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060 邪神の呪い・考察

「朝日が眩しいぜ……」


 魔剣を回収したオレは、無事に寮の自室まで帰ってきた。魔剣の他にもいろいろと入手してきたぞ。


 投げても戻ってくる投げナイフや、火属性の魔法が使えるようになる宝珠、聖力の続く限り空を走れる羽の生えたブーツ、失ったポーションを再生成する装置、罠を見通す眼鏡などなど役に立つ物。他にも性別を入れ替えるポーションや、透視眼鏡など、イベント用のアイテムまであった。ゲームの通りだ。


 これら学園地下ダンジョンでしか手に入らないレアアイテムの他にも、回復用のポーションや、傷薬、未だに実用化していないはずの聖力回復用のポーションなども回収した。


 あとは槍もあったはずだったんだが……オレの記憶違いか?


 その中でも特にオレが欲しかった物。それはやっぱり魔剣だろう。軽く調べたが、どうやら手に入れた魔剣は、水の聖剣だったようだ。


 装備者は水の魔法を操れるようになり、他にも装備時限定の剣技なども習得できる。


 その他にも水の上を歩けるとか、聖力の自動回復などいろいろなメリットがあるが、やはり魔法や剣技を覚えられるのが一番大きいだろう。


 特に魔法とか、普通はそれ用のギフトを賜らないと使えないからな。


 自分で使いたいところではあるが、やはりコルネリアに渡した方がいいだろう。その方が有効活用してもらえるはずだ。


「いつプレゼントするのがいいか……。リアの誕生日が近かったな」


 リアの誕生日はオレの誕生日でもあるのだが、その際にプレゼントしたらいいだろう。


「うん? そういえば、リリーの誕生日はいつだ?」


 リリーも妹になったのだから、あまり差をつけるのはよくない。リリーの誕生日もユリアから聞き出して、ちゃんと祝ってやらないとな。


「リリーか……」


 そのまま見捨てるのはなんとなくかわいそうでオレの妹にしてしまった少女。コルネリアと同じく、邪神の呪いに苦しんでいた少女。オレなんかに素直な好意を寄せてくれる少女。


「リリーのギフトも名称がわからない。これは偶然か……?」


 リリーのギフトは、七つの属性すべてを操る最強の魔法職だ。こんなにも強力なギフトをオレは知らない。


 そして、コルネリア。リリーと同じく名称不明のギフトを賜った彼女は、あのゲームの主人公を押さえて、前衛として最強の力を持っている。


 そして、その主人公もギフトの名称が不明だった。


 なにか意図的なものを感じる。


 誰の意図だ? ゲームの製作者か? そもそも邪神の呪いって何だ? 本当に邪神が呪っているのか? それすらもわからない。


 だが、大切なコルネリア、そしてリリーに関係することだ。考えを止めることはできない。


 だがまぁ、結論を出すにはサンプルの数が少なすぎるのも理解している。


 大々的に邪神の呪いが治せると宣伝でもするか?


 この広い王都だ。もう一人や二人くらい邪神の呪いに侵されている人が居ても不思議じゃない。


「それもありかもしれないな」


 元々成人まで生きられないという死病、それもギフトが貰えずに人としても認めてもらえないという厄介な呪いだ。中には邪神の呪いだとわかった時点で子どもを捨てる親も居るという話だからな。彼らだって望んで子を捨てるわけじゃない。そんな彼らの救いになれればいい。



 ◇



「はぁあ? 教会に所属しないとダメぇ?」


 オレの言葉に、爺の孫であるクラウスは苦笑しながら頷いた。


「はい。男爵様の邪神の呪いに苦しまれる人を広く救うという考えはたいへん崇高なものですが、それには教会への所属が必須です。元々、ギフトの力で人を癒すのは、教会の専売特許ですので」

「教会が癒しのギフト持ちを集めているのは知っている。民を癒して金を稼いでいることもな。だが、なぜオレが教会に所属せねばならんのだ!」


 オレは教会には隔意がある。そもそも女神とやらをあまり信じていないし、教会の連中はバウムガルテン領の発展になにも寄与しなかったからだ。あいつらが考えているのは自分のことだけという思いもある。


 そんな教会にオレが所属する? 頼まれたって嫌だね!


「ですが、癒しで金銭を得るのは教会の専売特許ですので……。無償で小規模ならば見逃されますが、男爵様の言う通り王都全域に範囲を広げますと……」

「くそっ! どこまでもオレの邪魔するな……」


 ゲームでも邪神との戦いで役に立たなかったし、もう教会なんていらないんじゃないか?


「どうするか……。噂でも流すか?」

「噂、でございますか?」

「ああ。邪神の呪いを治すことができる人が居ると。それとバウムガルテンの名前も噂で流す。邪神の呪いは不治の呪いと言われているからな。溺れる者は藁をもつかむ。きっとあちらから噂を信じてやってくるだろうよ」

「なるほど。それならば、あるいは」

「ついでに教会に嫌がらせをしておくか」

「嫌がらせ、でございますか?」

「ああ。邪神の呪いをも治せる者が居る。もしかしたら、他の難病も治せるのではないか。そんな噂を流してくれ」

「男爵様もお人が悪い」

「単なる噂だからな。それだけでオレを訴えることはできんだろう」


 無償でやる分には、教会もあまり目くじらを立てることも無いだろうよ。まぁ、無償ではあるが、対価は貰うがな。

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