食べ放題爆発!!
〜 食べ放題 爆発!! 〜
車は走る 二匹のハングリー モンキーズは依然 灰色のまま
「あんた達一体何してたらそんなふうになるの」と正子
「とりあえず早く何か食べさせなきゃいかんのう」
何だか車の中はソワソワ
ブゥゥーン !!!
隆はアクセルを踏んだ。
待ってろよ
そして食べ放題のお店へ
「この店は肉はもちろん寿司も、アイスもフルーツも食べ放題だよ」爺ちゃんは囁いた
「うきゃー」多網ときみ子は奇声をあげた
「いきゃー」 「わきゃー」
ああ、多分 二人はあまりの腹すきすぎにより もう言葉を忘れたんだ
冬馬君は思った。
「わきゃー きゃっ きゃっ」
二匹の目は輝いていた、口からはヨダレが、うおっ! 涙まで
頼むこの二人に早く食わせてやってくれ。
頼む何か食べ物を!!
車が駐車場に止まった瞬間
二匹のハングリーモンキーズが勢いよく飛び出した 「きしゃー」「わひゃー」 「ももひき」
後につづけと冬馬君達も
「はっはっははは」笑いながら二人は凄いスピードで走って行った。
それは事情の知らない人から見たら異様な光景だろう ただのキチガイである。
「あははははひゃっはっはー」
走って二人はお店の食べ物の置いてある前まで行った「ひゃー 宝 宝」
「ちょっとお客様 本日混み合ってますので予約されてるかたですか?」
その言葉に振り向きこっちを見るうつろなモンキーズの瞳 悲しげな表情
まるで楽しみにしていたバナナをとられた猿
きみ子は崩れ落ち 屁をこきたかったがもうスカスカ 「プスッ」最後の力はたったこれ
「おおおーっ」
多網は怒りに顔を真っ赤にした
「ぎゅーしゃー」
その時爺ちゃんが「予約してるよ、いつも混んでるから」
二人は空を飛び地球を出て大気圏を突破して宇宙に飛び出た 「うほ~いっ ほほーっ」
受付をすませいざ店内に
「さあ好きなだけとりに行っておいで」と爺ちゃん
「しゃーー」 きみ子は飛び去った
「はヌー」多網は全力でかけていった
そう考えるとバーゲンセールで走り回る主婦達もパワフルだ。
「僕達もいっぱいとってこよう」と冬馬君
「食べるぞー」大喜
子供達の嬉しそうな顔を見て微笑む
大人たちだった。
「さて私たちも」大人も気合い爆発
お皿に盛り付け冬馬君達はかえってきた「ひゃっほー」
肉を焼こう 「はやく焼けないかな」
しばらくして 「あれっ?多網達は?」
お店の人が来た「すみません、ちょっとあの状態は困るんですが」
正子は見た
生のまま 肉を食べてるきみ子
立ちながら手でつかみ口にほうばる
多網
「こらっなにやってるの!」
その時の婆さんの一言が忘れられない
「野生」
多網達はもどってきた
ちょっと何それ?
「きみちゃん、食べ物争奪戦してるんじゃないんだから、そんなにいっぺんに持ってこなくても」
きみ子の両手の皿には置いてあったものが山のように詰められていた
「もはは」
ダメだ、きみ子はもう食料しか頭にない
多網も同じように持ってきて焼きはじめた
辺りの人達は冬馬ファミリーのテーブルをちらちら
正子、隆は恥ずかしがっている
肉を焼いて五秒後きみ子は食べた
「ちょっときみ子それ生だよ」
「うーっ うーっ」早く食べたいきみ子は唸る
きっとあまり美味しくなかったのだろう、肉をしっかり焼きはじめた きみちゃん。
出来上がりいざ肉を食べようとした その時 ささっ ぱくっ
多網が食べた
「うわおいやー」
きみ子は怒りほえた 顔は真っ赤だ
あんた食料はこんなにあるのに
冬馬君達はこりゃまずいと思い肉を焼きまくりきみ子にあげた
「ほっほー」 本能のおもむくまま きみこ
バクバク二人はすごい食べっぷり
ご飯をかきこみ、肉をペロリ そして寿司をほうばり アイスも舐める
至福の二人
「かはっ」
隆は声のするほうを見た
「やばいっ」 パックが隆の肉を食べていた
頭で再び流れるパックマンの音楽
「あっ隆さんすまんの」
パックマンもびびるかもしれない、その入れ歯を再び装着 シャキン
ニッコリ笑った婆さん。
隆は顔を手でおおった
顔は真っ赤である、冬馬君は気がついた そうとう父ちゃん ツボに入ってるなぁ。
