婚約者様を倒す方法?
ハロルド・セーライトを倒せば。
私、解放されるよね。
「宇水さん、何、ぶつぶつ言ってるの?」
ラージャ・ロームさんが言った。
私は空間管理師している。
空間管理会社『山利』に勤めてます。
ラージャさんは同じチームに所属している。
「ラージャさん、婚約者に婚約断る方法ってなんかありませんか?」
私は聞いた。
「ええ?無理ですよ。」
ラージャさんじゃなくて彩良・ルーアミーアさんが反応した。
そういえば、去年、婚約者に振り回されたって彼女がこの間言ってた。
「彩良ちゃんの旦那も押し強いからね。」
ラージャさんは言った。
「宇水さんは去年は別チームだし、知らないでしょうけど、結構大変そうだったよ。」
大村さんが言った。
元々、このチームは人員数が足りてなくて
彩良さんの入社方々異動があったんだ。
「そんなに嫌なら、彼氏紹介しようか?」
ラージャさんが言った。
「...婚約解消したら前みたいにできないよね。」
私は気がついた。
「まあ、そうだよね。」
ラージャさんは言った。
「もう少し様子をみます。」
私は言った。
「ああ、夢だと思いたいよ。」
家に帰る途中でハロルドにラチられた。
「…そうか。」
ハロはうれしそうに私を抱き寄せた。
公園のベンチなんぞでしたら恋人同士ですって公開してるもんじゃない。
「苦しい。」
やっぱり…苦しい。
「そうか?」
ハロは力加減を調整した。
「千陽、柔らかいな。」
完璧こいつのペースだよ。
「なんで、私と結婚しようと思ったの?」
私は聞いた。
「ああ、女王陛下に結婚を言われた時お前の顔が浮かんだ。」
ハロはほほ笑んだ。
「かってに浮かばせないでよ。」
ハロは美形な竜騎士なんだから私みたいな十人並みの女に求婚しない。
「かってに口がお前が婚約者だといっていた。」
ハロが言った。
なに?その自動反応?
ハロと私は愛称が同じ事からつながった友情だ(とこの間まで思っていた。)
つまり、『はる』が二人とも愛称として周囲から言われている。
五十嵐道場で
「はるー。」
と呼ばれてたのは当時私だけだった。
からふりむいたら…ハロだったんだよ。
呼ばれたの…そういう恥ずかしいよね。
でも、当時から金髪碧眼の美少年がいまや美青年に…。
本当ならウハウハなんだろうね。
全然違うけど。
「オレは昔から千陽の事が好きだった…こういう機会がないと指をくわえて見てることになるからな。」
ハロがいって口づけた。
…苦しいハロさん、たぶん息する方法あるだと思うよ。
…ああ、気が遠くなってきた。
「千陽、大丈夫か?」
ハロに抱きかかえられてた。
ああ、お姫様抱っこは大丈夫なんだ。
「大丈夫だよ…。」
ああ、勝てる気がしない。
でも、友情死守しつつ
婚約解消の方法考えるよ。
そんな都合の良い事なかったら…。
あきらめちゃだめだ。
私、がんばれ。