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二十五人目の空  作者: 紫生サラ
第六章 白い迫撃
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第百三十七話……燃え上がる炎1

「うわわああぁっ!?」


 聖達が消えて行った通路とは逆方向に必死に走りながら何か対策をないかと知恵を巡らせていた。

 運動がそれほど得意ではない蓮見にとってみれば、この状況は最悪だった。

 後ろからは両肩に特徴のある巨人が追いかけながら、衝撃波をあらゆる形で発射してくる。救いなのは、発射する時にわずかながらに間ができることくだらいだった。

 そしてここまでの逃亡のおかげで解った事言えば、小さいな衝撃波は短い間で速射が可能という事、大きくなればなるほど発射までに時間がかかるということ。それに、発射するときには少しでも足を止めなければ、ならないということ。その形状は多岐にわたり、大きさなどは自在にコントロールができるようだった。大きいものが発射される時には空間に陽炎のような歪みができるので、そのタイミングを知ることができた。

 あの衝撃波は一体何なんだろう?

 何かの能力である事は間違いないはずだが、そんな能力を使う人間を思い当らない。

 そんなことを考えながら、蓮見は開けたところまで何とか辿りついた。そこはまるで研究所にいくつかあった多目的ホールを思い起させた。

他二体からだいぶ離れただろうし、ここなら少しは時間稼ぎができるはずだ。

 蓮見は巨人と対峙しながら考えた。

 それにもう逃げ回るには息が切れすぎているし、何より足が重い。

 その場所は天井も高く、かなり開けていた。蓮見は異能研究所にいた時に有志で授業をしてくれていた研究者たちが体育の授業だと言って、こんな場所でレクリエーション的な運動をした事を思いだした。

 所謂体育館のような何もないただ広いフロアであるが、今の状況から考えればその方が好都合だった。物陰などに隠れれば、衝撃波でそのまま消し飛ばされるかもしれないのだから。

 向かいあったまま、ある程度の距離を保っていることの方が安全策とも言えた。しかも幸いなことに、この巨人は聖を追っていった鞭の巨人のように俊敏に動き回ることもない。


「時間稼ぎで精一杯か……」


 出来れば、早く聖達に救援に駆けつけてほしかった。『バリア』がある以上、こちらの攻撃は通用しない。もし『リフレクション』が発動すれば攻撃をした時点でこちらの身が危ういということも蓮見にはわかっていた。

 聖も一馬とも研究所に入ってからの付き合いだが、その付き合いは短いわけではない。

 お互いの能力について話合うこともあった。

 聖さえ来てくれたら向うの防御壁を失わせる事になる事もすぐに理解できた。

聖さえ来てくれたら……漠然とではあるが勝機が出てくるような気がした。不思議と何とかしてくれるかもしれないような気がしてしまうのだ。

 蓮見にとって見れば、能力などとは別にして、近寄りがたい雰囲気の聖やみんなをまとめる千堂はいてくれるだけで何とかしてくれるような気がする存在だった。

 それほど自分と歳も変わらないリーダー的存在の彼らを、蓮見は心のどこかで憧れのようなものを抱いていた。

 存在感のある彼らの陰についていく、隠れるように静かにしている、それが自分の立ち位置だと蓮見は理解していた。

 聖と合流して、それから新入りの空のもとへ駆けつければいい。もしくは空と聖が来てくれれば言うこはない。

 どちらにしろ、それまでの我慢だ。 

 うん?

 蓮見は自分の周りで何かが蠢き始めたのを感じ、思わず周囲を見回した。すると、衝撃波で破壊された瓦礫が巨人の周囲に浮かび上がる。


「あれは……!?」


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