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神域の従魔術師  作者: 泰明
王国の闇
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終末の巨人

「うっし! 大体片付いたな?」


「ああああぁぁぁ……全身こんなに傷だらけにしおって……! フリード……その体! 貴様一人だけの物だと思うなよ!」


「……ブロック、てめぇ言ってることが訳分かんなくなってんの自分で気付いてるか?」


 気を失った魔術師達が累々と積み重なる中、全身傷だらけのフリードが大きく伸びをし屈伸をする、憤怒の形相で今なお何か言いたげなブロックを手を翳し制し、何かに気付いた様子で怪訝な顔で上空を見上げた。


「……なんかこっちへ飛んで来てんな……あれは……?」


「フリード! まだ話は終わってないぞ! 大体貴様はいつもいつも……」


 怒り心頭のブロックがフリードに摑みかからんとしたその時、聖都の区画の一部が凄まじい轟音と共にはるか上空に吹き飛ぶ。


「んなっ!? なんじゃぁ! あっちは……レイア達が向かった方か!」


「お~……随分派手にやってやがんなぁ……よっし! 俺もあっちへ……」


 右拳を左手にバシンと打ち付け、愉快そうに笑うフリードが騒ぎの中に飛び込まんと一歩前に踏み出した瞬間、背筋を撫でる凄まじい寒気を感じ滝のような汗を流しながら回れ右をする。


「なっ……なんじゃ? 行かんのか!? あの惨状じゃ、何かあってからでは……」


「いや、いい! いいかブロック! 絶っっ対に何があってもあそこには近づくな! 『あいつ』が暴れてやがる……あんなとこに居たら命がいくつあっても足りねぇ……」


「あいつ……?」


「いいからあそこには近づくな! あそこは任せときゃいい、となると……」


 フリードが視線を向けた大神殿から闇を形にしたような魔力が立ち上る……それを見てにぃっと口角を歪めたフリードが大剣を担ぎ上げ、放たれた矢の如くに走り出す。


「おい! フリード! 何処へ行く気じゃ!?」


「あっちが楽しそうだからよ! 年寄りは後からチンタラついてきな!」


「誰が年寄りじゃ! ぬうぅ……いいか! 絶対壊すなよ! 絶対じゃぞ!」


 ブロックの言葉を聞いてか聞かずか、振り向きもせず一直線に神殿に向かい走り抜けてゆく、溜息をつきそれを見送ったブロックが、はたと思い当たり、先程フリードが見ていた空に目を凝らした……。


「あれは……? なん……ニール!? なんでこんな所へ!?」


 ブロックの頭上を凄まじい吠え声を上げてニールが飛び過ぎてゆく、と、同時に上空から聞き慣れた声が響く。


「ふぇっ!? ぶ、ブロックさん! 避けて! 避けて下さい!」


 何事かとブロックが視線を移すと、はるか上空から一直線に落ちてくる人影が……。


「ぬぅっ! あれに見えるはノルンちゃん!! うむ! 儂が受け止めるから安心して飛び込んでくるんじゃぞい! さあ! さあ!」


「ですから! 危ないです! ブロックさん!」


 いつもの三割増しでキリリとした顔を作るブロックの頭上で、ノルンが翼を開き舞い上がる、と、入れ替わるように落下してきたグローインがそのままブロックの広げた腕の中に飛び込んできた。


「ぐぼっ!? ゲフッ……あ……兄者!? な、なんで空から……!?」


「ゲホッ……ハァ……ハァ……!? い、生きちょる! それに……ブロック! ブロックうぅ! 儂はっ! 儂はもう死ぬかと! もう駄目かと思ったあああぁぁ!」


 自らに縋り付き泣き喚く兄を見、困惑するブロックの前に、ミーリアが、ノルンが、ラスティが次々と降り立った。


「ブロックさん大丈夫ですか? だから避けてって言ったのに……」


「なに、大丈夫大丈夫、ドワーフは体の頑丈さがウリじゃ、じゃが……お主ら雁首揃えて一体何があったんじゃ? それに、ユーマはどこにおる? ウルグスはどうしたんじゃ?」


 ブロックの質問にノルンが暗い顔で項垂れ、変わってミーリアが口を開く。


「ユーマ殿がウルグスとの戦闘中に空間の割れ目に呑み込まれたらしいんだ、どうやら教国に連れ去られたらしいとは分かったが、こちらも今どうなっているか全く分からん、ブロック殿が居るという事は無事教国に着いた、という事でいいのかな?」


「だから言ったでしょ? ちゃんと着くって! 私の転移術にかかればこんなもんですよ!」


 堂々と胸を張るラスティの頭をミーリアがはたく。


「痛っ! 何するんです!?」


「何が『ちゃんと』だ! いきなり聖都の真上に飛ばされて! ノルン殿が結界に穴を開けてくれてなかったらどうなっていた事か……お前は少しは考えて行動をだな!」


 言い争う二人をノルンが宥め、そして何かに気付き辺りを見回す。


「そういえば……他の皆さんの姿が見えませんがどこに?」


「お……おぉ! そうじゃった! これから合流しようと……!?」


 ブロックがおもむろに指差した先では凄まじい魔力の乱流と共に家々がまるで玩具のように跳ね飛ばされている……が、ブロックの震える指先はそのまま横にスライドし、大神殿を指差し静止する。


「あ……あぁ……? あ、あれは……な、なんじゃあ……?」


 ブロックの指差す先の大神殿がガラガラと凄まじい音と共に瓦礫を振りまき崩れてゆく……。

 その崩れた神殿の中から姿を現したのは、大神殿をはるかに超える巨体を有した禍々しい異形の巨人であった。

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