婚約者様とデート
宇水の妖怪がデートしろっていってきた。
普通の茶飲みならともかく嫌だよ~!
ソートンシネマはそこそこ混んでいた。
みんなじゃないけどデートの人いるんだよね。
「何を見る?」
婚約者様は今日も麗しかった。
長い金髪をいつもどおりにミツアミ(竜騎士は髪で防寒するので駄々長い。)
碧眼もきらきら...ギラギラだ、肩抱く腕緩めてよ、お願い、痛いよ。
まあ、ジャケットにシャツにデニム?で決めてるようだ。
「2000年を越える后妃とか、光ヶ丘の結女とかがロマンチックでお勧めだそうだ。」
ハロが言った。
ハロとロマンチック?似合わない...。
アクション映画は...私が寝そうだな。
「ワンコ大騒ぎ~名犬牧場は危機一髪2~にしようか?」
この牧歌的な映画ならヤバイことになんないよね。
「...別に2000年を越える后妃でも大丈夫だぞ。」
ハロが言った。
「いいんだよ、ワンコ大好きだし。」
変な恋愛映画みさせて技増やされてもね。
膝上だっこきついよ。
割り勘で映画をみた。
ハロはなんか言いたげだったけど押しきった。
カップルシートも回避したし。
「弾がすごかった。」
ハロが微笑んだ。
あれにして正解だね。
ハロ寝てなかったし。
「うん、ラブの弾ちゃん演技力あったね。」
私は微笑んだ。
「...ソートンもよっていこうか。」
ハロが手をつないだ。
とうとつなんだよね。
「ハロ、痛いよ。」
前よりましだけど、力強いし。
「すまん。」
ハロは言った。
ソートンにくるといつもお茶専門店『はっぱ、葉』にいく。
お茶飲みにはよく一緒に前から言ってた。
「今日の衣装は可愛いな。」
ハロが慣れないことを言った。
言うに事欠いて衣装?
私は普通の花柄のワンピースにレギンスだけどね。
今日のお茶はウパだ。
お菓子はスコーンだ。
ハロは酒も甘味もイケるくちなのでパクパク食べてる。
「そういやー、本国の方はどうなっているのさ?」
私は聞いた。
「まあ、モフィル女王陛下が疑ってるらしいが。」
ハロが言った。
「そうだよね。」
私は言った。
突然、婚約者なんているって言われても疑うよね。
「まあ、本当の事なんだからな...師匠も証言すると言ってたし。」
ハロが紅茶を飲みながら言った。
「モフィル女王陛下って今年即位した、新女王だよね、なんで突然ハロが夫候補に上がったのかな?」
私は言った。
「...そうだな...セーライト家は別に名家だが...最有力候補にあがるほどではないのにな。」
ハロが考え込んだ。
今ごろ思い当たったんかい。
「あまり、探ったりは得意ではないんだが...。」
ハロが言った。
「さすがに、ラシュルドにつてないからね。」
私の方が情報収集は得意だ。
宇水の妖怪の真の孫だもん。
お父さんが宇水の妖怪の息子なんだ。
なのに、宇水の妖怪さ、弟子のハロばっかりひいきしてさ。
ま、槍習わなかったのが祟ってるんだよね。
「...年末から年明けにラシュルドに帰る、一緒に行ってくれ。」
ハロが真剣に言った。
「...いや。」
私は言った。
年末年始は寝正月予定だよ。
「もし、こなかったら、押し掛ける。」
ハロが言った。
そうしたら、宇水の妖怪は
ハロの味方だよね。
「わかったよ。」
ハア、私の寝正月がぁー。
「悪いな。」
ハロがすまなそうにいった。
「本当だよ。」
全く、アホハロめ。
何とかしないと
私の楽しいのほほん人生が
ハロに汚染されるよ。
まあ、親友としてなら一番必要な人なんだけどさ。
婚約者になったとたんいらないってなにさ。
自分の気持ちがわかんないよ。