大晦日の朝
〜大晦日の朝 〜
みんなは連日連夜夜更かしをしてるせいか、朝九時を過ぎた時刻だったが、
まだ眠く布団の上でゴロゴロしていた。
雨戸もしまってるし、部屋の中はまだ暗い 夜みたいだ。
雨戸の隙間から少し外の光がもれていることが朝なんだと冬馬君に思わせた。
「昨日の音 怖かったね」と大喜
「うん、ほんとに不思議だった」と
冬馬君
「動物かな?」ときみ子
「お化け」ポツリ多網
ゾゾゾーッ。
みなは、やはり昨日の音の謎は分からないままだ。
不思議な出来事だった。
「ああ布団の上でゴロゴロ過ごすデーなんてのも良いね」冬馬君は笑った。
「確かにまだ寝れる」ときみ子
多網もアクビをしている。
のほほんとした朝。
今日は冷える、暖かい布団の中、ぬくぬくしてるのも心地良い。
だんだん、起きて目が覚めて目にする
この部屋の景色も見慣れて来た感じもする。
冬馬君は思った、ああいつまでも学校が始まらないでみんなでこう過ごせたら、どんなに楽しいことか。
帰る日の事を考えたら、急に胸が切なくなった、まだまだ、いれるんだ考えるのよそうっと、天井を見つめた。
やはり、自分の部屋とは違う景色。
ああ、僕らは婆ちゃん家に旅行に来てるんだ。
そんな時、大喜が言った
「ああー学校始まったらやだなぁ」
ああ、大喜もそうなんだ、共感出来る人がいるのが何だか嬉しかった。
冬馬君も学校を思い出し、少し溜息をついた。
「多網やきみ子はどう?」
「わたしは学校嫌いじゃないけど、みんなとここにいたい」ときみ子
多網も頷いた。
そう言えば、今日で今年終わりだね。
みんなは朝から布団の上で語り合いをして何だか楽しかった。
「今日は夜中じゃなくて、朝から語り合いだね」大喜は笑った
みんなも、いつもとは逆さまだと笑った。
「今年どうだった?」きみ子がたずねた。
冬馬君はたくさんの思い出を思い返した、ああ あの夏の日々
やはり今年一番の思い出は清香との
出会いかなと心の中で思っては、
気持ちがほんわかしていた。
それを見透かすように大喜が
「冬馬は清香との出会い想像したんじゃない?」
「あはっ、ばれた」顔は真っ赤になった。
「清香?冬馬君のガールフレンド?」ときみ子
冬馬君はその言葉が嬉しかった半面、
恥ずかしく顔から湯気が発生したようだった プシューッ
「ちっ、ちがうよそんなじゃないよ」
きみ子は「ははぁー恋してるなぁ?」
冬馬君はあまりの恥ずかしさに話をふった 「大喜は?」
今度は大喜がみるみるうちに赤くなった、心の中はアミとの出会いを考えたからだ。
すかさず冬馬君はそれをみて
「あーっ、アミを考えたな」
ポッポー 大喜は沸騰した。
「二人とも、分かりやすい、それは大喜の女かい?」そこにはだんだんテンションが上がり口調がくだけた
kimikoがいた。
顔を真っ赤にした大喜は
「きっきみこは?」
きみ子はハッとした
そして、二人とは逆に顔がドンドン黒ずんで来た 一体何が?
何故ならきみ子の頭にはたくさんの
ウンコ事件が一番最初に思い浮かんだからだ、公園で踏んだことや、ここに来るまでの車の中。
気分を悪くした、きみ子は即 話をふった
「多網は?」
多網はしばらくポカンとした顔をしたが結局、何ひとつ出てこなかった。
口を開けポカンとしてる顔は見事という表情だった。
「こーなったら、今夜の夜中の語り合いは、恋バナや」きみ子は雄叫びをあげるように発した ゴリラである。
しかし、みんなで話すならと冬馬君と
大喜は何だか恋の話しが出来るのにワクワクした。
そしてきみ子が「私は女、女のことは私にききなさい」
その言葉を聴いた直後、みなは思った
ゴリラの事なら、いの一番にあなたに聞くんだがと。
「夜中楽しみだ」と大喜
冬馬君は心の中で思った、
そう言えば多網はきみ子のことが好きって言ってたけど一体どう、きみ子は多網を思ってるんだろう?
こりゃ、夜中が楽しみだ。
しかし、多網よ この女性の何処に惚れたんだ?と冬馬君は考えたりもした。
個性的なところかなぁ?
