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二十五人目の空  作者: 紫生サラ
第六章 白い迫撃
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第百二十五話……白い迫撃2

 蓮見に注意を向け始めたタイプⅡに聖は殴りかかった。『バリア』を纏った聖の拳はよそ見をしていた巨人の頭部をえぐり抜く。


「ちっ!」


 聖は舌打ちした。女性の腿ほどの太さがある巨人の首はの筋肉は、強靱でしなやかだった。むしろ、聖に殴られたその勢いをバネにして鞭を唸らせた。


「くっ!」


 巨人の一撃も聖の『バリア』を突破することはできない。

 巨人と対峙する聖は、互いにダメージを与える事ができないでいた。救いなのは、この巨人が『バリア』を持っていないという事ぐらいだった。

 防御は問題ないが攻撃は通じない。ならばどちかの気力がなくなるまでの持久戦だ。

 こんな化け物と?

 ちっ……。確かに蓮見の考えは間違っちゃいねぇ、あの衝撃波を防げない以上、こいつを何とかしなきゃならない。

 こいつを倒して、蓮見や風見の方に回る必要がある……。だが、そう簡単には勝負をつけさせてもらえそうにない。

 聖は歯噛みした。

 それはタイプⅡも同じだったのか、思うように攻撃を通せずに攻撃自体粗が出始めた。

 化け物のくせにイラついてやがるのか?

 不意にタイプⅡは姿が霞むほどに加速した。


「こいつ!?」 


 こんなに速く動けるのか!? これも能力か? 平田の能力も美奈の能力もこんな要素はなかったぞ!?

 その動きは全身をバネのように使う猫科の動物を思い起させる。速度は空気を裂き、鞭を硬化させる。


「どこだ!?」 

 

 ランダムに動き回るタイプⅡに聖は完全にその姿を見失った。


「聖! 左から来るよ!」


「!?」


 そばにいた夏美の声に聖は咄嗟に左に意識を集中させた。その瞬間、聖の目の前に巨人の鞭が現れた。聖からわずか五センチ。『バリア』を肉迫する。

 今のは……。

 夏美の声がなければ、その方向に意識を向けなければあぶなかった。加速したタイプⅡの攻撃は『バリア』突破する勢いだった。

 一撃離脱で巨人は再び加速する。


「夏美、今の?」


 夏美は得意気に笑みを浮かべた。

 そうか、匂いか。

 いくら速度はあっても匂いを消すことはできない。来る方向さえわかっていれば、あの加速からの攻撃も何とかしのぐことができる。

 問題は攻撃だ。攻撃手段さえあれば……。


「聖!」


 神楽が聖に向かい何を投げた。彼はそれを受け取るとまじまじと見つめた。


「?」


 守衛団のハンドガンだった。日本の旧警察組織で使われていたものをベースに作られ、守衛団の基本装備として支給されているものだ。聖もこの銃の威力は知っている。実験の時に撃たれた事があった。


「こいつじゃ……」


「それには特殊高速弾が装填されてる! 威力は桁違いだ!」


 その時、吉田が叫んだ。


「……!」


「聖! 正面から来る!」


 夏美の声に聖は銃を構え、『バリア』を全開に展開して引き金を引いた。


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