表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
1/2

突然だが俺は

突然だが俺はホモだ。



ホモ。本当の所はゲイと言うのだろうか。

まぁ、そんな事はどうでもいい。 大事なのは俺が男の子が大好きで尚且つ男にしか興味が無いって事だ。



しかし残念ながら俺の好みは昨今のアニメや漫画のホモ、所謂BLと言われるものとは少しズレる。

俺の好みは腐女子のお姉さんが大好きなツルツルキューティーな男児やガチホモ系といわれるゴツゴツの男臭いマッチョではなく。


そう普通の、普通の整った顔立ちの男子なのだ。高校生くらいがベストなのだ。

分かりづらいだろう。普通というのが一番分かりづらいのは俺も十分に承知している。


別に腐女子の方々やガチホモ系と全く趣向が違うというわけでもない。

キューティ-な男の子は十分好きだし、汗の匂い香るお兄さんだって大好きだ。

最近のアニメで例えれば……某水泳部の方々や、某火星育ちの地球人なんて大々々好きだ!


まぁ兎に角、俺の趣向、好きなタイプは他のホモやお姉さんとは少しばかりズレるものの基本的にオールマイティっていうことだ。


好きなタイプなんて千差万別、それこそ人の数だけあるものだろう。


大事なのは俺の比較的守備範囲の広いその趣向の中で例外的に好きになれないものがあるという事で。









「長い! お前の話は一々長いよ菫。僕はお前の趣味嗜好に大して興味を持ってないんだからとっとと結論を言え」


話を遮られ、俺は不機嫌そうにパンケーキを口に運ぶ。


「クッキーはそうやって直ぐ結論結論言うんだからー。そんなんじゃモテないゾ?」

「お前の話は長いんだよ。一つの事を話すのに何分かかるんだ。あとクッキーって呼ぶな。僕の名前は楠だ」

「まぁまぁ二人とも! 喧嘩しないでって~。はい楠君お口あーけてー」

「待てスズ。それは俺の仕事だ」


僕が牽制するもスズは止まる事無く楠の口にチョコケーキを入れる。

それに紛れて僕も楠の口にケーキを入れる。


「兎に角。結局お前は何の話がしたかったんだ?」


律儀に口のケーキを食べ終わってから話を戻す楠。



「Twitterで知り合った人と今からデートしてくるんだ」

「え~菫君この間も男の子と遊んだばっかでしょ? 女の子は純潔大事にしないと~」

「スズ。俺は男なんだぜ」

「心は女の子みたいなもんでしょー」


スズが僕の口にケーキを入れる。


「で、それがさっきの話とそれがどう繋がるんだ?」

「いや改めて俺のタイプを説明しとこうかと……」

「どんな人なの~? 年上? 年下?」

「いちお年下。中学三年生とだけ聞いてるな」

「へぇ。高校生じゃないんだめずらしー」

「おいおい。俺の対象範囲は広めなんだぜ? 中学生とかバッチ来いだぜ」

「でもこの間、やっぱ遊ぶなら年上のお兄さんだわ~全部奢って貰えるし~。とか言ってなかったっけ?」

「馬鹿だなスズ。中学生の若々しい性欲を引き受けてやるのも俺の使命の一つだろう」

「馬鹿はお前だよ。こんな所で性欲とか言うな」


楠が俺の口に乱暴に自分のチーズケーキを突っ込む。


「くしゅのきとかんしぇちゅきしゅ!?」

「口の中の物を片付けてから喋れ。で、何でそれで僕が呼びつけられたんだ?」


楠に言われた通りに僕は口いっぱいのケーキを呑みこむ。甘い。


「俺が前遊んだ人に襲われかけた話したっけ?」

「ああ。会社員か何かだったか?」

「おう。で、今回会う相手も何かよく素性分からないっぽいし、もし本当は中学生じゃなく変な奴とかだったら危ないだろ? だから喜連流師範代の楠先生に教えてもらおうと思って」

「菫君、顔はかっこいいもんねー」

「スズ、俺は身体も最高なんだぜ?」

「ふむ。だけど喜連流はあくまで剣術の流派だからな。直ぐに役に立つ護身術なんてあったかな」

「あっじゃあさ。楠君が菫君についていってあげれば?」


嫌そうに怪訝な目を楠はスズに向けた。


「何で僕が……」

「だって楠君がついていってあげれば護身術とか要らなくない? 強いし」

「名案だ! スズ! それは名案だぞ! もし変な奴だったとしても楠がパパーッと追い払ってくれれば安心だし、俺はその後に楠とデートすればいいからな!」

「誰がお前とデートだ! 僕はホモじゃない!」


楠が大声で叫んだ事によって店内の視線が一気に集まった。


「……場所を変えるぞ」

















「喜連流に護身術は確かに無いが、僕が普段やってる様に剣技の型を素手でやれば護身くらいにはなるだろう。僕が今から少し見せてやるが多分簡単には覚えられないぞ? 一応は剣術だからな。一朝一夕でできるものじゃない。まぁ要所要所、説明してやるから素人くらいならノックアウトだろう。何かあったら僕に連絡しろ。ゆっくりじっくり助けに行ってやるよ」




