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高校初の友達

「結構時間使ったねぇ~」


「ああ、陽が落ちかけてる」


「……そろそろ俺、帰らねえと」


 勇気、鉄矢、龍也の三人はカラオケから出て空を見上げていた。空はオレンジ色に染まり、所々に薄暗い箇所がある。春の時分だと、恐らくは五時か六時ほどだろうか。街には明かりがつき始め、まだ活気があった。


 鉄矢と龍也は時間について口にする。それを聞くと勇気は帰らなくては、そう思い始めた。


「おん、もう帰らなくちゃいけない時間だったりするの?」


 勇気の言葉を耳の端にとめ、鉄矢が首を傾げた。つられて龍也も問いかける。


「何か用事があったりすんのか?」


「いや、ん~。そういうわけじゃないんだが……」


 勇気は用事があるのかと言われて、少しだけ言葉に詰まる。


 彼が帰りたいと思い始めた理由は妖館でご飯をつくらなくてはならないという理由からだが……それを説明しようとすると、少し長くなる。なんたって、孤児院がどうのこうのの話をしなくてはならないのだ。勇気はそれを嫌がった。


 彼がしばらく言葉に詰まっていると……彼の心中を察したのか、鉄矢が口を開く。


「門限とかぁ?」


「はっ?」


 全然違った。


 勇気は思わず、全然違うことを口から吐いた鉄矢に対して怪訝を示してしまう。だが鉄矢はそれに構わず悪戯っぽく笑った。


「勇気の家では、女の子みたいに門限がついてるのかなぁ? 可愛がられてるね」


「ちっ違えよ。飛躍させるんじゃねーっつの」


「そうだよね。貞操がね」


「話聞けッ!」


 ふざけ続ける鉄矢に対し、勇気は怒声を上げる。


 ただ、鉄矢は未だにふざけ半分のままで勇気のそれに応えた。


「まーま。分かったよ。勇気はなんかしらがあって、早く帰んなくちゃいけないんだね」


「……そうだ。そういうことだから、じゃあな」


 鉄矢はふざけていても話は分かっているようであった。龍也も彼の後ろでうんと頷いている。二人の表情を見ると、勇気は少しだけ黙った後で首を縦に振った。


 勇気の状況を了解すると、龍也と鉄矢は勇気の行く方向とは違う方へ向かう。そうしながら気分よく手を振った。


「んじゃあ、またな神崎。明日また学校で会おうな~」


「じゃ~ね~勇気~」


 二人の手を振るのに、勇気も応えた。


「ああ、じゃあな鉄矢……と……ん~……龍也!」


 最後、勇気は少し違和感に思ったのだろう。何で鉄矢だけは下の名で呼んで、龍也のことは近藤と上の名で呼んでいるのだろう、と。最後に呼び方を変えて勇気は龍也のことを龍也と呼ぶのであった。


「……! フッ、じゃあな勇気!」


 最後、龍也と呼ばれた彼も勇気と同じようにして応えるのであった。












「やっぱり僕には見る目があるよ」


「……そうかもしれないな」


「ありゃ、タツにしては珍しい。僕のことを素直に認めるなんて」


「だってよぉ~。あんな奴連れてこられたら、まあ認めるしかないだろうよ」


「フフッ、そうだね。いやぁ、楽しみだよ」


 夕日を背にし、互いをこれ以上にないほど慕う二人は歩いていた。その途中、鉄矢が振り返る。夕日を振り返ったのだ。そうして、それを掴むように空へ手を伸ばした。


「これからの学校生活。色々なことがありそうだ」

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