日常消失
扉は開く。
これは――
俺の世界。
っつて、なんだよ、このファンタジーみたいな始まり方! おおう。
ありえねぇえええ!! ここは現実世界なんだぞ? そんな事ある訳ねぇだろ……
突っ込みたくなるわ!! 関西人いたら確実に頭はたかれるわな。
こええんだよ……大阪のおばちゃんとか。
――カッコいいねぇ――
なんて近づいてきてさぁ……
俺の魅力にメロメロかよ、こいつも。なんて思ってたら勧誘かよ!
宗教団体のな……
そのおばちゃんに右手掴まれて、何処行くのや? 兄ちゃん……とガン付けられて、ちびりそうになったわ。
人間つーのはこわこわのこわですよ、マジ……
真剣と書いてマジと読む!! なーんてな。
「俺様、吾豪! カッコつけてる~」
そんなモテモテ? の日常が崩壊しかけてるなんてあるわけねぇえ。
ないはず……だ。
ないはず……なのに。何だか最近幻覚が……
疲れてるのかな? おおう……
「おい、吾豪。今日はもうあがりでいいぞー」
「え、本当っすか? 慶兄」
「ったく、俺はオーナーだ。その呼び名やめろよ……」
「何言ってんすか。慶兄は俺の憧れのホストなんすよ? じゃあ慶様でいいっすか?」
「はあああ? お前ってやつは……」
慶兄は俺の憧れの元ホスト。
他の所で新米ホストしていた俺様を引き抜いて№1へと導いたお人。
そんなお人の事オーナーなんて呼べるわけねーじゃん。
永遠の神。神殿の神。
慶兄が女なら、即抱いてる。逃がさねーよ。絶対にな! あはははは。
「ま、いいや、今日は早上がりな。気をつけて帰れよ」
「ういっす!」
身支度を済ませる俺さま。
店の扉を開く、そして家に帰宅してアニオタに変貌しなきゃな! 興奮するう。
(今日のアニメなんだっけ? 仕事忙しくて見れてないんだよなぁ)
そんな事を考えながら、外に出ると、暗闇が俺様の身体を包んでいく。
出る前に気づくべきだったんだよおおおお!
こんな暗闇、ねぇよ普通! はああ? なんだよこれ……
電灯の一つもない、サファリパーク。
――あ? ああああああああ? ここどこ――
俺の前に見た事もない珍獣が……
これってモンスター? 夢だよな……?
アニメで見た事あるような……
どーなってんだよおおおおおおお! 誰か助けてくれええ!