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全ての狂いは日常から

ピピピ、ピピピ、ピピピ。


その音は至福の終わりを告げる。


心地良く、とてもゆったりとした時間は過ぎ去り、忙しく、そして気だるげな朝を迎えてしまった。


どうして太陽は毎日毎日律義に地平線の彼方から顔を出してしまうのか?。


地球が回っているからだと、真面目に考えればただただ当たり前のことなのだろうが、


今の俺にはとても理不尽だと感じた。


パンをトースターに入れ、制服に着替え、焼けたパンを食い、歯を磨いて顔を洗う。


機械のように感情無く支度を行い、鞄を持って玄関に出る。


父の靴はそこに無く、もう出て行った後なのだろう。


母と妹は未だ寝ているのだろうか?。


だとしたら妹は今日も遅刻になる。


ご愁傷様、と胸の中で呟くだけで起こしてあげようという気は起きない。


むしろ妹が廊下にバケツを持って立たされている様子を想像すると、少し笑える。


そんなゲスい妄想をしながら、「いってきます」と俺は学校に向かった。




学校へは家の最寄り駅から三駅18分、そこから歩いて10分。


電車の窓からは銀杏の木がずらりと並んで、秋一色の世界を伺える。


電車を降り改札を出ると小さな商店街があり、ぽつぽつと店が開いている。


寂しさを漂わせる商店街を真っ直ぐ進むと、あまり整備の行き届いていない神社がある。


鳥居をくぐり、賽銭箱に五円玉を二枚投げ入れ、小さな願い事をする。


それが俺の最近の日課だ。


願うことは毎日違う。


例えば、小テストで100点取りたいだとか、台風で休校になれだとか、


大抵くだらないことの成就を祈っている。


成就率は体感二割ほど。


五円玉を二枚投げるのは五円と御縁をかけているのと、


賽銭は十円のイメージがあるので金額合わせとして。


成就率は以前の百円入れてた時よりは上がっている気がするので効果はあると思う。


少なくとも俺のお財布には優しくなった。


賽銭箱に五円玉を入れ、二礼二拍手一礼。


丁寧にやるなら最初と最後に一回ずつ浅くお辞儀をするらしいが割愛する。


さて、今日は何を願うか…。別にこれといって叶えたい願いは思いつかない。


小テストも今日はないし、課題もきっちりこなして忘れずに持っている。


世界平和とか大それたことを願ったら、追加で賽銭を要求されそうなものだ。


十円程度で叶えられるような願いでは無さそうだし。


だから俺は適当に、「何か普段と違う、おもしろいことが起きますように」、と願うことにした。


普遍的な日常に、少しのスパイスが効いたものになれば、それはとても美味しいのではないだろうか?。


そんな淡く愚直な願いを乗せ、鳥居をくぐろうとした…。


その時、どこからか声がした。


ただ微かに聞こえただけのはずなのに、その声はやけにはっきりと耳に入ってくる。


不気味にささやきかけるかのように聞こえた声は


「汝ガ願イ、ソレ叶エテヤロウ。」


と、言っていると感じた。


そのおぞましい声に、体が小刻みに震えるのが分かる。


…いや、小刻みに震えることしか出来なくなっている!?。


自分の体が思うように動かないのだ。


段々と、それでいて確実に俺の自由が失われていく…。


ついには意識さえも薄れていき、俺の視界はブラックアウトしてしまった…。


おぞましい声を聞いたことによるSANチェック 1/1d6

1d100 → 94 失敗

1d6 → 2

主人公 SAN値85 → 83


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