車内の会話
〜 車内の会話 〜
車は快調に進んでいる
「後、ニ時間かからないって所くらいかな」
隆が言った。
もう空は夕暮れ時
渋滞で思った以上に時間がかかっていた。
「大体着く頃は、夜じゃな」
車内で子供達のテンションは一向に下がる気配はなく、ウンチを噴出した
きみ子のテンションも完全復活している。
「こういう旅行の向かってる時の車の中ってやっぱ最高だね」
と冬馬君
「最高あがっちゃう!」
きみ子はニンマリ
もちろん大喜も多網も。
高速からの景色
外はいつもとは違い見たこともない
風景
こんなに沢山、家があるんだ
こんなにたくさんの人が居るんだ
あのひとつ、ひとつの家に家族が住み
暮らしている。
それぞれの家庭と暮らし
中には自分たちの様に親戚が泊まりに来て過ごしてる家庭もあるんだろうか
?
景色を見ながら冬馬君はそんなことを考えていた。
「日本って広いなぁ」
大喜は景色を見てつぶやいた
「婆ちゃんもこの歳になっても知らない行ったことない場所ばかりじゃ」
「私いろんな所行ってみたい」
きみ子はみんなの会話を聴いてはそんな感想を持った。
「そうね、生きてる間に色々、見ときたいなぁ」と正子
「行かなきゃ損 やらなきゃ損」
ハナクソを手につけ多網は飛ばして言った 「あっ!!」
ハナクソは見事にきみ子の背中にくっついている。
きみ子のトレーナーに描かれているライオンの鼻に完璧ジャストミート
「くくっ」 多網は細い目を更に細め笑った。 「くふふっ」
「そうだな、ついついやりたい事とかそのうち、何て言ってるけどやらないで、きた事とかやってないこと多かったな」隆は運転しながら自分を振り返り語った。
何だか今は子供達でいつもやる夜中の語り合いに大人が混ざってる様で面白かった。
冬馬君と大喜はそんなことを思い顔を見合わせては微笑んだ。
「私夢があったの」きみ子はいつになく真剣
「何?」と多網も初耳だったらしくシリアスな顔でつぶやいた。
大喜は小声で冬馬君に「何だか面白くなってきたね」
「うんうん、車の中でこんな会話ワクワクするね」
「しかもこれから婆ちゃん家にみんなで泊まれる」と大喜
「くうぅぅっ 最高」二人は笑った。
「実は私 演劇に出たかった」
正子が「何でやらないの?」
きみ子は下を向いた
「私才能ないから」
「それに、前に友達の前でやってみせたら、ヘタクソ そんなの出来っこないからやめろ、やるだけ無駄って言われたから」
婆ちゃんはきみ子の顔をじっとみた
「そりゃあ、きみちゃんの夢なんじゃろ? だったらそんな理由であきらめちゃいかん、最初から何もやりもせずにあきらめてる
人間にきみちゃんの夢を笑う資格なんかありゃあせん」
「ばっ婆ちゃん」
「それにきみちゃん、夢は見る為にあるんじゃなくて叶えるためにあるって誰かが言ってたよ」と正子
冬馬君が「そうだよ、きみ子なら出来るよ」
「才能なんてどうだっていいじゃないか」と隆
「そうだよ、やるか、やらないかだよ
」と大喜
多網 ハナクソ 食べて 頷く。
「うまい」
「きみちゃんがその夢ほったらかしにしたら、誰がその夢代わりに見るんじゃ?
その夢が可哀想じゃ、叶わなくたっていい。でも挑戦するのと最初から何もしないであきらめとるのじゃ
天と地程の差があるんじゃないか?
いつだって夢はそばで待ってるんじゃ
」
ぶおおぉぉぉ~
きみ子は泣き吠えた
「冬馬家最高じゃーあつすぎるしゃー
」
文字通りきみ子は窓を全開に開けた
何度も言うが、真冬である。
「血は繋がってないけど、お婆さんの事 婆ちゃんと呼んでい言い?」
一瞬お婆さんと言う言葉に鼻がヒクッと反応して動いたように感じたが
婆ちゃんは言った。
「血なんて繋がってなくても、子供はみんな婆ちゃんの子供じゃ」
きみ子は婆ちゃんの懐のおおきさに胸を打たれた、「私の」という境界線がなかったからだ。
年の功であろうか みんな自分の子・・
発言は素晴らしかったのだが
見ると婆ちゃんの上半身は既にかがんでおり、落ちた入れ歯を拾っていた。
「きみ子また、夢追う」
きみ子は両手を交互に突き出し叫んだ
「きみファイ きみファイ きみファイ
きみファイファイファイ」
正子は一瞬ふと思った
こんな、図太い子がよく夢をあきらめたなと、ちょっと可笑しくなり笑う正子であった。
「きみファい きみファイ」
子供達もマネしてやっている
「わしゃも」
「きみファイ きみファ ああっ」
ポロッ 入れ歯はまた飛び降りた。
だから、あんたは。
「アッハッハッハ」
車内は大盛り上がりだ。
もう外は真っ暗
子供達は眠っている 多網以外は。
多網は何をしてたのかと言うと、とったハナクソを窓にひっつけて
ほくそ笑んでいた 「ヒャハッ」
婆ちゃんは遠目でそれを見て何故か感心している。
「あっ出口だ」隆は運転しながらつぶやいた。
「やっと着いたわね」
途中スーパーを見つけ食材を買い
婆ちゃん家に着いた頃には20時をまわっていた。
「ここ、ここ確かに我が家じゃ」
ピンポン
玄関が開き 中から爺ちゃんが出てきた。何故かやつれている。
「お父さん痩せた?どうしたの?」
正子は父の顔を見て驚いた。
「婆さん急に出てくから、ご飯何にもなくて、カップ麺しか食べてない」
「ええーっ、じゃ何かつくるわ」
「爺ちゃん」久しぶりの爺ちゃんに子供達は喜んだ。
爺ちゃんも孫たちの姿を見て嬉しそう
「やっと来たか待ちわびたぞ」
やっとのことで ついに到着。
ここから、みんなで婆ちゃん家滞在が始まる、みんなウキウキしていた。
どんな生活になることやら
つづく




