宴の前に
「それでは、設定は以上でよろしいですね?」
設定した一覧が表示される。
「オッケーです。」
「では、仕様が少し変更したので説明します。」
「あれ、仕様がかわったんだ。」
「まず、種族は今回もランダムに決めさせていただきます。ただ、PA内では人間以外の固有種族になりましたら、人間Verと固有種族Verでトライブスイッチが可能になります。」
「じゃぁ、人間のまま行動ができるようになるんだ。」
「はい。さらに、人間時の場合は種族を隠すことができます。見破るスキルもありますが、種族を隠して冒険することができます。」
「人間時、と固有種族時だと何かかわるの?」
「人間時だと、固有種族補正がかからないので、パラメータが少し下がってしまいますね。なので、純粋にそのプレイヤーのレベルや、ポイント配分によって強さが変わってきてしまいます。」
「なるほど。固有種族によってどのパラメータが上昇するの?」
「大まかに分けて、
神族 :すべてのパラメータ10%上昇
獣族 :攻撃力等の物理パラメータ10%上昇
エルフ族:魔法系パラメータ 10%上昇
ドワーフ族:鍛冶系パラメータ 10%上昇
人間族 :あるイベントによって他の種族になる可能性あり。
などが上がりますね。」
「人間族なんてできたんだ。でも、人間族なら、後々種族変えられて面白いかもだな。」
「今回あなたの種族して選ばれたのは“エルフ”です。」
「変わらないのかよ(笑)」
「それでは、以上となりますので、始まりの地へ転送します。」
光が目の前を包んでいく。目を開けると、依然と同様に目の前には広大な草原が広がり、心地の良い風が吹いていた。
「さて、大河を待つか。」
大河を待っている間、βテスト時にオペレーターの言っていた言葉を思いかいしていた。
『最後に、生き残りたければこのクローズドβテスト中にできる限り強くなってください。』
特に何も言われなかったけど、あれはなんだったんだろう。
5分ばかし待っていると大河が光と共に出現した。
「わりぃわりぃ。ちょっと時間かかっちまった。お(笑)お前も種族変わってないな(笑)」
「そうだな。ちょっと変わってみたかった気もするのに。」
スタート地点で大河としばらく話していると、9時30分を回っていた。周りに幾千もの光が出現しプレーヤーが表れた。あぁ。もう公開開始になったんだな。そう考えていると。
「アギト、そろそろクレアシオンいって宴までクエストこなさない?」
「悪い、妹も今日から始めるんだよ。それで、インしたら連絡するようにしてるんだ。もうちょっと待っててもいいか?」
「あぁ。このはちゃんも始めるんだったな。おっけー。ここで待つか?」
アギトはあごに指を当てて考えこむように、
「ふぅむ。そうだな。クレアシオンで待つか。いろいろ準備しながらの方が効率的だよな。」
「そうだな。じゃぁ、とりあえず行くか。」
クレアシオンへ足を進める。アギトは周りを見渡すと、たくさんのプレーヤーが目に入ってきた。一つ気になることがあった。これだけの人数がいて、人間族がいない。明らかに、人間族のレア度は低いはずなのに、ざっと周りに100人以上はいるが、一人もいない。と、考えているうちにクレアシオンの美しい街並みが目に入ってきた。
「アギト、ついたぜ。」
「あぁ。じゃぁとりあえず、クエストだけ受領しに行くか。」
「そうだな。あと、宴が行われる広場を下見にいこうぜ。」
「分かった」
とりあえず、クエストをもらいに行くために、クエストあっせん所のダンクに話しかけに行く。
「あの、クエストを受けたいのですが。」
「おう、いいぜぇ。今あるクエストは次の通りだ。選んでくんな。
・水の都オンディーヌへ繋がるクレアシアン街道に出没するフェンリルを10匹倒せ。
報酬5000クルス
・始まりの街クレアシオンの平和を守れ。周辺に出没する野犬を10匹倒せ。
報酬1000クルス
・・・etc
」
「とりあえずはβテストの時と同じだな。アギトどれやる?」
「うーん。とりあえず、持ってても1週間何もしないとクエスト未達成で消されちゃうしな。上の2つでいいんじゃね?」
「おっけい。そうだな。じゃぁ上の2つ受領と」
「まぁ、クエストこなすの宴の後にしようぜ。まずはこのはに操作方法を教えなきゃ。」
「お前は本当に・・・(笑)」
アギトはむっとした表情で、
「・・・何が言いたい?」
「べ~つに~」
ふんっと鼻を鳴らしていると、
♪♪♪。
「ん?電話きたみたいだ。このはからだ。もしもし?」
