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6年後に戦地から帰ってきた夫が連れてきたのは妻という女だった  作者: 白雲八鈴
炎国への旅路編

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27話 ここまでするつもりは・・・

 香ばしいイカ焼きの匂いが立ち込める中、火炎放射器をしまい、突撃銃を取り出します。この突撃銃に特殊な銃弾を入れます。

 普通なら着弾して爆発するだけの物なのですが、Aクラスともなるとそれだけでは中々致命傷を与えられないので、着弾と同時に魔術が発動する銃弾なのです。


 そして、高く上昇し船の真上でから下を見下ろします。船体の周りに3体の影が触腕を切られたことで怒っているのか、グルグルと回り始めていました。このままだと、船が作り出された渦の中に飲まれてしまいます。そうなる前に仕留めます。

 1発、2発、3発と確実に仕留める為に一発づつ射ち、発砲した銃弾が海の中に落ちていき、魔術が発動されます。一瞬巨大な陣が展開され・・・あれ?ここまでの大きさの魔術を発動するつもりは・・・。


 バッシュという音とともに海面に電撃がはしり、船の中から「「「ギャー」」」という叫び声が・・・

 ごめんなさい。先日の狩った雷狼竜の魔石で作った銃弾だったのです。Aクラスって聞いていましたから、これぐらいじゃないとダメかと思ったのですよ。まさかあそこまでの巨大な陣が形成されるなんて思わなかったのです。

 いえ、本音を言いますと、試し撃ちがしたかったのです。本当にごめんなさい。


 周りにクラーケンがプカリと3体浮かんだ船に急いで戻り、電撃で痺れている皆さんに謝りながら癒やしの光の魔術を使っていきます。


 一通り皆さんを回復したところにザックさんがやってきました。


「あのさぁ。クラーケンを倒してもらったことには感謝するけど、もう少し手加減っていうものはできなかったのか?」


「ごめんなさい。あそこまでの威力があると思わなかったのです。」


「おかげで、航行するのに必要な魔石が壊れてしまったのだが?」


「え?」


 魔石が壊れてしまったということは、船の動力源が無くなってしまったということですか!それでは船が動かないです。あっ!


「これで代用できないですか?」


 最近、軍の方から写真機の注文がありデート(魔物討伐)でドラゴンを狩ってきたのですが、目のレンズだけ使用して魔石などの素材はまだ残っているのです。

 その30セルメル(センチメートル)²の魔石を取り出しザックさんに渡します。


「でかい。いったい何の魔石だ?これだと大きすぎて入らない。」


「ドラゴンです。大きすぎましたか。では半分に切りましょう。」


 魔石を切る為に作った刃物を取り出し、半分に切ろうとすれば


「待て!なぜ、ドラゴンの魔石を切ろうとする。勿体無い。それに普通は、魔石は切れないだろ?」


「切らなければ使えないじゃないですか。それにドラゴンなんてまた狩ってくればいいだけですから。」


「マリア!お前の主はおかしすぎる。魔石を切ろうとするし、ドラゴンなんて、ってあのSクラスのドラゴンだぞ。おかしいだろ。」


 ザックが文句を言っている方をみますと皿を持ったマリアがこちらに来ていました。


「それが奥様ですから。」


 マリア、それはどういうことでしょう?マリアは持っていた皿を目の前に差し出してきました。


「魔石が壊れてしまったことで、厨房も使えなくなったそうです。先程、奥様が香ばしく焼いてくださったクラーケンですが、お食べになりますか?」


 それは勿論食べます。未だに香ばしい匂いが立ち込めた甲板には焼かれたクラーケンの腕に船員の人たちが群がり食べていらっしゃい・・・その中にクストとセーラの姿も混じっているようです。

 もう、日は上りきっているので、お腹が空いていたのですよ。


 マリアから皿を受け取り、ザックさんにもう一度尋ねます。


「魔石を切りましょうか?」


 と。



 その後、魔石を切ってザックさんに渡し、手に持っていた皿をクスト取り上げられ、食べさせようとするのを止めさせ、何とか自分で食べることができました。だって、こんなに沢山の人がいる中、クストに食べさせられるのは恥ずかしいじゃないですか。


 魔石の設置の為に半日掛かるということでしたので、昼寝中だったキョウさんをマリアに連れて来てもらい炎国の話しをしてもらいました。


 そして、魔石の設置が終わり、2日後無事に炎国の港に到着することができました。



「ここが炎国なんですね。」


 セーラが珍しそうに周りを見渡しながら、船を降りていきます。


「あー地面に降りたっていうのに、まだ揺れている感じがする。」


 そう言っているクストに手を取られ4日振りに地面に降り立ちました。そうですね。この感覚が無くなるまで時間がかかりそうです。


「キョウ!こっそりと何処に行こうとしているのです。」


 後ろを振り返ると、マリアに首根っこを掴まれた状態のキョウさんがいました。案内役はいないと困りますからね。


「マリア、離せ。俺はまだ命が惜しい。あいつと話しをしてみてよくわかった。どう見てもクロードの爺さんと同じだろ?あのおかしな言動。それに魔眼の嬢ちゃん並の破壊力。無理だ。俺には手に負えない。他を当たれ!」


 なんですか?私あの少女のように炎の柱なんて作れないですよ。


「ザックからキョウ用にと小遣いをもらってますので、ダメですよ。」


「ザック!俺を売りやがったな!」



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