夜中のリラックスタイムwith 爺婆
〜 夜中のリラックスタイムwith 爺婆 〜
スキー場からの帰り道はぐっすり
途中目を開けるとみんなも静かよっぽど疲れたのか。
隆の運転する車は暗くなった夜道を走っている。
あー車の中で寝る瞬間もたまらない。
辺りの景色は全然知らないところだ。
またすぐに冬馬君は目を閉じた。
「起きなさい」
正子の声で目を覚ました時は婆ちゃん家だった。
「もう着いたのか」
車の中の極楽睡眠ツアーは終わった。
家では婆ちゃんが「お風呂沸かしたから入りんしゃい」
「はーい」
皆は順に風呂場に直行した。
「あーさっぱりした」
運動した後もあり、お腹ぺこちゃん。
みんなは婆ちゃんの作ってくれた夕食を勢いよく食べた。
肉じゃがに ひじき 焼き魚 に味噌汁
和食は良い。
「おかわり」
みんなすごい食欲だ。
「ごちそうさまでした」
みんなの美味しそうに食べる姿をみてる婆ちゃん爺ちゃんも嬉しそうだった。
食事を終えると子供達はいつものように自分達の畳の部屋に走っていった
「それー」婆ちゃん家に来てからの日課 夜の布団の語り合い
今は時刻は21時をまわったところ。
布団に飛び乗り
「あー今日のスキー楽しかったね」
と冬馬君
多網はスキーするジェスチャーをして
ニッコリ笑ってる。
明日は四日、みんな少しずつ この楽しい旅行の終わりが近づいてることを知っていた。
「あー居れても後二日ってところかなぁ」大喜はポツリつぶやいた。
「うん」
「でもまだ二日もある、残り満喫しよう」と大喜はニッコリ笑った。
「おー」
とポチッ 多網は借りた心霊DVDを突然つけた 「ひゃあっ」みんなは布団に一斉に飛び込んで入った。
すかさず、冬馬君は電気を消した。
これ、これ。
懲りずにみんな好きである。
そんな時部屋の障子が開いた
「何しとるんじゃ?」婆ちゃんであった。
「怖いの観てるの」
「ほお」婆ちゃんも興味があるのか
座って一緒にみはじめた。
「心臓マヒ起こさないでよ」
冬馬君は笑って言った
「怖くないジョイ こんなもの」
テレビは流れる「その時友人Sさんの映した画像ごらんいただきたい」
「ひょえ~~」と言う叫び声とともに
何かがテレビに当たった
ビューン 子供達はイキナリ飛びでて
てきたそれに驚いた。
そう婆さんの入れ歯である
何かがひっかかり入れ歯はテレビに見事にくっついていた、結構異様な光景である テレビにひっつく入れ歯。
これを投稿したら 大賞がもらえるかもしれない。
「すまん、すまん」
入れ歯を何事もなかったようにテレビから取り外し、口にカチャカチャと
装着した、ニコッ 手馴れている。
再び画面は変わり
「それがこの映像である」
「ひぃぃぃぃっ」みんなは驚いた
これは怖い。
「あっ!!」
冬馬君は見た また入れ歯が飛び出しなにかに噛み付いていた。
なんとっ今度の入れ歯の餌食になったのは きみ子の頭である
目を細め痛がるきみ子
あっあれは痛いのか?
「しっ」きみ子は舌打ちした。
恐るべし婆さんの飛び道具。
また何事もなかったように、カチャリ
口に装着した。 ニカッ
そして婆ちゃんは入れ歯を叩き一言つぶやいた「こらっ」
あんただよ・・・
まだ映像は流れる
何故かきみ子は頭をガードしながら観てる
多網はなぜか急所をガードしてる
いまやおそれてるのは怖い映像ではなく、どこに飛び出して行くか分からない、婆さんの入れ歯であった。
テレビでは「これは孫達が遊びに来た時映された奇妙な映像である」
「一人の孫と思わしき人物の頭の後ろに
歯だけがくっきり映っていた」
この映像は誰も驚かなかった。
ああ、きっと婆さんの入れ歯が飛んで映されたんだなと誰もが、思ったくらいで終わった
。
しかし婆さんは違った
「ヒョエー」
その瞬間誰もが身構えた!!
