第三九話……秘密の会合3
上村が言いた事は何となく察しがついていた。ただ、多くの者がそれを口にする勇気がない。
「つまり、全員でここから逃げる……そして、その先にいるラスボスを倒す、ようはそんな感じやな? それは能力である者が望ましいってことやろ?」
「ええ、そうね。実際にそこにあるものがどんなものかはわからない。けれど、能力者でなければ、破壊できない可能性もあるわ」
沈黙を破る千堂に上村は苦笑いする。こんなことを話されてやる気をだせという方が無茶というものだ。
彼らは特異な能力を持っているといっても、軍人でもなければ戦闘訓練を受けているわけでもない。能力がなければ、単なる子供なのだから。
「その話、本当なんだよね?」
柏原が上村の瞳を見つめる。
「ええ。私にだってプライドがあるわ。そんなものを作るために、あなた達をここに連れてきたわけじゃないわ。もし、信用できないなら、あなたの『サイコダイブ』で私の心を調べてもらってもかまわないわ」
「……わかった。私は信用する。それに、もし嘘を言っていたとしても龍歩がわかっているはずだしね」
「うん? まあ、そうやね」
千堂は言われて苦笑いした。実際には話に夢中になって能力を使い忘れていた。とはいえ、能力など使わなくとも、彼女が嘘をついていないという事はその目から伺い知ることができる。
「やるしかないって事ね」
冴木の言葉に全員が頷く。上村は微笑むと一呼吸おいてから、こう言った。
「それじゃあ、一先ず君達の計画、聞かせてもらえるかしら?」
冴木、千堂を中心として今まで計画されていた作戦を、上村を交え話し合った。
それは空も初めて聞く内容だった。
当初計画は空の覚醒を待って決行されるはずだったという事を知った。
しかし、すでに時間はない。
上村も、今は誰が内通者なのか調べがついていない。彼女は自分が得られる情報を提供し、共に脱出する流れとなった。
そこに集まったメンバーは三日後の決行を約束し、解散した。