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ユニーク賢者の異世界冒険記  作者: ハヤテ
第1章
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第3話 ルール無視の、異世界召喚

前回のあらすじ


 異世界召喚が現実に存在していること自体びっくり……と思ったら、そのせいでまさかの地球消滅の危機!?

 一体どういうこと!?


 (この人(?)達、一体何を言っているんだろう?)

 

 目の前にいる神様達の突然の台詞に、理解が追いつかない様子の春風。アマテラス達3柱の神は、そんな春風を見て、


 「お、おーい、春風くーん」

 「だ、大丈夫か?」

 

 と、慌てて声をかける。


 すると、ハッと我にかえった春風は、アマテラスに掴みかかった。


 「ど、どういう事ですか!? どうしてそんな事になったんですか!? 教えてください!」


 目の前にいるのが日本の主神である事を忘れた春風は、アマテラスの両腕を掴みユッサユッサとゆする。

 そんな春風に、オーディンは優しく声をかけた。


 「落ち着くんだ春風君。今から順を追って説明するから」


 春風はそう言われると、自分が掴んでいるのがアマテラスであると気付き、慌てて手を離して謝罪した。


 「す、すみませんでした。」


 「いや、気持ちはわかるから、気にしないで良いよ」


 特に気にしてない様子のアマテラスを見た春風は、落ち着いて深く深呼吸すると、改めて質問した。 


 「あの、地球が消滅するって、一体どういう事なのでしょうか? 何故そんな事になったのか教えて下さい」


 春風の質問に、ゼウスが答えた。


 「ルール違反をしたからさ」


 「ルール……違反?」


 言っている意味がわからず首を傾げる春風に、今度はオーディンが答えた。


 「実は異世界召喚にはね、絶対に守らなきゃいけないルールがあるんだ」


 「え!? そんなのがあるんですか!?」


 「うん。どういうルールかというとね……」


 オーディンから聞いたルールとは、ざっくり言うとこんな感じだった。


 ・一つ、召喚者側は異世界召喚をする際、必ず「動機」と「対価」を用意する事。

 ・二つ、「動機」と「対価」を用意した上で、世界を守護する神の許可を貰う事。

 ・三つ、以上の三つを用意した上で、召喚する世界の神からOKを貰う事。


 「で、今回君達を召喚したのはエルードという世界なんだけど、その時守られたルールは……」


 そう言って、オーディンは親指と人差し指の指先をくっつけて丸を作ると、はっきり言った。


 「ゼロだ」


 「ゼロォ!?」


 「そう、完全にルールを無視してるんだ」


 オーディンにそう言われてショックを受ける春風だが、その時、ふと疑問が浮かび上がった。


 「ちょっと待って下さい。それだと悪いのは、そのエルードって世界の方なんですよね。どうしてそれで地球が消滅する事になるんですか?」


 すると、今度はアマテラスが答えた。


 「正確に言うとね、地球はそのエルードって世界に、()()()()()()形で消滅する事になっちゃったんだよ」


 どういう事かと問う春風に、アマテラスは説明を続ける。

 アマテラス曰く、実は世界と世界の間には『壁』と呼ばれるものが存在し、ルールを守って異世界召喚をするという事は、この『壁』に扉を作って、召喚の対象となる者を送り出すというものだという。

 しかし、今回はそのルールが破られた。それはすなわち、『壁』に無理矢理穴を開けて、そこから無差別且つ強引に攫うというものだった。そして穴を開けられた『壁』は、修復する為の材料として、穴を開けた世界を取り込んでしまうのだという。


 「で、今回のルール無視の召喚によってエルードの『壁』の材料化は決定しているんだけど……」


 「だけど……何ですか?」


 「気になって調べた結果、どうもここ500年の間にその世界自体の生命力が弱くなっているんだわ」


 「えっ!? 世界にも生命力ってあったんですか!?」


 「勿論あるよ」


 「知らなかった」と言いたかったが、話が進まなくなると思い、春風は黙って続きを聞くことにした。


 「ただでさえ生命力が弱っている時に今回のルール無視の異世界召喚、おまけに1人だけでもやばいのに25人……いや、春風君を除くから24人か。とまぁ、それほど多くの人間を攫った訳だから、修復の材料にするにはもうその世界だけじゃ足りなくなってしまったんだ。これがどういう事かわかるかな?」


 アマテラスに問われた瞬間、春風の脳裏に、ある恐ろしい「答え」が浮かんだ。

 世界を材料にする『壁』、修復したいのに足りない材料、そして地球消滅の危機。

 春風は恐ろしさのあまり、その「答え」を口に出す事が出来なかった。そんな春風の代わりに、オーディンが口を開く。


 「そう、『壁』は()()()()()()()()()()()()()()()()


 オーディンのその言葉に春風はよろめきそうになったが、なんとか踏ん張ると再びアマテラスに質問した。


 「それは、生き物も……というか人間も含まれますか?」


 震えた声で出す質問に、アマテラスは答えた。


 「うん。含まれるよ」


 「取り込まれたら、どうなってしまうのですか?」


 「そうなったら最後、笑うことも、怒ることも、泣くことも、そして……死ぬことも出来ずに、『壁』の一部として、永遠に存在し続ける事になるんだ」


 「……助けることは……出来ないのですか?」


 これ以上は聞きたくないと思いながらも、息をきらしながら問いかける春風。


 そんな春風に、アマテラスは申し訳ない気持ちになるが、はっきりと答えた。


 「出来ない」


 それを聞いて、春風は今度こそ膝から崩れ落ちた。


 

 

 

 

次回、春風君、決意します。

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