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神域の従魔術師  作者: 泰明
帝国
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皇帝と学友8

「お~、やってやがんなぁ、っつーか何でいきなり敵兵が消えたんだ?」


「ん~? 多分マリアが何かしたんだろうねぇ、まあ、死んでは無いとは思うけどね~」


 城のテラスからフリードとアレックスが戦の行方を見守っている、慌てた両軍が陣形を組み直すのにモタつくのを見、フリードが大きな溜息をつく。


「それにしても……たかがこの程度でこの騒ぎか……練度がしれてんなぁ……」


「指揮官不在もあるけど、まあ、平和ボケしてたのは否定できないね~」


「何なら俺が訓練してやろうか? 何人残るかはわからねーがな、クハハ……」


 フリードの冗談にアレックスが複雑そうな表情で笑う……と、フリードの表情が急に険しく変化する。


「……来た! アレックス!!」


 フリードの言葉にアレックスが自身の周囲に結界を展開する、次の瞬間、ガラスの割れるような音が響き、空間に空いたひび割れから歪な形の大剣が振り下ろされた。


「っとお! やっぱり来やがったか! なにもんかは知らねーがツラァ拝ませて貰うぜっ!」


 金属のぶつかり合う激しい音と共に火花が散る、刃を受け止めた勢いそのままに、フリードが魔剣の曲がった先端を鍔に引っ掛け、ひび割れから何者かを引きずり出す。


「うちのメイドが世話になったみてぇだからな! たぁっぷり御礼してやる!」


 引きずり出された勢いのまま相手が空中で姿勢を変えてふわりと着地する、フリードと視線を合わせた相手の瞳に僅かに動揺が走った……。


「……器……? ……なぜここに? ……いや……違う??」


「なんだこいつぁ……女ぁ??」


 引きずり出した相手を確認し、フリードがガックリと肩を落とす、魔剣を構えフリードに相対しているのは、銀色の髪をツインテールに纏めた、髪と同じ銀色の目をした美しい少女だった……。


「器の……偽者? ……でも……今は仕事が先……」


「な~に訳分かんねぇ事言ってやがる? てめえみてーな弱そうなガキに用はねぇ! もちっとマシなのと変わって来い!」


 フリードの言葉を意に介さぬ様子で少女が地を蹴りアレックスの結界に迫る。


「ちょっ! フリード来てる来てる!」


「うるせぇ! 分かってる!」


 結界にに刃が触れる寸前、フリードが下から魔剣を切り上げる。


「随分躾のなってねぇ嬢ちゃんだなぁ! ガキが刃物を振り回すなって親から教わらなかったのか!?」


「……邪魔」


 空中に吹き飛ばされた少女が器用に体勢を変えてフリードに斬り返す、斬撃を躱したフリードの隙を突き、結界に向かうが足を払われその場で二の足を踏む。


「……いい加減にして……あなたに……用は無い」


 少女が多少苛ついた様子で結界を守るフリードに相対する。


「てめえに用は無くてもこっちにゃある! てめえを捕らえて何を企んでるかきちっと喋って貰おうか!」


「……企み……? ……私は……仕事をするだけ……」


 少女は溜息をひとつつくと魔剣を構え、何も無い空間に向けて横薙ぎに剣を振った。


「……うおっ!? なるほど、そういう使い方もあんだな?」


 少女の剣が空中に浮かぶひび割れに消え、消えた剣がフリードの背後から突き出している、完全に不意を突いたはずの一撃だが突如空中に現れた結界に阻まれ、刀身が再び少女の手に戻る。


「アレックスあんがとよ! また死ぬ所だったわ、クハハッ」


「君が死んだら僕が困るんだよ~、でもかなり厄介だねこの子……」


 再び襲い掛かってきた少女の攻撃をフリードが受け、躱し、いなしてゆく……だが、時折混ざる剣の瞬間移動に気をとられ思うように動くことが出来ない。


(くそっ! 力自体はそうでもねぇがあの剣の瞬間移動が厄介だ……刃に触れたら魔力を吸われて終了たぁどうにもきつい縛りだな……それにこの感じは……)


 考え事をしている間にも矢継ぎ早に斬撃が襲ってくる、勢いを更に増してゆく攻撃に徐々にフリードが守勢に回る。


「うおっ……!」


 崩れた瓦礫にフリードが足を取られバランスを崩す、その隙を見逃さず、少女が上段に構えた魔剣を振り下ろした。


「……怠惰が宿るは……足。」


 凄まじい威力の斬撃が、結界をテラスごと真っ二つに切り裂く。


「……! ……いない……」


 少女の表情が僅かに動き、振り返る少女の瞳にフリードの笑みが映った、笑みを浮かべたままのフリードがその大剣に握った小石をそっと落とす。


『チリン……』


 澄んだ金属音を合図に地面に魔法陣が浮かび上がり、少女の眼前が炎に覆い隠される。


(……罠! ……相手が見えない……! 右……左……どっちから来る……!?)


 左右を警戒し少女が剣を構え直したその時、揺らめく炎を突き破りフリードが襲い掛かってきた。


「クハハハハ! こちとら焼かれ慣れてるもんでな! 油断するんじゃねーぞ!」


 フリードの一撃を辛うじて受け止め、後ろに飛んで衝撃を逃がす……。


「……!?」


「連れないねぇ、可愛いお嬢さん♪僕に会いに来てくれたんじゃなかったの?」


 跳んだ背中が結界の壁に突き当たり、逃げ場が無くなった少女にフリードの大剣がうなりを上げて襲い掛かる。


「っく……!」


 空間のひび割れに逃げ込む少女の左の手足が、ガラガラと鐘を鳴らす様な音を立てて地面に転がった。


「っとぉ……逃げられたか……だが収穫あり、ってとこか? やっぱ思った通りだったな」


「ふぅ……とりあえず襲撃は退けたみたいだね~、にしてもあの女の子強かったねぇ……僕の結界が一撃とか寒気がするよ、ダリス大丈夫だといいけど……」


 半壊したテラスに残された少女の手足から、黒いもやのような物が立ち上っていた……。

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