意外にきみ子優しいからなぁ。
そんな時、婆ちゃんの声が
「みんな、お雑煮のじゅんびができはふっ」
みんなが思った。
入れ歯落ちたなと。
リビングに行き、みんなで雑煮を食べた、「美味しい」みんなご満悦だ。
ふと、婆ちゃんを見ると見事、餅と一体化した入れ歯がテーブルに落ちていた。
餅に入れ歯がもってかれたんだろう。
餅に歯が食い込んでポツンと。
一見芸術的な作品にすら見えた。
タイトルはそうだな。
「正月のお年玉」と言ったところだろう。
みんなは餅を食べて、今日は家でノンビリしている、あーみんなで過ごすこういう旅先の日もまた良かった。
暫くして
きみ子は何故かクンクン犬のように畳の匂いをかいでいる。
多網はゴリラの動きを練習しているよう、身体を揺さぶらせ鼻の下を伸ばして遊んでる。
やっぱ、変わってるなと今更のように思った 正子であった。
「今日はみんなで、カウントダウンしようよ」と冬馬君
「今日は良いわよ」と正子の許しが出た!!
それを聞き、子供達は「ひやっほー」
飛び跳ねた。
今から大人公認の中、一日中おきていられる日を喜んだ。
まあ、毎夜やっていることだったのだが、何だか今日は特別な気がした。
「じゃあ今日の夜はみんなでここで大晦日大宴会だ」と爺ちゃん。
こりゃあ、なんだか楽しくなって来たぞ。
隆もまた飲めると言わんばかりに嬉しそうな顔をしている
さっそく、正子と婆ちゃんは料理の支度にとりかかり始めた。
爺ちゃんが「近くに駄菓子屋あるけど行くか?」
「行くーっ」
みんなは歩いて駄菓子屋に向かった。
雪はまだ積もっていた、爺ちゃん家の庭には、まだかまくらも、雪だるまも
残っている。
「あの雪だるま溶けないで残ってて欲しいね」冬馬君が言った
「うん確かに」子供達はみんな頷いた。
「みんなで作った、思い出の雪だるまとかまくらだからなぁ」爺ちゃんは空を見てつぶやいた。
そして心の中でふと、みんなが帰ってしまった後、あの雪だるまとかをみたら、何とも心寂しくなりそうだな、などと思ったりした。
歩いて20分くらいの所に駄菓子屋はあった、狭い店だったので爺ちゃんは外にいるから、
これで好きなの買ってきなさいと
千円を渡してくれた。
店の中には二人のおじさんがいた。
横に隣あって座って二人で店番をやっているようだ。
みんなそれぞれ好きなお菓子を選び買った、買い物終えると一人のおじさんが、今サービスでこの人形あげてるんだ好きなの選びなさいとニッコリおじさんが人形をだした。
みんなはこれ、とすぐに選んだ。
だがこういう時、あまりすぐに決められない冬馬君は悩んでいた、あーこれかな、んー?
すると、もう一人のおじさんが
「君は男のくせにハッキリしないなぁ
ダメだよそんなじゃ、もっとパッと決められないのかよ」
冬馬君はドキッとした。
すると、もう一人のおじさんが
「良いんだよ、ゆっくり決めれば、そんな慌てることないよ」
何げない、おじさんの言葉だったが、
自分のハッキリしない性格を批判されたようで、胸に何かを撃たれたような
衝撃が走った。
店から出てみんなは、「一人のじじい、口うるさい、やな感じのひとだったね」
冬馬君は何ともない顔をしていたが、
少し凹んでいた。
店から出て来て、みんなでまた家に向かって歩いてる時、爺ちゃんは冬馬君がなんとなく元気がないことに気づいた、爺ちゃんはさりげなく小さな声で
多網に店で何かあったのか?と聞いた
。
多網はこんなことがあったと話した。
爺ちゃんは「なるほど」と黙って歩いていた。
みんなは家につき
「ただいまー」
また自分たちの部屋に行き
くつろいでいた。
冬馬君も話ていたが、さっき言われた事が気になり、考えたりもしていた。
控えめでハッキリしない自分は駄目なんだと、思ってはため息をついた。
そんな様子に気づいたのは意外にも多網だった
「気にしてる?」
冬馬君はビックリしたが、分からないふりをした「なっ、何を?」
「さっき言われたこと?」と多網
そんな時、爺ちゃんは何かさりげなく話そうと考えていたのか、子供達の部屋に入ろうとしていたが、そんな会話をきいて黙ってばれないよう部屋の外にたって話をきいていた。
「みんな、いろんな性格ある」
「それでいい」
多網の一言だった。
きみ子も、さっき言われたことで傷ついた冬馬君が分かり「冬馬の良いところでもあると思うよ」
「そっ、そうかな?」
大喜も「そうだよ、言う奴には勝手に言わせておけば、言いんだよ」
「みんなありがとう」
そうだ、僕は僕、人にどう言われても自分だけは自分の味方でいよう。
自分が自分を嫌ったって何も始まらないや。
冬馬君はいつまでも、悩むのをやめた
。
いいんだ、ありのままの自分
「さあ遊ぼう、今日は大晦日だ」
「おーっ!!」
元気を取り戻した、冬馬君の声を聴いて爺ちゃんも一安心。
そのまま黙って部屋に入らず去っていった。
時刻は16時過ぎ
今夜冬馬家がすさまじい宴会、上がりっぷりを見せる事をまだだれも知る由も無かった。
どんな、大晦日の夜になることやら
つづく




