遊びぼう! 3
まだまだ続くよ火傷大会!
「次は大富豪! 一番上の人が一番下のをって感じで、はい!」
「……儂か」
「それに秘密をバラすのは僕か。フフ、狙った様な配置じゃあないか」
四回戦目、大富豪の結果。照が勝利、太三郎が敗北。その結果を知った瞬間、太三郎は顔を青くして子供達を見渡す。当然だ。彼にとっては長く寄り添ってきた仲間が自分の秘密を暴くというのだ。それに、照の性格的に手ぬるい秘密を出すとも思えない。どうせ、聞いた瞬間に赤面してしまうようなものを意気揚々というつもりに違いない。
そう思ったからこそ、太三郎は子供達を見渡して、予防線を張る。
「まあこ奴の言うことは七割がた嘘じゃから、あんまり気にするで……」
「焦りが見えるよ、太三郎さん」
だが、太三郎の予防線は一瞬にしてララに看破される。加え、彼女の言葉を聞いた瞬間に他の四人も白い目で太三郎を見つめた。呆れ、という感情だろう。太三郎は一瞬にして、元より数倍は悪い状況に陥ってしまった。
「うぐ……」
「いや、駄目だねぇ太三郎。逃げ道作るようじゃあ……フフ。じゃ、言うね」
机に肘をついて冷や汗を浮かべる太三郎を、照はいやらしい目で一瞥する。その後で、悠然と彼の秘密を語った。
「随分前なんだけど、太三郎はタマの入浴をよく覗いてたんだ~。毎日ってくらいに、ね? このエロジジイめッ!」
「ぐっ……うぅ……」
照の放った秘密を耳にして、太三郎は顔に苦虫をかんだような表情を浮かべる。そうして、それに追い打ちをかけるように、子供達からの視線である。さっきよりも、幾分か強い呆れの目。それを受けた太三郎は……
「早う、早う次のゲームに行かんか!!」
と、怒号を上げる。そんな彼の様子を、照は含み笑いをして見つめながら、先に進めるのであった。
「はーい、じゃあ次は、ブラックジャックかな。親はまた一人づつ回す。ポーカーと同じ感じで!」
「お、俺が負け……」
「ふ、バーストしすぎよ」
五回戦目、ブラックジャックの結果。マーレが勝利、勇気が敗北。
「ま、そういうこと。じゃ、アンタの秘密だけど……」
だが、勇気の口元はそこで歪む。
(ふ、俺にはそこまでの秘密はない。まだあんまり、秘密を作るようなこともしてないからだ! パソコンだっていじれないから鼬みたく色々なサイトに行ったりは出来ないし、ララのように昔の話が出来るわけでもない! ふぅ、実質はイーブン)
そうだ、確かに勇気の考えていることは事実である。マーレと勇気は仲のよさとは関係なく、一緒にいた時間は未だに一か月と少し。そして、秘密というのはどうしても、購入したものや調べたものから湧き出てきやすい。
だが、勇気は未だ碌に娯楽というのを個人ではやっていない。ゲームくらいか。しかしそれも、健全なものだけで、鼬と一緒にである。
だが、これまただが、どんでん返しである。
「朝、起きた時にね。部屋で一人で、こんなことして涎垂らしてたわ」
「え……?」
勇気は顔を青ざめさせる。
彼の目の前でマーレが示した彼の秘密とは、幾分か前に彼が部屋で自分の肩を掴み、涎を垂らしていたことであったのだ。今、マーレは勇気の真似をして自分の肩を掴み、全身をくねくねさせている。それを見て、外野は勇気に目を向ける。ドン引きした目だ。
しかし、気になる点が一つ。勇気はそれをマーレに問う。
「お、お前! 俺の部屋をのぞいたって言うのか!?」
当然の疑問だ。個人部屋での素行を、見ていたとあればそれは覗き。だが、平然としてマーレは答えた。
「ん、いやね、目に入っちゃったのよ。ほら私、朝に散歩する時は体を霧か蝙蝠にして空を飛ぶから。戻ってくる時、視界の端にキモいことしてるアンタが目に入ったってワケ」
「んぐっ……うぅ……」
覗き、ではなかったらしい。自分の恥を拭う機会を失った勇気は、テーブルに突っ伏して顔を腕にうずめるのだった。
そんな風に崩れる勇気を尻目に、照は遊びを前に進めた。ちょっとだけ、やりづらいという表情をしながら。
「え、えっと……次。次はウノしようか。一番上りが最下位にって感じで」
「っっっっしゃおらあぁァァァァァァ―――っ!!!」
「く、くぅ……」
六回戦目、ウノの結果。涼が勝利、マーレが敗北。
「ふっ、一回戦目の仕返しを、させてもらおうかしらねぇマーレぇ?」
「……………………」
涼は一回戦目のリベンジが果たせたと、口元にいやらしい笑みを刻んで立ち上がり、俯くマーレのことを見おろした。そうして、すぐ事を為してしまおうと皆の方を向く。
「マーレはBL好きで、自分で漫画書いてまぁッす!」
「へぇ……えっ?」
涼、マーレ以外は涼の言葉を聞き、少し驚く。マーレが漫画などを、自分で作っていたとは。しかも、そっち系の……笑う気にはならない秘密だ。しかし、これを晒された方はたまったものではないだろう。他人が気にしなくとも、自分は気にしてしまうという奴だ。その証拠に……
「ねえ涼」
マーレが涼に声をかける。その顔は、満面の笑みであった。が、その口から放たれた言葉は決して、安全なものではなかった。
「夜道には気を付けるのよ。最近はほら、不審者とか多いし、ね?」
ララはそのマーレの満面の笑みの後ろから、敵意を示す真っ赤な光を見た。ドロドロと、溶けているような赤である。それを見たララは、まあ仕方ないだろうと思いながらも、彼女から少しだけ距離を取る。
(うわぁ……すごい。すごいこわい)
そして、そんなことも知らない鼬は、一つ離れた所で悩んでいた。
(ふむ、漫画……プレゼントには出来ないし……画材? 画材でもプレゼントすればいいかな……)
と、一段落した後で、照が次のゲームに移ろうとする。
「さて、じゃあ次のゲームに……」
だが、その時であった。
ガチャン
食堂の外、妖館の入り口。その扉が開く音がした。食堂にてカードの娯楽を楽しんでいた七人は、異音を耳に止めるとそれのした方へと振り向くのだった。




