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二十五人目の空  作者: 紫生サラ
第一章 集められた子供
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第十九話……猫の留守番

 留守番を言い渡され暇をもてあますサヤは、扉の前で座り込み、ジッとドアノブを見つめている。

 さっきまで部屋の中をウロウロと歩きまわっていたのだが、静かにしなさいと昼寝をしているユキに怒られてしまった。

 ああ見えて、ユキは怒るととても怖い。

 サヤにとってもっとも恐怖するものは姉の怒りなのだ。


「あっ」


 言ってから思わず口を手で押さえ、サヤはユキの方を振り向いた。ピクッとユキの耳が跳ね上がる。跳ね上がった耳はゆっくりと塞がれていく。

 よかった、起きなかった……。

 サヤはフゥと胸を撫で下ろす。もうすぐ向こうには空が来ているのだ。

 足音。歩幅。リズム。安心するこの感じは空のものだ。

 同時に混じるあまり好きじゃない感じは千堂だ。空のとなりに千堂がいる。

 けれど、どうやらもう一人いるようだ。

 人? どんな人? 

 上村や高橋のような足音ではない。上村のような早足ではないし、高橋のような地面を擦るような足音でもない。

 どんな人でもかまわない。

 空がいれば、ユキの機嫌はよくなるし、何より遊んでくれる。

 サヤは、もう自分のしっぽでじゃれて遊ぶことにも飽きてしまった。

 もう少し。もう少し。

 背の高い千堂の姿が見える。

 千堂がいる時は、空が遊んでくれなくなるのであまり好きじゃない。それに「猫娘」と言ってバカにする。

 サヤは一人で思い出して、一人でぷりぷりと怒った。

 うん? もう一人は……初めて見る子だ。

 だから足音に心当たりがなかったのかとサヤは納得する。

 背は空よりもずっと低い。もしかしたら、自分よりも小さな子かもしれない。

 髪が長く背中まで伸びている。

 ガチャ。


「おかえりなさい!」


 ドアが開いた瞬間、サヤは空に勢いよく体ごと飛びついた。


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