王都1
「王都ってどんなところなんですかね~? 私行ったことが無いんで分からないんですよ」
首をかしげるラスティの質問にユーマが腕を組み考え込む。これから敵地に乗り込む上で当然の質問であるのだが、田舎育ちのユーマは王都に立ち入る機会など無く、様子といってもマリアから聞いた伝聞のみである。
尤も、その伝聞も貴族への恨みつらみに彩られた非常に偏った情報であったのだが……。
「僕も麓の町までしか行ったことがないからなぁ……ノルンは分かる?」
「神界から見るのも地図を上から眺める感じですから……特定の座標や人物をマーキングして観察は出来ますが、なかなか事件でも起きない限りは使わないですし……申請作業とか結構大変なんですよ、あれ」
さりげなくストーキングの自白をしたことに気付かぬノルンに被害者ユーマ、首を捻る二人を眺め皆が曖昧に笑う中、先程から熱心に紙にペンを走らせていたグローインがその紙をユーマに投げて寄越す、お手玉しながら受け取ったユーマが紙に目を落とし弾かれたようにグローインを見る。
「え? こ……これって……」
「決まっとるじゃろ? 王都と王城の地図と図面じゃ、必要なんじゃろが? 今の城も町も、儂とブロックが図面を引き作ったものじゃ、作った時と変わらんならその図面の通りの筈じゃぞ?」
驚くユーマに釣られて覗き込んだラスティとミーリアが感嘆の溜息を漏らし、グローインに尊敬の眼差しを送る。
「いやはやこんな特技があろうとは……流石職人達の王だな……」
「ふん! 自分で作った物の図面なんぞ全て頭の中にあるのがあたりまえじゃ! 何十年経とうと書けん物はない!」
「はえ~、ただのおじーちゃんじゃなかったんですねぇ」
「なっ……ラスティ貴様……!!」
じゃれ合うラスティとグローインを尻目にユーマとミーリアが図面に目を落とす、ノルンもユーマの背後からのぞき込むが……図面がよく読めないのだろうか? すぐに頭から煙が上がり始める。
「ここに地下道があって……こっちは……水路? このマークは……あっ、うちの城にあったみたいな隠し通路か! やっぱここでも玉座の裏にあるんだね……」
「土の国の城もその位置だったな……う~む、こうも規格化されていると隠し通路の意味はあるのか?」
「まあ、逆に規格化されているなら警戒されているから使えないね……絶対罠があるだろうし……」
「何処から攻めた物か……潜入しようにも周囲は操られている者ばかり、襲い掛かる魔力線を避けるだけで気付かれる……うむぅ……」
腕組みし、図面とにらめっこする三人の様子を見てラスティが図面をのぞき込む、暫く考えた後ポンと手を打ちにっこりと笑った。
「な~んだ、簡単じゃないですか♪」
笑顔で言い放つラスティの顔に不安が取り去れない様子の視線が集中した。