噛み付かれてたまるか
出る でる でるぞー
婆さんの口元をみると歯はすでに発射された後
「あっ!!」
きみ子の背中の方にすでに向かって飛び出して行る
きみ子は叫んだ
「きえぇええーいっ」
そして
「ブリブリブリ」オナラの風圧で歯を吹き飛ばした
おっ!スキーの時と違いすごい風圧
歯はそのまま婆さんの口に戻って行った カチャ
しかしテレビでは映像がリピートされ再び流れた
「キョエーッ」
勢いよく歯はまたも飛び出した
多網の方角
ニヤリ多網は笑った。
「あまい」
「ブリブリブリ」
これまた凄まじい風圧!!
「あっ!」
入れ歯は風圧をかわし
多網のケツをひと噛み
「がぶり」
んなばかな!!
多網は悔しがっていた
婆ちゃんは何事もなく入れ歯を外し
装着して、満足気な笑みを浮かべ帰っていった。
なんなんだったのか?
しかも満足なのか?
テレビからは「それがこの映像である」
ひいぃぃぃぃっ 本日一番怖い映像
みんなは悲鳴をあげ布団にもぐった
。 ブルブルブル
その後はみんなで布団のなか語り合っていた
「みんなは普段悩みとかあるの?」
冬馬君の質問だった。
「そりゃあるよ」ときみ子
「まあね」と大喜
頷く多網
「あるなぁ」と爺ちゃん
えーってあんたいつのまに?
爺ちゃんは隆と酒を飲んでいたのであろう
少し酔っていた。
「きみ子の悩みは?」
「うーん、いっぱい あるけど 友達関係とか学校のことかなぁ」
あーきみ子にもそんなものがあったのかとちょっと安心した。
「僕も」と大喜
「鼻くそが小さい時」とポツリ多網
「冬馬は?」大喜がきいた
「うーん、もちろん学校の友達関係とか自分の性格とか、いろいろかな」
「性格って?」ときみ子
「ここでは自分らしく話せるけど学校とかだと縮こまって何にも言えないし
喋れなくなっちゃうんだ」
「それの何がいけないんじゃ」
と爺ちゃん
「えっ?いけなくはないけど 」
何やら爺ちゃんを含めた、夜中の語り合い 初のパターンだ。
「爺ちゃんも若い時いろいろ悩みあったの?」
「あはは、そりゃもちろん 沢山悩んだ、そして今だってある」
「あーずっと悩むのかぁ」
「でもなぁ、今まで悩んでた事がある時どうでも良くなる事がある、そしてハッと悩みから気がつく沢山の大事な事もある
悩みはそう悪いってだけでもないんじゃ
今は分からんかも知れんけどいつかわかる時がくると爺ちゃんは思う
それに一番大切な事を忘れちゃいかん」
「大切なこと?」
子供達は目を丸くした
「そうじゃ、悩んだり 泣いたり 笑ったり 不安になったり 怒ったり 恋したり 喜んだり
生きてるから出来るんじゃよ その一番大切な事を忘れちゃいかんって事じゃ」
「命があって生きてるんじゃ」
「そうだね、分かった爺ちゃん」
「確かに、こうして夜中に語りあったり、旅行に来たり みんなと話たり最高だもんね」
子供達はニッコリ頷いた。
「悩みもあるけど、大丈夫、なんとかなる」
そんな気分になった。
爺ちゃんは急に立ち上がり
「爺ちゃんファイ 爺ちゃんファイ」
出た~っ
みんな立ち上がり
「冬馬ファイ 大喜ファイ 多網ファイ きみファイ」
またはじまっちゃったよー
「それに誰かに何か言われたり、されたりしても みんなの価値は何ひとつ変わらない
みんな最初から永遠になくならない素晴らしい価値を持ってるんじゃよ 」
決まった。
今日の爺さんは饒舌だった
「ファイ ファイ ファイ」
ファイ合唱は盛り上がる
「ファイ ファイ うるさい 寝なサーい
」正子の一喝
「ひぃーーーっ」みんなは布団にすぐさま入った
一番ビックリして飛び跳ねて部屋に戻っていった爺ちゃんだった。
「あはは」子供達はそれを見て笑った
旅行もいよいよ 終盤
お別れの日は近づいていた
でも目一杯 今を楽しむ
布団の中の会話はいつまでも
笑い声と共に夜の星空の下
奏でられていた
それを演出するかの様に鳴り響く
外の虫達の鳴き声が耳に残った
空ではお月様がニッコリ笑って
優しく見つめている
こうして賑やかな夜は更けていった
つづく