そして俺は楠に型を丁寧に教えてもらい、ようやく1つくらいの要所は覚えれるようになった。


「右手を前に当てて、左手を突き……っと」



それにしてもツンデレ。冷たいように見えて実は誰よりも優しい。

ああいう所がかわいいのだ、楠は。


容姿も端麗で戦う所なんて超かっこいいのにその上抜群にかっこ可愛い。

超優良物件だな。スズや別の女に盗られない様にしないと……



「ん?」


携帯電話が震える。


「おぅ。マジか。急がないとなー」


メールは今日の相手からのものだった。


待ち合わせ場所に予定より早くついてしまったそうだ。

早すぎる。まだ予定より2時間も前だ。どんだけ楽しみにしてんだよ。


「危ない相手じゃあないっぽいかなー」


リズムよく走りながら相手の事を考える。


そもそも相手の事が良くわからないのはいつもの事なのだ。

俺達は性質上、今の世の中じゃネットくらいしか出会う所は無い。


ネットで知り合った人間に無暗に情報を渡すべきではない。そんな事小学生でも知っていることだ。


だけど、俺達はそうしないと中々上手く生きていけないのだ。

愛さないと生きていけない。恋しないと生きていけない。


そうでもない人も中には沢山いるのだろうが、少なくとも俺は違うのだった。

俺はその中でも特殊な様で、ネットで知り合った奴でも殆ど恋人にはなれなく。

その原因は好きになれない事で、友達のまま続いてしまう。


恋はしたいが愛せない。それが俺、夕凪菫だった。


そんな俺にも王子様、またはお姫様はいるかもしれない。夢のような人生が待っているかもしれない。

そんなあっまい事を考えながら俺は日夜出会いの日々を送っている、のだが。





「あれ……待ち合わせって……ここ、だよな」


人が居ない。人っ子1人居ない。

まさか本当に危険な状況何だろうか。


確認しようと携帯電話を出す。


「あっ……遅いですよー! 僕、待ちくたびれちゃった!」


俺がその声に気づき顔を上げると、そこにはまるで女の子の様と見間違える様な可愛らしい少年が俺に輝かしい程の笑顔を見せていた。


俺はそれを見て思った。







「チェンジ!」

「は?」


少年はその整った顔を歪める。


「俺は、俺のストライクゾーンは結構広いんだ。だけどそんな俺にも唯一苦手であんまり好きじゃないタイプがある。それが君だ。俺は君みたいな可愛らしい自分をアイドルみたいに思ってる子は好みじゃない。だけど折角の中学生なんだから性欲を受け取る気は全然更々ないとしても遊びたいって気持ちはあるから友達として一緒に遊ぼうぜ。性的な対象としては全然見れないし、好きにもなれないけで友達にはなれるだろ? 俺達いい友達になれると思わないか? 成れる! 絶対成れる! 友情深めてお前の可愛さによってきた男を俺に回してくれよ! 頼む! この通りだ!」


よしこれで終わりだ。後は適当にメルアドでも交換して帰り道でアドレスを変えよう。

あー今から帰ったらまだ楠遊んでくれるかな。お金結構あるし楠と焼肉でも食いに行こーっと。楽しみだぜ!





「…………クソ野郎……」

「ん?」


ん? 何か何処かから声が聞こえた気がする。

おかしいな。此処には俺以外誰もいない筈なのに。






「テメエに言ってんだよこのクソ野郎!!!!!!!!お前みたいな勘違い出会いクソ野郎は……」



目の前の少年はその身体のどこから出ているのか分からない声を空間に大きく響かせる。







「僕の業火に弾かれ死んじまえ!!!!!!!!!!!」




瞬間、俺の胸部は"何か"に包まれ爆発する。それと同時に俺。夕凪菫は17年間の人生に幕を閉じた。


そしてそれこそが俺の、意味は違えど夢の様な人生の幕開けだった。





作中に出てくる主人公の名前は、夕凪 菫 ゆうなぎ すみれ と言います。

楠は、喜連 楠 きれ くすのき です。

スズは、美章園 鈴蘭 びしょうえん すずらん です。


見にくい漢字ですがどうぞ愛してやって下さい。 

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