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偶然

 前回より二日後、つまり前回から見て明後日、勇気は朝、起き上がって早々に仕事をした。三人分の朝食、そして弁当を作り、こなれてきた妖館の掃除を粗方終えた。天翔は朝から出かけているし、太三郎は眠っていて……



「クソ……暇だ」


 勇気は食堂のテーブルで頭を抱え、唸っていた。彼にはもう、することがなかったのだ。友人と呼べるまでになった妖怪三人はいない。


「あのゲームも、全クリしちまったからな」


 一人で呟くようにしてそう言う。そう、彼は鼬に受験勉強がどうたらこうたら言っていた割に、ゲームを夜通し続け、休日が終わるころには全て終えてしまっていたのだ。

 以上の要因から、今勇気という少年は暇という沼に漬かっていた。灰色の面をして、テーブルに顔をそのまま当てている。そうしながら、深く、深くため息を吐いた。そんなことをしながら、かれこれ三十分強。強い彼の精神も、耐えきれなかった。


「ああ……散歩でも、するか」


 勇気はふと、思い立って食堂、及び妖館を後にした。彼は自分が外出するとき、もしもという時のために妖館の誰かがついて行く、という話を忘れていたのだった。








「……嫌な色、ばっかり」


 妖館、その最寄り駅。人がまばらに通るその駅で、一人目立つ少女が立っていた。呆れるほどに長い金髪を束ね、サングラスをかけ、白い肌を持つおっとりとした美少女だ。


 その少女は、サングラスを少しだけ外しながら駅前の広場に通る人々を見た。その目には、さまざまな色が映りこむ。


「ああ……もう、頭が痛くなってくる……」


 チラと人を見ただけで、頭を抱えながらサングラスをかけなおす。その後に、深く深くため息を吐いて歩き始める。金の髪を、キラキラと風にたなびかせながら。


「どうせ……どこも変わらない。でも、タマさんの言ったことだから……」

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