最後は君に微笑みを
真似。ダメ、ゼッタイ。
「好きです!」
「……え、いや、あの…もう付き合ってる人がいるんだ、ごめんね」
最初に意識しだしたのは中学生の時。
たまたま座った席の前に君がいた。
なんてことのない、お友達。
けど、一緒に話し、一緒に笑い、青春ってやつを君と謳歌しているうちに気がついた。
君と一緒に居たい。
なんて、ね。
時間は本当に早く、矢なんてモノじゃないスピードで。
あっと言う間に中学生なんて終ってしまい。
気がつけば高校生。
運よく君と一緒の高校に入れたけど、クラスはバラバラ。
君との友情は何時までも続いていたけど。
いつの日か、君は誰かに目移りするんじゃないかとハラハラし続け。
それでも、ボクには告白する勇気なんかなくて。
けど、何時か、何時か絶対に……。
そんな思いのまま、で過ごした或る日。
ボクハ ミテ シマッタ
とある休日、太陽も真上から少し傾いた安らかな午後。
春風の中、誰もいない散歩道。
君とボクがよく歩いた、思い出の場所。
何となく懐かしくなって、ふらりと入ったその場所で。
君と見知らぬ誰か
誰とも知れないそいつの指に
君の綺麗な指を絡ませて歩く
その姿を
最初は君によく似た別の人だと思った。
ほら、世界には自分に似た顔の人が三人はいるって言うし。
君によく似た人が居てもおかしくないでしょ?
だから、君じゃない、君以外の誰かだと思った。
認めたくなんて無かった。
でも、違う。
他でもない君。
その君をボクが見間違えるはずがない。
その身長、体重、着ている服の趣味から持ってるアクセサリーまで全部君といっしょ。
そんな類似品、居るわけなんてない。
幸せそうに歩く二人。
まるで神様が祝福しているような微笑ましさ。
それを見て、泣いた。
ボクは、泣いた。
君が立ち去ったその後も動くことは出来なく。
みっともないけど、誰も居なくなったこの場所で。
ココロがイタく無くなるまで、泣いた。
泣いて、泣いて、泣いて。
それでも諦められないボクがいた。
諦められない。
諦めようとしても無理なのだ。
どうしよう。
どうしたら良いのだろう?
ボクが最初に好きになったのに。
最初はボクを見てくれていたのに。
どうすれば再びボクを見てくれるの?
何時の間にか、盗られていた君を奪い返す?
そうすれば、きっとボクを再び見てくれるよね。
けど…悔しいけど出来ない。
今、君は幸せなんだよね。
なら、自分勝手に君の幸せなんて壊せないよ。
だって、ボクは君が好きなんだもん。
考えれば考えるほど解らない。
どうすればいいのか解らない。
解らないけど、これだけは解った。
ボクは君の一番にはなれないってことだけは。
「知ってる」
高校時代最後の日、卒業式。
屋上に呼び出して、ありったけの勇気を込めた告白。
結果は予測通りの玉砕。
格好付けて胸までの高さのフェンスに座ったけど。
逆にカッコ悪いかな。
今すぐにでも泣き出したいけど、ここは我慢。
だって、最後の晴れ舞台。
せめて最後は笑って、ね。
「でも、でもね。
ボクの一番は君だけだから。
何時までも見ているよ。
じゃあね、バイバイ」
フェンスの上に座ったままのボクは、ゆっくりと後ろに傾いてゆく。
驚いて君は駆け寄ろうとしてるけど。
それが間に合うなんてヒーローだけだよ。
大きく手を伸ばした君に。
世界で一番の微笑みを返した。
最初は甘い甘いラブストーリーを構想していたのに、結局これですよ。
ストーリー内の進行スピードはたった10秒程度。
回想し、告白が成功するはずだったのに。
最初っから無理じゃんかよ、主人公!
残った構想、現実進行10秒しかないじゃん。
ここまで書いてい変わったの初めて