「あ、おにいちゃん?設定できたよ。今、転送されて、転送されたとこにいるんだけど・・・」
「そこから、マップを使って始まりの街クレアシオンってとこにこれるか?入口でまってるよ」
「う~ん。頑張ってみる。ついたら連絡するね。」
電話を切ると、
「だそうだ。入口までいくか。」
「アギト、このはちゃんと遊べるからうれしそうだな。」
「うるさい。」
たしかに、最近はこのはと遊ぶ機会へったよな。
入口で待っていると、ネコ耳を付けた見慣れた少女が近づいてきた。
「おにいちゃん、あ、大河さんこんにちは。」
「こんにちは、このはちゃん。」
「設定すごーい時間かかったよ~。大変だね。でも、その分この世界凄くきれいでびっくりしちゃった。今わくわくしてるよ~♪」
このはは嬉しそうに話しかけてくる。大河と顔を見合わせて、くすっと笑うと、
「よし、このは。今日は宴が始まるまで、操作方法を練習とかしよう。」
「なんかごめんね(汗)」
「気にすることないよ、このはちゃん。俺らはβテストで結構レベル上げてるしさ!」
「そうそう。じゃぁフィールド行くか。クレアシオン街道あたりでレベルあげよっか。じゃぁパーティに入れるからYesってとこ押してね。メニュー」
メニューウィンドウが表れる。パーティ編成を押して、このはを選択する。
「おっけー!Yes押したよ!」
「じゃぁ行くか。」
入口を出て、クレアシオン街道へ向かう。目の前だから数分歩いただけでついた。周りに狩りをしている人たちもいる。
「じゃぁ、とりあえずメニューって言ってみて。」
「メニュー」
ポンとメニューウィンドウが表れた。
「お~(感動)」
「じゃぁスキルってのがあると思うけど、まだないでしょ?レベルが上がるごとに、パラメータを上昇させるスキルポイント(SP)ってのがあるんだけど、それを振り分けることによって出現するスキルが変わってくるんだ。だから、とりあえずレベル上げないと強くなれないってことだね。」
「俺らもまだ再振り分けしてねーな。アギトいまする?」
「いや、ある程度このはのSPたまったらにしよう。この辺の敵ならスキルなくても大丈夫だろ。」
「そうだな。」
喋っていると、フェンリルが1体表れた。
「よし、このは行って来い。」
「え?え?え?え~~~!??!?」
「・・・わかりやすい反応するやつだな。じゃぁ俺が見本見せるから次このはやれよ。」
双剣を構えるとフェンリルに向かって一気に駆け出した。フェンリルも飛び掛かってきたが、双剣で1撃、2撃と決めていくと、ひと声鳴いて、倒れた。
ドロップアイテム:粗悪なポーション×1
「とまぁ、こんな感じだ。」
「んー。私の場合小太刀だからとりあえず切りまくればいいのかな?(汗)」
「そうだね(笑)このはちゃんは今スキルないから、とりあえず切りまくるかガードするか逃げるかぐらいかな?(笑)」
「うーん。多分大丈夫かな。」
と話しながら歩いていると、フェンリルが2体表れた。
「今度は俺の番だよ!」
と大河が言ったので、
「大河、左側のやつはこのはに任せとけ。」
「おけー」
「ぅん!がんばるよ!」
と2人駆け出して行った。
正直、このはがここまでやるとは思わなかった。敵の攻撃をスルリとかわし、1撃加えかわしの繰り返しで時間はかかったが、ローダメージで倒すことができた。
「このは、やるなぁ。センスあるよ!」
「本当に?うれしいな。てへへ」
「お前の妹やるなぁ~♪いいパーティメンバーめっけたな(笑)」
狩りを楽しんでいると、時間が2時30分を回っていた。
「やべぇ。あと30分しかないぞアギト。」
「まじか、そんな時間たってたか。このはレベルどんくらいになった?」
「うーんと、7レベル。」
「まぁ上がったな。よしクレアシオンに戻ろう。」
帰り道はあの戦闘よかったなとか、あこはこうした方がいいよなど、話が盛り上がった。
クレアシオンの入口が見えてくると、
「うぉ。やっぱすげー混んでるな。とりあえず広場へいこうぜ。」
広場に着くころに時間を確認すると、3時3分前だった。
ざっと周りを確認すると1万人はいるんじゃないかと思われる人ごみができていた。広場はある程度広く、逆円錐状に階段が彫られていて、中央には噴水があり、きれいな外観となっている。みんな階段に腰をかけている。俺らも近くのあいた階段に座り、宴が始まるのを待っていた。
今回は長くなっちゃいました(汗)
駄文読むの大変と思いますが、最後まで読んでくれてありがとうございます^^