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【4】「遺品」

翌日、僕達は、マルケリオンと共に、

王城の地下へとやってきていた。


例の【伝説の3人】とやらが残した遺品が

ここに眠っているらしい。


王城の地下は、相当深い場所にあるのか、

高い湿気の割に、ひんやりと肌寒い。


「こんな小僧どもが後継者だとぉ!?」


大きな声が、反響してこだます。

すげぇうるさい。


「はい。私が魔位測定に立ち会い、この目で見た。

 胸を張って証明するよ」


「はん!!マル坊主の言う事だからな!間違い無いんだろうが!

 ワシは、こんな小僧共は認めねぇーぞ!!」


どうやら、僕らのような若輩が気に入らない系の人みたいだ。


「まぁまぁ…兵団長さん。

 そういえば、お母様の具合はどうですか?」


マルケリオンは、なだめる言葉で話題を逸らすと、

背中に回した手で、僕等へ先に部屋に入るように指示を出す。


僕は、それを読み取ったので、

そそくさと二人を連れて部屋に入った。


——————————————————————————————————


「まず。ナオ君には聖女ドドゴミンの遺品を渡そう」


遅れてやってきたマルケリオンは、やや疲れて見える。


あの兵団長とかいう、

体育教師みたいなおじさんに、小言を言われたのだろう。


マルケリオンは、部屋の中にある古ぼけたチェストの前に立ち、

魔法で何やら操作してから中身を取り出し、ナオへと手渡す。


それは朽ちた書記と、1mほどのスタッフ、

両方とも、聖女ドドゴミンの遺品なのだろう。


どうでも良い事なのだが、

ドドゴミンという名前は、聖女にしては野性味が強い。


名前からイメージする姿は、2m超えのゴリラ聖女だ。


だとすると、この杖はスタッフじゃなくて、

ワンドかもしれない。


フタッフとワンドの違い?


アキヒロが、全部耳打ちしてくれたから知ってるよ。


ナオは、マルケリオンから手渡された遺品を手に取ると、

あからさまに笑顔を作り「ありがとうございますぅ〜マルケリオン様ぁ♡」と、

昨日までとは、別人のような態度だ。


いったい、昨晩ナニがあったのか。

あまり考えない方が良い。


「けっ!!……かぁ〜っ!ぺッ!!!」


アキヒロは、心の底から気に入らないという様子で、

地面にツバを吐いてみせた。


こいつ、正直で思い切りのいいやつだな。


「よし……では、次はアキヒロ君」


「あ〜はいはい」


次にアキヒロが渡された遺品は、

短剣……と呼べるかも怪しい、短い剣だ。


「なんだこれ?…ナイフ?

 能力もないのに、どう使うんだよ…こんなの」


「それは『勇者アヌロヌメ』の遺品、

 へし折られた勇者の剣から作られたものみたいだね」


「なんか…ニュアンスだと

 死体から剥ぎ取ったみたいな感じが…」


「よく知ってるね?その通りだよ

 『勇者アヌロヌメ』は、『ゲルドパン』を倒したが、

 後に魔女ヒーリアに殺されたと言われている。

 その時に残っていたのがその剣だよ」


「うっわ…武器ガチャまで外れかよ〜」


「外れってわけでもないさ。

 文献によると、これには特殊な異能がある。

 この剣は切ったものを等しく半分にできるそうだよ」


これを使えば、ケーキの切り分けで

喧嘩することも無いって事か。


とは言え、道具として見れば、便利に見えるけど

使い方を間違えれば、大変な事になりそうだ。


「お〜!!そういう風に聞けばレア感出るなぁ!」


……相変わらず呑気のんきな奴だ。


「では、最後。マコト君」


そう言われたので、一歩前へ出てみる。

しかし、マルケリオンは手に何も持っていない。


「あの…?」


「あれを見たまえ」


「?」


マルケリオンの指差す方向を見る。


数段の階段の先に、台座に刺さった大剣が見えた。


「あれを…抜くんですね?」


「そう。あれは聖剣パンツォール。

 神を倒した剣だ。

 英雄ヘシオムは、あの剣を抜いた者を

 聖剣の所有者とし、英雄と認める。

 と、言葉を残している」


その剣は、太く長い。

きっと僕が持った事のある

どんな物よりも重たいだろう。


まじまじと、その光景をみると

昔、絵本で読んだキングアーサーの伝説を思い出す。


選ばれし者だけが抜ける剣か。


僕は、両手で剣の柄を握り

全身を使って力を込める。


「……ッ!!」


そして僕は、覚悟を決めて思いっきり引き抜いた。

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