そんな時、婆さんはやった
枝豆をヒョイっと投げ口にほうばる
隆は顔をあげ目の前でそれを見てしまった
そう開けた口からは入れ歯ははやくも落ち歯のない口にエダマメだけが
「がふっ」隆は手をあて笑いをこらえた笑っちゃいけない隆 笑っちゃいけない堪えろ。 だが 直後の婆さんのひとこと
「噛めない」口をもぐもぐしている
隆は声が少しでた「はひゅ」
頼むこらえてくれー隆 自分に言い聞かせていた そしてこらえた
「ふぅーっあぶなかった」
が視線に落ちたパックが自分の肉をくらいついてる光景が
トゥクトゥクトゥクーとウッとウットゥルル
「あははははは はひっひひっ はー」
そのまま、隆は立ち上がりどこかに去っていった。
多網ときみ子 食べつづけた二人はやっといつもの二人に戻ってきた
「あはは あはは おいしい おいしいよー」 その姿は生きて食するという
喜びと一体化した姿だった。
「ありがとう ありがとう 牛 豚 魚」
きみ子はよっぽど嬉しかったのか、満足したのか ありがとうを連呼し始め
感きわまり 立ち上がり
「ファイ ファイ」
でたーっ、もうでた・・・
両手を交互につきだし
「ファィ ファィ」
多網もやり始めた
いっそうまわりの人達は注目している
正子は下を向いた
「さて」多網は立ち上がり
つづいてきみ子
二人は席をスッとたつ
冬馬君達はすぐに分かった
「大喜あの二人」
「うん」 すぐさま後をつけた
さあ出るよ
そう行き先はトイレ
冬馬君達はカウントした
「さん にー 」
「ヴブォカーン ブブーッ ブリブリブリブリ」
ああいつものだ。
二人は安心した。
そして食べる 食べる また食べる
出しては食べる
帰りの車の中、二人は食い過ぎて
動けなくなっていた
しかし表情は妙に清々しい
帰りの車の中、冬馬君は少し寂しくなった なぜなら
「明後日の今頃みんなもうこっちに居ないんじゃな」婆ちゃんの言葉だった。
そう明日がいよいよ 丸一日遊べる最後の日。
ついにやって来てしまった。
お店から婆ちゃん家に帰る
夜道の景色を車から眺める冬馬君の心は
旅の途中に何度も出掛けて、婆ちゃん家に帰る 車の中の気分とは違っていた。
頭の中では、学校が始まってしまう
みんなとの別れも近い。
夢の時が終わり現実に戻された気分
なんだかとても切ない気持ちだった。
冬馬君は黙って車から夜道を眺めていた じっと景色を見ていた。
「ふうーっ」そして、ゆっくりと息をはいた
またみんなで、このメンバーでこんな時を過ごせるかな?
それは誰にも分からない。
最初で最後かもしれないしまた来れるかもしれない。
いつになるのだろう?
たくさんの旅行の思い出を思い出し
この家族で過ごした日々を思ってそんなことを考えたら、一粒だけ涙がこぼれた。
それを誰にも見られないようにすぐにふいた。
旅行と言っても、過ごしたのはごくごく普通の日常のような日々でもあった。
それがこんなにも愛おしく、また大切なものであることを冬馬君は実感していた。
今振り返るとすべての瞬間はたった一度の大切な瞬間だったのだ。
毎日のように話した、布団の上での会話
同じ様なことの繰り返しの日々
今じゃすべての時が恋しい宝物だった。
この旅のすべての時が愛おしかった
また いつか みんなで 過ごせるよね
その時はもちろんまた、きみ子も誘おう。
多網ときみ子 二人は今年、小学校を卒業する もう中学生になっちゃうんだ。
大人になったら、もうあんまり泊まりに来なくなるかな、きみ子だって大人になったら、もう旅行にだって来ないかも そんな事を考えたら、余計に今回皆で過ごした 旅が貴重に思えた。
きっと帰りの車の中は冬馬君だけじゃなくみんな、それぞれが色んな想いだったのかも知れない。
それぞれの想い
帰りの車の中は静かだった
ただひとつ言えるのは
この旅の思い出はずーっと心に残るだろう、きっと大人になっても 老人になった時でも ふとした時に 楽しかったなぁ って 思い出すだろう。
心にまたひとつ大切なお土産ができたそんな気持ちだった。
車は婆ちゃん家に走る
明後日の朝はいよいよお別れの時
つづく




