ゴミ神器よりもあくどい神器が…。
「ピッーーーー!!」
私はスライムの泣き声で起きた。
次の瞬間私の顔面にスライムが飛んでくる。
邪魔だ。まわりが見えないだろ。
私は大きな木の陰で寝ていた。
そしてそのまわりにはサンダーウルフという狼の群れが私を囲っている。
サンダーウルフとはその名前の通り電気系の魔法を得意とした狼だ。
高速での移動に電撃の麻痺攻撃。
当たり所が悪ければ感電死もありうる。
ただ、街の電力がわりに使われたりして乱獲がひどくこの世界では野生のサンダーウルフは絶滅したと言われていたはずだ。
あぁ〜完全にやってしまった。
山の上で魔物がいるのは把握していた。
でも、神様の時の気分がまだ抜けていなかった。
どこか自分は大丈夫だという無駄な余裕。
攻撃系の神器が1個も使えないのにもかかわらずゴミ神器が使えていたから。
「GURUUUUU。」
数は…20匹くらいだろうか。
転生者たちはよく狼などの魔物のリーダーを見つけて従魔にしていたりしたが、私には無理。
どれが群れのリーダーなのかとかよくわからない。
こんな時にカッコよく魔物のリーダーを吸収したり従魔にしてサンダーウルフの群れを従える。
そんな私カッコイイ!!
ってやってみたかったが現実は…。
おっといけない。
そんな余計な事を考えている間にもジリジリと距離を詰めてくる。
何かいい神器はないか。
攻撃のできる武器のほとんどは重くて使えない。
盾も…あっウォーターベットを盾とか。
「ガウッ」
1匹のサンダーウルフが私に噛みつこうと牙をむく。
その素早い動きは私の予想をはるかにこえる。
目だけはいいのだが、まだ神様の時の自分の動きと今の身体へのギャップについていけていない。
なんとかかわしては見るものの左の腕から出血する。
ポタッポタッ…。
あっこれはまずい。軽くかすっただけのはずなのに左腕があがらない。
まだとれていないだけマシだけど、相手からしたらば紙細工レベルだろう。
急いでなにか使える神器がないかを探す。
本当に私最弱だ。
ここで死んだらば、
「死んでしまうとはなさけない。」
とかって言われてまたそこで地獄のようなスキル提供の仕事をさせられる。
私はまだこのきれいな海を満喫していない!
美味しいご飯も食べてない。
まだ死んでやるには早すぎる。
「ガウッ!」
「ピッー!!」
私に噛みつこうとしてくるサンダーウルフの横っ腹にスライムが体当たりをくらわせる。
だが、全然効いていない。
サンダーウルフは邪魔なものを弾き飛ばすように前足でスライムに一撃いれる。
スライムは私の目の前に転がり動かなくなった。
スライム君ごめん。
魚数匹で命まで。
君の死は無駄にはしないよ。
スライムはまだ死んでないといった感じで少し動いているが今のままでは回復の見込みは少なそうだ。
サンダーウルフは1歩1歩近づいてくる。
まるでこっちをあざけわらっているように。
いっせいに襲ってこないのはありがたいが、完全にバカにされている。
こんな弱い魔物になめられるなんて。
とにかく、神器を探してみる。
数だけはある。
その中で一枚羊皮紙の神器が手に触れる。
あぁ〜これやばいやつだ。
思い出したいような思い出したくないような。
極悪非道すぎて神様も使うのを控えた神器。
絶対服従の神器。
『隷属の首輪』
名前は名誉のためにふせるが、これは性癖がおかしくなってしまった追放された神が作った神器だ。
大天界の上位の神の式神、天女を自分の嫁にしようとして作った人権無視の鬼畜神器。
これの隷属の神器はこの羊皮紙に血液をたらし呪文を唱えると絶対服従させることができる奴隷の首輪よりもヒドイ神器だ。
もちろんこれにも欠陥がある。
この隷属の首輪という神器は対象を選べないのだ。
自分から半径数十メートルいないにいる意思を持つ生物を一方的に隷属させる。
しかも一度首輪をつけさせると解除ができない。
解除がされる時にはこの首輪の主人が死んだ時。
しかも、主人が死ぬと隷属されていたものたちも全員が死ぬ。
開放=人生からもだ。
このあぶない首輪を作ったせいでその神は神の世界から追放され、私もなにか危ない神器作れないかと考えたものだ。ただ、さすがにここまで頭がぶっ飛んだ神器は作れなかった。
できれば使いたくはない。
たしか最初はまわりにいる生物3体だったはずだ。
そうこの神器も再利用が可能。
そして使えば使うほど数が増えていくらしい。
「GARUURU。」
ダメだ。考えている時間もない。
私は羊皮紙をつかみ左手の血で契約を結ぶ。
「我ここに血を捧げ、隷属の力を使う。汝に誰一人逆らうことを禁ずる。」
羊皮紙から3方向に血が飛んでいく。
1匹はスライム、もう1匹はサンダーウルフ。
もう1方向は私の後ろへ飛んでいく。
後ろから高速で何かの気配が近づいてくる。
あれサンダーウルフが怯えてる?