【3】「聖女」
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【視野6】「ウドド運行列車の機関士」
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タタンタタンと、小気味の良いリズムで列車は進む。
あたしは、このテンポが好きでねぇ。
───でも。
こうやって、この車両を運転していると、
あの日のことを、思い出してしまうのよな。
今でもよぉ〜く覚えている。
ウドド聖山を越えた最後のカーブで、
大きな岩が線路を埋めている事に気がついたのよ。
あっしは、この稼業は長いけどさ、あんな事初めてだったね。
それから、虚神教の僧兵がなだれ込んでくるわ、
無理矢理、外に連れ出されるわで、そりゃ怖かったわな。
でも恐ろしい事っていうのは、続けて起こるのよ。
なんてこった、列車の上半分が吹き飛んでしまったんだわな。
そのあと、大賢者様が来てくれて、
なんとかなったんだけどもさ、
まぁ〜そりゃ、生きた心地がしなかったのよな。
そうそう……一番にあっしらを助けてくれたのは、
魔族の男で…可哀想にだけど、
その人は死んでしまったんだわな。
ただ……今回は、安心なのよ。
なにせ、聖女様が一緒なんだからねぇ。
……おや?
何やら、後ろの車両が騒がしいわな。
「あ…聖女様。どうもどうも。
機関室になんぞにいらして……あっしに御用ですか?」
「…………」
「聖女様?」
「機関士さん……悪いけど
ここで下車してもらうよ」
「え?」
あたしゃ、その澄んだ鈴のような声で言われた言葉に、
頭を抱えたんだわな。




