れ出した。悪魔の種類によって質感や見た目は変わるが、死ぬと霧散するのは同じらしい。


体が霧散してなくなると、目玉だけが残った。目玉も崩れ始めているから、灰になって俺の体に吸い込まれるのだろう。

そう思って見ていると、突然スライムが俺の手から飛び出し、目玉に体当たりした。急なことで呆然としていると、スライムが目玉を体内に取り込んだ。スライムの中に目玉が浮かんでいる。



……ちょ、それ食べちゃダメ! ペッしなさい! ペッ!



俺の心の声は届かず、目玉は吐き出されることなくスライムの体の中で溶かされた。




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