婚約者様は仕事中
千陽がついにオレの事を婚約者として宣言した。
さて、大分力加減も分かってきたしどうしてやろうか。
「ハル君、今日は水森地区担当だからね。」
高田主任が言った。
「狩野地区じゃなかったですか?」
オレは言った。
「実は、大夢君風邪ひいたらしくて休みなんだ…まあ、水森地区は水の中だしね、悪いね、狩野地区は今日は幸いあんまり荷物が無いようだし、私がいくから。」
高田主任が言った。
高田主任はふだん出ないから水森地区はきついらしい。
「分かりました…五穂見かけましたよ。」
旦那の看病せんでいいんか?
「大夢君は実家で面倒見て貰ってるらしい。」
高田主任が言った。
そうか…共働きだとやっぱり休めないか…。
千陽も仕事大好きらしいから
結婚したら共働きだな…。
結婚…なんて良い響きなんだ…。
今は結婚情報雑誌があるらしいからな。
帰りに買って帰ろう。
『ハル、ボーっとしてると落ちるわよ。』
愛竜キャロが言った。
「そんなにボーっとしていたか?」
オレは言った。
『というより、不気味ににやついてたわよ。』
キャロが気持ち悪そうに言った。
悪かったな、不気味で。
水森地区は大きな湖の中にある。
水中対応符を額にはって準備した。
符は水色の光を放ちながらオレに吸い込まれていった。
「キャロ、あとはたのんだ。」
オレは言った。
『ええ、不気味に笑いながら配達しないでね。』
キャロは言った。
不気味な笑いってひとの事を色ものみたいに…。
水中対応符を貼っても水森地区は薄暗くひんやりしている。
まあ、水の中だしな。
「おはようございます。」
オレは言った。
営業所によったからだ。
「おはようございます…あれ?大夢さんじゃないんですか?」
かっぱ族の石井さんが言った。
「大夢さんは風邪で休みなのでオレが来ました。」
オレは言った。
「ありゃりゃ…大夢さん指定の便が有ったの
に…。」
石井さんが言った。
サービスの一環として配達員指名が出来るようになっている。
「誕生日プレゼントをお嬢さんに渡すから…大夢さんだめなら五穂さんが良かったな。」
石井さんが言った。
「延期は無理だろうか?」
オレは言った。
「うん、今日指定だよ。」
石井さんが言った。
「高田主任に連絡をとってみよう。」
オレは言った。
「そうですね。」
石井さんが言った。
「ドラ急の着ぐるみをきろとのことだ、あるか?」
オレは言った。
「あります!ドラ急か。」
石井さんが言った。
着ぐるみは空間術で誰でも着られる
ようになっている。
「動きづらいな。」
オレは呟いた。
「ドラ急はそんな事言いません。」
石井さんが言った。
心配でついてきたんだよな。
「ハッピーバースデー、プレゼントだよ!」
オレはやけで言った。
大夢さんがこれないことは、親御さん
にはいってある。
「……わーんこわいよー。」
出れきたマーマン族のちび嬢ちゃんは
泣きやがった。
「サザナ、ドラ急よ。」
お母さんらしい人がいってくれたけど
ちび嬢ちゃんは泣きとおして
ついにプレゼントは受け取れなかった。
そんなに不気味か?
「すみませんね、はい、判子。」
お母さんらしい人がそういって判子
を押してくれた。
物陰からちび嬢ちゃんが泣きながら覗いてる。
「ありがとうございました。」
オレは言ってから
ちび嬢ちゃんに手を振った。
あ…ふりかえした…可愛いなぁ。
千陽との子供はあんな女のこがいいな。
「なにぼーっとしてるんですか?ハロルドさん、着ぐるみ脱いで次お願いします。」
石井さんが言った。
そんなにオレはボーッとしてるか?
千陽との甘い結婚生活の想像は不気味か?
まあいい、今度、千陽と式場の
下見に行かないとな♪




