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冬馬君の冬休み   作者: だかずお
3/35

婆ちゃん




『婆ちゃん』




「お母さんどうしたの?」



「わしゃ、クリスマスちゅうもんを祝いに来たんじゃ」



「言ってくれればいいのにお母さん、それにクリスマスは昨日よ」



おばあちゃんは何も言わず家にあがっていった。



驚いたのは隆である、目の前にいきなり正子のお母さんが立っていたのだから。



「えっ!?」



物言わずバアは立っていた


「おっ、お母さん久しぶりです」


「久しぶりじゃあのう」


バアちゃんは腕を組んで立っていた、凄い迫力である。


隆はあまりの気迫にたじろぎ

「どっどうも茶でもどうですか?」


「んっ、貰おう」



「わしゃの孫達は何処じゃ?」



「二階です」



バアちゃんは即座に言った

「呼んで」



起こされ、下に降りて来た子供達はビックリだった「バアちゃん!!」


「んまーっ」


それは大感激おばあちゃんの表情。

ふっくらした、しわくちゃの頬っぺたが更に膨らんだ プクーッ。

毎回冬馬君は思うのだが、あれにノリを巻いたらさぞかし良い餅になるだろうなと、今回も思っていた。

そうバアちゃんは嬉しい時。

頬っぺは膨れ上がり、餅のようになるのであった。


「やっぱり可愛いじゃのう」


バアちゃんの餅は再び膨れ上がる


「わしゃしばらくここで過ごす」



えっ?正子は驚いたが、一番衝撃的だったのは、隆であった。

心の中では、せっかくの正月休みがくつろげない、そんなぁという気分である。



バアちゃんはサイフを出し

「これバアちゃんから孫達におこづかい」


「すみません」隆はつぶやいた


バアちゃんはみんなに千円ずつくれ、子供達は、はしゃいでいた。


「さて、バアちゃんは風呂にでも浸かってまずくつろぐかいのう」


「一緒に入るかい?」


誰一人返事はしなかった



「お母さん、お風呂沸いてないよ」と正子


「シャワーでええんじゃ」


「これから沸かすから待っててください」と隆


大人達は何やら忙しそうだ。


冬馬君達は部屋に戻り


「さあ布団に潜れー」


再びあったかい布団に入って二度寝が出来る、やはり休みは最高であった。


「あーあったかい、また布団に入れるって最高だ」大喜は笑って言った


「しかもバアちゃん来るとは予想外だったね」


「これはどんな冬休みになるやら楽しみだ」冬馬君はワクワク気分で盛り上がっていた。


毎度のことだが休みの始まったばかりの気分はなんとも言えない素晴らしいものである。(この小説中100回は繰り返されるであろうフレーズである)

昨日の夜のみんなでやったクリスマスパーティーも楽しかった、冬馬君はもう思い出に浸ったりもしている。



横で多網は鼻くそをほじっていた



「いやー冬休み初日の朝、みんなで布団にくるまり語る、最高ですな」冬馬君は上機嫌だ


「うん、最高」横で大喜も多網も嬉し笑顔で微笑んでいる


すると、冬馬君は急にトイレに行きたくなり、下に降りて行く


「うー寒い 寒い」


下ではバアちゃんがもう風呂に入ってるらしく、なかから鼻歌がきこえる


「こんやもーよぎりよありがと~う」


バアちゃんも楽しそう

昨日のクリスマスパーティから続き今日も冬馬君家は賑やかだった。


二階に戻り三人は誰が一番早く眠れるかと言って勝負しては、遊んでいる(なんちゅー遊びだ)


目をつむった冬馬君はあまり眠くなかったが、こうして布団の上でくつろぎながら遊ぶのが何とも楽しかった。


下では隆はせっかくの休み、それに昨日の夜はプレゼントの件であまり眠れなかったので自分の布団にくるまり眠りたかったが、正子の母の手前、気にして出来ずにいた


仕方なくコタツで寝転びながらテレビを観ている


しばらくしてバアちゃんは風呂からあがってきた


「ぷー良い湯じゃった」


コタツに正子も加わり大人達はテレビを観てくつろぎタイム


「お母さん、そう言えば父さんはここ来てること知ってるの?」


「知らん、朝起きていきなり電車に飛び乗って来たからじゃ」


やっぱり、この母ワカノさんはこういうことがたたよくあった


正子は実家に電話をかけ、バアちゃんが無事でいることを伝えた。



二階ではざわめきが起こっていた

子供達が今更ながらサンタさんからのプレゼントを発見したからである



子供達は大喜び



「あのはしゃぎ様じゃ、しばらく降りてこないわね」と正子がつぶやいた


バアちゃんはミカンをパクパク美味そうに食べている


隆の眠気は限界だった


その時 プルルルルル


電話が


正子が電話にでる


「冬馬 清香ちゃんからよ」


冬馬君はオモチャを眺めて遊んでいたけれど、その名を聞き目の色が変わった。「えっ?」


横にいた大喜もついに来たかと緊張と喜びの表情を浮かべる


多網も細い目を光らせ見ている


すさかず、冬馬君はものすごいスピードで下に駆け下りて行った。


「誰じゃ?」


「冬馬の気になってる子なんですよ」


それを聞くや否や、ヒョイとバアさんはコタツから出て廊下の電話機を覗き始めた


「もしもし、うん うん 分かった はい、うん 了解 うん じゃあまた」



声からも、いかにお熱なのかが伝わった。

電話中の冬馬君はクネクネしてニタニタしていた。



電話をきると、バアちゃんがいきなり


「これか?」と何故か中指を立てていた。


普通そのジェスチャーは小指だったはずだが・・・完全に間違えている。

きっとテレビかなんかを観て覚えたんだろう


冬馬君は「そんなじゃないよ」と照れて二階にあがっていった



「ファファファ青春じゃのう」

中指を立てながらバアさんはつぶやいていた。


コタツに戻ったバアさんの一言をきいて隆、正子は唖然としてしまった。


「わしもモッペン恋しよっかな」頬っぺは餅になっていた


二階にあがった冬馬君は大喜に詳細を伝える、三日後ついに清香とアミと出かけるよ


「やったあ」大喜と冬馬君は部屋の中、オモチャも忘れ飛びはねていた、異性の力は絶大である。


それを見てる多網も何故か嬉しくなり飛び跳ねている


「気合いだ」とぽつり多網は言った


多網も二人の恋の行方が気になるようだ


何やら慌ただしくなってきた冬休み、まだまだ始まったばかりだ。



婆ちゃんも泊まりに来て、冬馬家は今日も賑やかである





つづく

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