陽だまり
午後三時の陽だまりには
想い出が詰まっている
少し眩しくて 目を細める
伸びた影を見つめる老人を
子供達の笑い声が追い越していく
木霊する笑い声 陽だまりを駆けていく
気が付けば私も追い越されている
去来する光景は陽だまりと同じセピア色
少し呼吸が浅くなり 深く息を吐く
過去を見つめているようで
未来を見つめているようで
現在を見つめているようで
笑いたくもあり 泣きたくもあって
眉間にシワを寄せることしかできないでいる
ふと耳に飛び込む金属音
この街が広がっていく音
この街が壊れていく音
この街は知らない街
そうだ 動き出さないと
踏切を越えると いつもの右折
窓辺で西陽に背を向けて
机に向かうあの娘の姿
後ろ髪に僕は誰を重ねているんだろう
伸びる影を追いかけて
今日も想い出を詰め込んでいく
凍える夜に震えないように