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ユニーク賢者の異世界冒険記  作者: ハヤテ
第1章
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第6話 誕生、「見習い賢者」

前回のあらすじ


 神々に覚悟を示した春風君、オーディンと契約する。


 目を閉じてからしばらくすると、頭の中で声が聞こえた。


 ーー君は何が欲しいんだい?


 春風は迷わず答えた。


 「俺は『力』と『強さ』が欲しい」


 ーーどんな『力』と『強さ』が欲しい?


 「自分と、自分にとって大切なもの、両方を守る『力』と、どんな状況に陥っても、自分の意思を貫き通す『強さ』だ。あ、でも……」


 ーーでも?


 「いきなり大きな『力』とかを貰っても使いこなせる自信はないから、まずは小さくて弱い状態から始まって、俺と一緒に成長する『力』と『強さ』がいいな」


 ーー注文が多いな。随分と欲張りなんだね。


 「そうさ、俺は欲張りな人間なんだ」


 ーーどうして、そんなに欲張るんだい?


 「欲張ったからこそ、掴める『幸せ』があるって信じているからだ」


 ーー既に一度()()しているのに?


 そう言われた時、春風は2年前のとある「苦い記憶」を思い出した。それと同時に包帯を巻いた右腕がズキリと痛み出し、左手でそれを掴んだ。


 「……うん、俺は一度失敗した。だけど、それでも俺は、欲張る事を止めるつもりはないよ」


 ーーそれは何故だい?


 「そうしないと、俺が俺でなくなっちゃいそうで、嫌なんだよね」


 春風は悲しそうに笑いながら答えた。


 ーーそっか。それなら質問を変えるよ。


 「……うん」


 ーーもし今すぐなれる『自分』になれるとしたら、どんな『自分』になりたい?


 「勿論、世界でただ1人の、俺のためにある、俺にしかなれない、俺だからこそなれる『自分』になりたい!」


 ーー即答だね。


 「そりゃあなりたい『自分』になれるってんなら、なりたいに決まってるだろ!」


 ーー成程。それじゃあ、どんな『自分』になりたいんだい。


 春風は少し考えて、


 「何色にもなれるけど、何色にも染まらない『自分』……かな」


 ーー具体的にいうと?


 「うーん。常識を100パーセント理解しても、それに囚われないどころか、それさえも目的達成のための材料にしちゃえる……っていえばいいかな」


 ーーすごいブッ飛んでるね。


 「不本意だけど、よく言われるよ」


 ーーOK、これで質問は終わりだよ。お疲れ様。


 「あ、うん。ありがとう」


 ーーそれじゃあ、後はゆっくり休んで。


 そう言われると、春風は再び意識を失った。

 その時、機械じみた声が聞こえたような気がしたが、聞き取る事が出来なかった。


 『神による肉体改造が終わりました』


 『現在のエルードの情報を元に、新たなる肉体を構築しました』


 『ステータスを表示できるようになりました』


 『職能(ジョブ)の覚醒を確認しました』


 『本人の意思と強い魂の輝きにのっとり、固有職能(ユニークジョブ)[見習い賢者]に目覚めました』


 『[見習い賢者]の覚醒に伴い、専用スキル[魔導式構築(レベル1)]、[魔石生成(レベル1)]、[魔導具作成(レベル1)]を取得しました』


 『レベル1からのスタートになりました』


 『初期魔力属性[無]、[風]に目覚めました』


 『契約神[オーディン]の恩恵を受けたことにより、能力値に補正がかかりました。魔力属性に[火]、[水]、[土]、[光]、[闇]が加わりました。さらに世界に存在するありとあらゆる魔法、魔術、秘術、呪術を扱えるようになりました』


 『称号[異世界(地球)人]、[神(地球)と契約を結んだ者]、[固有職保持者(ユニークホルダー)]を取得しました』


 「はい、終了ー」


 オーディンの声にハッと気が付いた春風。どうやらいつの間にか真っ白な地面に寝そべっていたようだった。


 「気分はどうだい? 春風君」


 「……なんか、夢を見てたみたいでした」


 「夢?」


 「いっぱい質問されて、終わったと思ったら意識が遠のいて、変な声が聞こえた気がしたんですけど、よく聞き取れませんでした」


 「成程ね」


 「あの、俺の体は一体どうなったのでしょうか?」


 「……現在のエルードの状態について調べた結果、世界の理が大きく変わっていてね。ほら、よく漫画やラノベに出てくるような、ゲーム的な要素が加わっていることがわかったんだ」


 「それってつまり……」


 「そう、レベルやステータス、さらにスキルといった概念さ」


 オーディンにそう言われると、春風は再び意識を失った直前、そんな事を言われたのを思い出した。


 「それって、どうやって見れますか?」


 「意識を集中して、『ステータスオープン』と唱えるんだ。あ、そうそう彼等に見せるのも忘れないでね」


 「え……って、あ」


 振り返ってみると、そこにはアマテラスを含む大勢の神達がジィッとこちらを見ていた。

 その後、春風はオーディンに言われたとおりに意識を集中して、


 「ステータスオープン」


 と唱えた。

 すると、春風の目の前にゲームのウインドウ画面のようなものが現れて、そこにはこう記されていた。


 幸村春風(人間/17歳/男) 職能:見習い賢者

 レベル:1

 生命力:500

 魔力:1000

 持久力:750

 筋力:70

 耐久:70

 知力:150

 精神:300

 敏捷:90

 運勢:普通

 魔力属性:無、風、火、水、土、光、闇

 専用スキル:魔導式構築(レベル:1)、魔石生成(レベル:1)、魔導具作成(レベル:1)

 装備:常陽学園学生服、伊達眼鏡、お守り

 称号:異世界(地球)人、神(地球)と契約を結んだ者、固有職保持者(ユニークホルダー)


 見終わると、春風はすぐに他の神達にもステータスを見せた。


 「色々と言いたいことがありますが、まずはコレから言おうと思います」


 春風のその言葉に、ごくりと固唾を飲む神達。

 そして、春風はクワッと目を見開いて、叫んだ。


 「『見習い賢者』って、何だーっ!?」


 春風のその叫びに、「うーん」となんとも言えない表情の神達。

 

 しばらくして、落ち着きを取り戻した春風は、取り敢えずもう一度ステータスを開くと、職能の名前に触れてみた。すると、ステータスの上に新しいウインドウが現れた。新しいウインドウにはこう記されていた。


 『見習い賢者』(固有職能(ユニークジョブ))……力に目覚めたばかりの未熟な賢者。未熟故に低レベルのものまでしか使えないが、あらゆる魔法、魔術、魔導具(魔力を秘めた武具や道具)などを生み出し、意のままに操ることによって、戦闘から生産まで幅広く活躍することができる。ちなみに、条件を満たすと成長する。


 職能特性

 ・専用スキル「魔導式構築(レベル1)」、「魔石生成(レベル1)」、「魔導具作成(レベル1)」の発現。

 ・様々な魔法、魔術等の適正上昇。


 職能の説明を見終わった春風は、


 「俺好みの『力』じゃねぇか」


 と、ニヤリと笑みを浮かべた。

 

 そんな彼を見て神達は、


 『めっちゃ邪悪な笑みなんですけど!!』


 と、戦慄の表情を浮かべた。




 

 


 


 


 


 

 


 


 


 

 

 

 

 

次回、契約完了した春風君、他の能力も調べます。

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